厳しい寒さに耐えながら花を咲かせる「雪中四友(せっちゅうのしゆう)」のひとつ・梅が満開を迎えております。
周りを見渡せば…四友にあげられている山茶花(さざんか)は今が盛りを迎え、水仙に蝋梅(ロウバイ)も咲き始めているかと思います。
これに梅を加えると四つの花が揃います。
わたくしなどはこれだけの花を咲かすのだから、きっと梅の実もたわわに生るだろうと、ウシシと思わずほくそ笑んでしまいます!
これこそ「捕らぬ狸の皮算用(とらぬたぬきのかわざんよう)」でありましょうが、5月の下旬ころにザル持参で様子を見に来ようかなと思っております。
さて…本日は六本木ミッドタウンに用事がありまして、友人と待ち合わせチャチャッと出掛けて参りました。
用事が終わり、中庭の散策へ出てみたら…真っ赤な看板が立っている!
「あれ、何?」
なんだか手招きされているような気がして、ふたりして行ってみたら…あのCOACH(コーチ)の文字が書かれています。
アメリカ・マンハッタンで革小物工房としてスタートした、あのCOACH?
今ではライフスタイルブランドとして確固たる存在を放っています。
「若いころサ、COACHのお財布欲しかったなぁ~そんなに高くはなかったんだけど、買い替えはしないで古いお財布使い続けてたわ」
「私はトートバッグ、ボーナスで買ったなぁ~あのバッグ、まだ押し入れにあると思うんだ…出して使おうかな」
「そんなに昔の?もしかしたらサ、ビンテージが付いて高く売れるかもよ!」
「ホント?ホントだね!もし買い取ってくれなかったら、あーたが高値で買ってよ!」
なんでそうなるのか分からん!
そのCOACHが東京ミッドタウンとのコラボをして、特別仕様のスケートリンクが設営されているとのことでした。
場所柄か外国の方が多く、いろいろな言葉での歓声が上がっていて賑やかなこと!
「ここが六本木だとは思えないね」
「六本木だよ!」
「あーたね、そういう時は『そうだねぇ~』って言うもんなの!奥さんがサ『今日はいい天気ね』って言ったらね、亭主が『それがどうしたっ!』って言って、離婚したっていう熟年夫婦がいるんだから、私たちが夫婦だったら完全にアウトだね」
「なんだ、その例えは!それよりサ、あーたってスケートできるの?」
「スケート?昔やったことあるわよ。職場の隣に富国ビルと国際ビルヂングがあってその中庭にね、冬になるとスケートリンクが設営されたのよ。会社帰りに同僚とひと滑りして帰ったもんよ。自転車と一緒でサ、1度体で覚えたらその感覚って忘れないと思う。今じゃ日比谷テラスとしてフットサルで賑わっているよ」
友人は内幸町の日本記者クラブに勤めておりましたので、ひと滑りもまんざら嘘ではないようです。
「そういうあーたはスケートできるの?」
「………靴を履いたこともないね!」
「えーっ!滑れないのぉ?マジ?私たちの年代ってスケートとスキーって大抵は滑れると思うよ。まぁ~あーたってサ、運動オンチだったもんね。今、滑ってみようよ。それこそ私がコーチしてあげるよ」
「詰まらんダジャレを言ってんじゃないわよ」
冗談じゃない!ちょっとでもコケたり尻もちでも突いたら即・骨折かねん挫で、そのまま寝たきりになってしまうこと間違いなしです。
「偉そうに…ジャンプとかできんの?」
「ヒョイぐらいはね」
「ふ~ん」…ちょっと悔しい!
すっかり体が冷えてしまい、ビルの中にあるカフェでひと休みしようと、こちらも赤いイスがあるテラスを見つけました。
「きれいなイス!外は寒いから店内にしようね」
と・店の前にあるメニューを見て…ふたりして後ずさり。
「た・高い!」
「これで夕飯のおかず、買えちゃうよ」
テラス席は人っ子ひとりいない…店内もチラホラ。
「下のスターバックスにしよ」
「そぉしよう!」
せっかくに六本木ミッドタウンまで来て、このケチぶり!
「いやいや何事にも、それ相応の値段ってあるよ」
暖かなビルに入ってホッ!あちこちのお店を楽しみながらビルブラを楽しみました!
わたくし…この先もスケート靴は履かないと思いますが、もし…余命宣告をされて「死ぬまでにしたいこと100」があったら、スケートと書いてみようかしらん?
「余命宣告されなかったら?」
「やらないねぇ~」
「だいたいよ、余命宣告されて100のやりたいことって大変だよ!死んでる場合じゃなくない?やるなら元気なうちの今!だよ」
友人とふたり…とにかく健康であることに感謝であります。
『やってみてくれしスケートジャンプかな』
京極杞陽(きょうごくきよう)