江東区には大きな通りが何本も縦横に通っておりますし、川や運河も通りと並行に、またはくねくねと蛇行しながら流れております。

 昔、夢の島が作られた時、他の区のゴミも受け入れねばならず、この大通りをゴミを積んだ大型トラックが走り、江東区民の反対運動が起こりました。

 まだきちんとした舗装道路にもなっていなかった道路もあり、江東区はゴミの街として衛生的にも良からぬ区として長年に亘って苦しめられて来たと聞いております。

 そのすき間にわたくしたちは家を建てビルを建てして暮らしてきたわけですが、わたくしたち子どもともなりますと、そんな大人同士の都合など深く考えもせずに埃っぽい原っぱを掛けずり回っていたことと思います。

 幾筋も通る、その大きな通りの街路樹の中に夏ミカンの樹が多く見られ、皮が厚いためかヒヨドリもメジロも突つくのを諦め、カラスにもソッポを向かれておりまして、みな完熟して道端に転がっております。

 我が町内の遊歩道にも夏ミカンの樹が3~4本ありまして、豊作の樹とそうでない樹が隔年で巡っているようであります。

 先日、町内清掃ボランティアのメンバーと早朝清掃をしていますと、豊作の夏ミカンの枝がしなっていたものですから、折れたら面倒だと言うことでみんなで夏ミカン狩りを致しました。

 これがなかなか頑固なヘタでして、ハサミがないともぎ取れません。

 急遽、別のメンバーが持っていた剪定バサミでチョキン!

 途中なんの世話もせず、収穫だけを体験できるというのは実に良いものであります。

 追熟を待てずに、今朝剝いてみましたら…これこそ夏ミカン!という味わいで、酸っぱいんですが甘さも濃く、そのバランスが素晴らしい逸品で、1個また1個と剥いちゃいました。

 風邪にも花粉症にも効くとされるビタミンCがたくさん含まれている柑橘ですからね、大いに食べましょう!

 まだまだ町内には手づかずの夏ミカンが生って下ります。

 カラスとの死闘もありませんからね、ゆっくり焦らずに頂こうと目論んでおります。

    

 今日は朝から雨降りで、花粉症のわたくしはホッと一息つける日であります。

 スギの花粉は1度弾けてしまえば、アレルギーとなる物質は大人しくなると聞いています。

 雨に打たれて地面に叩かれ流されてしまえば問題はないかと思いますので、春の雨は大歓迎でございます。

 そんな日はツーと垂れてくる鼻水にも、目が痒くて瞼が縮緬のようなシワシワになる心配も、ヘックションでギックリ腰になる恐れもないので、ゆっくりと思う存分に本が読めると言うものです。

 初読み作家・森沢明夫・著『青い孤島』…表紙絵はどこまでも青い空が広がり、海に囲まれた緑豊かな島の自然が描かれております。 

 海とも空とも区別がつかぬ空間を行き交うカモメ…もう何年も海を見ておりません。

 さて、中央にいるふたりが主人公となります。

 東京都・七丈島(八丈島?)から、ちょっと離れた小鬼ヶ島(青島?)と言う孤島が舞台となっています。

 人口たったの199人。小さな島は東西に分かれて反目し合うばかり…その島の活性化企画を売り込むために送り込まれた小島佑(こじまたすく)とフェリー・七丈丸で一緒になった金髪の絶世の美女・るいるいさんが島の若者たちと力を合わせ奮闘する姿を描いています。

 南の島らしく明るく開放的な描写と、島の人々が昔からいがみ合っている柵(しがらみ)の表現がシーソーのように上がったり下がったりして、最後は突拍子もない着地でハッピーエンドで終わります。

 森沢氏の筆力でありましょう、まったく違和感なし。

 むしろ、それもこれもありありで読後感は爽やかでやさしい気持ちになれる1冊かと思います。

 表紙絵を眺めているだけで、今日の雨降りも気分は軽やかです。

 大量に残った夏ミカンの皮でマーマレードジャムをこしらえる意欲も湧いて参りました。

 さぁ~本を閉じて、腕まくり腕まくり!

 パディントンの大好物を仕込むと致しましょう!
 

 

『夏みかん手に海を見る場所探す』

(なつみかんてにうみをみるばしょさがす)

細見綾子