空中に舞っているスギ花粉を蹴散らかす勢いで進んでいるボート!

 水に落ちてしまった花粉は悪さをしませんからね、どんどん水底に沈ませてくださいませ!

 紅白でなんともお目出度い色合いのボート…細いロープでけん引している様子なのですが、いつまで待っても引かれている物が現れない…水中で引っ張っているのかしらん?

 ベランダとか言え、外にいると花粉まみれになってしまいますから、キリのいいところで部屋に入りましょう。

 なんですか、アラン・ドロン主演の映画「太陽がいっぱい」のラストシーンを思い起こさせる謎めいたけん引…もし、あれだったら「怖~い!」

 ニーノ・ロータ作曲した主題曲「太陽がいっぱい」のトランペットのメロディが耳に蘇って参ります。

 このところ体調がイマイチなもので、朝・昼・夜の時間が食事時間が少しづつズレて来ております。

 今朝も11時過ぎに朝と昼兼用のブランチを頂きました。

 食後のコーヒーをゆっくりと飲んでいますと…携帯電話が振動でテーブルをずり這いしております。

 掛かって来た相手を見ると…大学時代の友人からです。

「もしもし?」

『もしもし?私。新潮社(友人が勤めていた出版社で、名前の代わりに皆で呼び合っております)から聞いたけど風邪だって?具合はどぉよ?』

「うん…はっきりしないんだよねぇ~」

『あ~やっぱり声も変だねぇ~』

「あのサ、その声もの「も」っての何?」

『いろいろあるだろさ…それよかサ、体調が良くなったら映画行かない?昨日公開した「アバウト・ライフ」って面白そうなのよ。ダイアン・キートンとリチャード・ギアとかベテランの俳優陣が主役なのよ。観る価値あると思うよ』

「お勧めなら行きたい!とは言ってもねぇ~喉に痰が詰まちゃって難儀してるんだわ!」

 その詰まる痰を、辛~いカレーで押し流しちゃえと夕べ、ポークカレーを作ったのですが、喉がスパイスで刺激され、ヒリヒリと痛くなってしまい、やぶ蛇となってしまいましたダウン

『痰が切れる漢方飲めばいいじゃん!どっかに痰切り寺とかないの?』

「縁切り寺じゃあるまいし、そんな寺なんぞないわっ!」 

『公開期間もあるからサ、早く治しなさいよ。日経と講談社(どちらも友人でございます)が行くってよ。そうそう混む映画ではないと思うけどチケットまとめて買うからサ、どうしようか?』

「日にちが決まったら教えて。それまでに絶対に治すから!」

『そう!その意気よ。病は気からって言うからね。じゃ、一緒にチケット取っちゃうね。多分ね、来週半ばころになると思う』

「了解!」

『そうだ!この間…5日だったかな?日テレで開局70周年記念に作られたドラマなんだけど、あーたドラマ見ないから知らないか?』

「それ、見た!「テレビ報道記者・ニュースをつないだ女たち」って言うタイトルでしょ?」

『見たの?3時間ドラマなのにぃ?珍しいねぇ。面白かったよね』

 見応えがあって、実に面白かったです!

 昭和から令和へと移り行く時代の中で、女性報道記者たちが真実と事実を伝えるために葛藤と自責を繰り返し、ガラスの天井を突き破って行く様を描いていました。

 その間に時効撤廃の法律改正に助力したりとテレビが持つ公共性も伝わって参りました。

『仲間由紀恵、芳根京子に木村佳乃…江口のりこが良かったね。オウム真理教事件、葛飾の女子大生殺人放火事件、秋葉原無差別殺人事件とか当時の実写フィルムも流れて臨場感があったよね!あっという間の3時間だったわ』

「昭和なんて時代サ、女は男が活躍するための縁の下の力持ちでしかなかったもんね」

『そうだよ!私たちの大学仲間にテレビとかラジオ局に就職したのっていなかったけど、どこもあんな感じだったよね?私たちは同じジャーナリストでも活字の世界に行ったからねぇ~もっと地味だったよね?私、人気作家の担当なんて一生持てないと諦めた時期もあったよ。共同通信に入った友だちはサ、まだ男女の差がなく仕事が振り分けられたって言ってたけど、日テレと同じ系列の讀賣新聞社だって女性差別ってあったよね?』

「あったよぉ。国立・私立の学閥・派閥もあったけど性差が大きかったねぇ~悔しい思いをして来た世代だよね?」

「今もそうそう変わってはいないと思うけど、才能とか仕事をこなす力とかリーダーシップを取れるとかを認めざるを得ない時代は来たと思うんだよねぇ~あからさまなセクハラ…もう遠い世界のような気がするけど、今も絶えない課題かもね。あっ!そんなことよりサ、エンドロールに流れた曲、聴いた?』

聴いた!聴いた!鳥肌が立ったよ!」

『立ったよねぇ~!まさかサ、あそこでシンディ・ローパーの「GIRLS JUST WANT TО HAVE FUN」が流れるとは思ってもみなかった』

「あれは意外な選曲だね。プロジューサーかディレクター、監督のセンスの良さが光ったよね。最後の最後に私たち女の子も楽しみたい!仕事があったりと大変だけど、だからこそ今を楽しみたい!陽の当たる場所を歩く人になりたいって、ドラマとの内容とシンクロしてたよ。あんな昔の歌なのにサ、フルで歌えたわよ」

『プロモーションビデオもバッチリ覚えてるもん!1980年代の歌って、このところ物忘れが多くなっているのにサ、松田聖子もユーミンも全部歌詞を覚えて歌えるところがスゴイよね?邦楽も洋楽も名曲が多かった時代だったねぇ~』

「最後のテレビ局のフロアを俯瞰してる映像も良かったしね。昔の机の島を思い出した」

『そんじゃ、まぁ~盛り上がったところでお開きとしますか…日にちと時間が決まったらメールするね。しっかりと治しなさいよ』

「うん!ありがと、チケット頼むね」

 シンディ・ローパーのカセット、どこかにあったはず…それを探す土曜日になりそうです。

 コーヒーがすっかり冷めてしまいました。

 熱いコーヒーを淹れなおしましょうか。