昨日・今日と中央区・佃で「桜まつり」が開催されております。

 佃で船宿をやっている従兄姉が「桜はちっとも咲いてないけどもサ、久しぶりに顔をお見せな」と声を掛けてくれました。

  

 門前仲町から大江戸線に乗り換え、月島駅で下車…もんじゃストリートを背にして、いざ佃へ!

 長屋のように建つ家と家の間には細い路地が通っております。

 この町並みとタワーマンションが混然一体(こんぜんいったい)となって不思議な下町の風景となっています。

 

 路地裏から抜け出たところに白いソメイヨシノが1本だけ咲いておりました。

 これなら佃の桜もきっと咲いているだろうと、自然に気持ちが高揚して参ります。

 そのソメイヨシノの下で赤い佃小橋を覗いてみましたら…「あれ?橋のたもとで咲いてるはずの桜が咲いてない!」

 首をぐるりと回して見ても、桜は咲いておりません。

 佃全体が桜色に染まっているかと思っていたのに…何んとも寂しい。

 引き潮の掘り割りには従兄弟の船が舫(もや)ってございます。

 あっ!あのタワーマンションにのひとつに女優・三田佳子さんが住んでおりまして、犬の散歩でよくこの辺りや佃煮屋に寄るそうでございます。

「やっぱサ、きれいだわよぉ~。こうね、頭のまわりで星がキラキラ輝いているみたいよ」

 東京っ子は、それが例え大女優だろうと有名人だろうと、握手を求めたりサインをねだるようなことはしませんで「あぁ、犬の散歩を楽しんでいるんだな」と見て見ぬ振りを致します。

「ここでサ、地べたでこうやって引っ付いて暮らすのも良いもんだけど、あんな高いとこに1度は住んでみたいもんだねぇ~」

「あちしは12階に住んでるよ」

「12階?…そんな中途半端な高さじゃないの!35階とか40階のこと!」

「中途半端な12階で悪かったわね!もう帰る!」

「住吉さんにお参りして行かないてぇっとバチが当たるからね!」

 住吉神社さんと龍神様のお参りを済ませ、あと住吉講で出される無料接待のお汁粉と甘酒を頂きたいと思います。

 これを頂くと何やら無病息災が叶うような有り難い気が致します。

 夏祭りで神輿を担ぐ若衆たちが「どうぞどうぞ!」と声を掛けてくれました。 

  

 散々お世話になった近所の方にも挨拶ができて良かった!

 お汁粉も甘酒もほんのりと甘く、然も冷えておりまして夏日となった本日、まことに有難く頂きました。

「いつもならサ、龍神様の横の枝垂れ桜が満開なのに、こんな年は珍しいよ」

「甘酒の中にね、桜の花びらがすぅって散ってきてね。風情があったよねぇ」

「飲む点滴の甘酒、お代わりしてもいい?」

「お腹がいっぱいになっちまうよ。うちで素麺用意するから食べに帰ろ」

 帰ろったって住吉さんの真裏ですからね…それにしても素麺かぁ~

 祭りで世話になる鳶(とび)の頭(かしら)に会いまして、正装の姿を1枚撮らしてもらいました。

「なんでぇ!後ろから撮る?顔は要らねぇのかぃ?これでいいかぃ?」

 顔なんか怖くて撮れませんよ!

 半纏(はんてん)の背には縁起が良いとされている白鷺が染め抜かれ、裾の方は波の絵柄が描かれております。

 この暑さですからね、素麵の美味しかったこと!

「素麺、今年・初物だわよ!兵庫県の揖保の糸?それとも奈良県の三輪素麺?」

「うぅん。名もなき素麺だよ」

 暑い日に頂くんなら、どれもこれも美味しいことでありましょう。

 帰りに隅田川テラスへ出てみました。

 こちらも桜は1本も咲いておりません。

 それでも桜の樹の下は、この賑わい!

 川を行き来する船も屋形船あり、ボートありで波しぶきが上がっておりました。

「あーた、どうせヒマなんだから来週もおいでな。桜、きっと満開になってると思うよ」

 こっそりと来てお花見して帰ろうと思っております。

 どうぞ、お天気に恵まれますように…