本日は友人たちと映画を観る約束をしておりましたので、午前中はバタバタとしながら用事を済ませ、集合場所であるヒューマントラスト有楽町のラウンジへと急ぎました。

 チケットは映画通の友人がまとめてネットから購入をしてくれているので、席の心配もありません。

 久しぶりに会う友人も含めて4人が集まっております。

 わたくしを入れて5人!

 観るアメリカ映画…ピッカピカのハリウッド映画『アバウト・ライフ』でございます。

「みんな来たね?チケット代、集めるよ。シニア料金ってサ、いつの間にか1300円になってんのね?」

「最初1000円から始まって、1100円、1200円、そんで1300円?100円づつ地味ぃ~に値上がりしてんだよね。私たち前期高齢者、気が付かないとでも思ってんのかしら!」

「ホラホラ!何を言ったって1000円に戻んないんだから、さっさと払う!お釣りのないようにしてよ」

「100円玉ばっかりで財布、重くないの?」

「帰りにスイカでチャージしちゃうのよ」

「風邪、どぉよ?」

「風邪より花粉症の方がひどくて参っちゃってる」

「私もだよ。花粉症って国民病だからね。次々に花粉が飛び始めるからサ、どれかに引っ掛かっちゃうんだよねぇ~」

「開場、始まったみたい。私の後ろに並んでよ」

「カルガモの行列だね」

「ずい分と年季が入ったカルガモだよね!」

 物語はドタバタコメディでございます。

 あのオスカー俳優のダイアン・キートン、リチャード・ギア、そしてスーザン・サランドンにウィリアム・H・メイシーがそれぞれ夫婦役を演じ、さすがは芸達者…女性陣はおちゃめなダイアン、屁理屈ばかりを並べるスーザン。やっぱりダンディなリチャード。紳士をきっちりとこなすメイシーなどなど、品性を崩さず演じているのはさすがでございます。

 夫婦仲も冷めた2組の熟年カップル。その息子と娘が結婚について意見が分かれるのですが、お互いの親を見て育った若いふたりはなかなか結婚に辿り着けずにいました。

 その両親同士がW不倫?

 互いに火遊びの恋を楽しもうとするのですが、なぜか空回り…シニア世代の老いることへの不安や人生をやり直したい、誰かに必要とされたい…それでもパートナーを愛してる?

 展開に新味はないもののマイケル・ジェイコブス監督の手腕はこなれていて、名優たちも演技を楽しんでいる様子で、こちらも安心して観られました。

 すべてがばれて人生の瀬戸際に立たされた6人の着地点は如何に?

 95分と割と短めの映画であります。

「銀座方面は外国人観光客でいっぱいみたいね。日比谷でお茶しようか?」

「そうしよか…慌てて帰っても誰も待ってないもんねぇ~」

 5人全員が独り者…未亡人のわたくし、一生独身を通したのがふたり、離婚歴1回のひとり、2回を経験したのがひとり…わたくしを除いた4人は退職するまでバリバリのキャリアウーマンでありました。

 そのうちのふたりはまだ雑誌に映画コラムを持っていますし、ひとりは客員講師として教壇に立っております。

 ちゃんとやっているのかは不明でありますが、活き活きとしているのを見ていると頑張っていることと思います。

「あの娘役をやってた子…ジュリア・ロバーツの姪っ子なんだよ」

「えっ?そうなの?口、そんなにおっきくないじゃん」

「あんまり似てはいないけど、きれいだわよ」

「ジュリア・ロバーツとリチャード・ギアが共演して大ヒットした「プリティ・ウーマン」。その姪っ子とまた共演するなんてリチャード・ギアも第一線で頑張ってるよねぇ」

「私はウイリアム・メイシーが出てて嬉しかったなぁ。ファーゴやマグノリアでの演技、素晴らしかったもん」

「アカデミー賞を受賞したゴジラはみんな観た?おーっ!観たんだ!」

「君たちはどう生きるのかは原作読んだから、映画は観てない…読んだって言ってもずいぶん昔だけどね」

「あれってサ、1937年に刊行された本なのね。原作は吉野源三郎って児童文学者でジャーナリストでもあったんだけど、うち(新潮社)が初出なのよ。そのあと未来社、ポプラ社と経て、あーたんとこの講談社でも出して、岩波書店でも発売された名作なのよ」

「うち(講談社)でも出したんだ…児童文学の方で扱ったんだね。まだ私たちが産まれてない時だもんね」

「原作を読んだらねぇ~アニメは観ないかもなぁ~」

「それよりサ、アメリカ大統領を訴えるって言う…オカン版・エリン・ブロコビッチ観に行かない?」

「どこの映画なの?」

「ドイツ・フランス共作。『ミセス・クルナスvsジョージ・W・ブッシュ』って言うタイトルなの。ベルリン国際映画祭で銀熊賞2冠受賞したのね。賞を取ったから面白いとは限らないんだけど、これ実話から生まれた作品なのよ。試写会でも評判良かった!」

「お勧めなら観に行く。忘れないで声掛けて!」

「オッケー!

「お互いの生存確認もできたし、今日はこの辺でお開きとしますか?」

「そうだねぇ~今度はランチ食べようよ」

 日比谷でそれぞれの路線に向かって手を振りながら別れました。

 手を振って「さよなら」するって、子どもにかえったみたいで、なんだか良いなぁ~

「バイバイ。さよなら三角また来て四角。四角は豆腐、豆腐は白い。白いはウサギ、ウサギは跳ねる。跳ねるはカエル、カエルは緑。緑は葉っぱ、葉っぱは揺れる。揺れるは幽霊、幽霊は消える。消えるは電球、電球は光る。光るは親父のはげ頭…おぉ~!最後まで言えたぁ~!」

 地方によって別の言い方もあるでしょうが、下町・深川ではこう言い伝えられていました。

 今度みんなに聞かせよう!

 あっちこっちに行く友人の後ろ姿…みんな元気でまた会おうね!