なんともはっきりとせぬ空模様であります。

 しかも風が強く、北風ではないものの体感的にはブルッと背筋が震えてしまうように感じてしまいます。 

 さて…こんな愚図ついた日は映画を観るのには最も適した日でありましょう。

 足元の心配も要りませんし、かと言ってカラリと晴れているわけでもなく、それでいて遠出するには寒いし…で、近場の映画館に行って参りました。

 「ぜったいに観に行こうね!」と近くに住む幼馴染みに誘われていた映画『ゴジラー1.0』を観に、いざ日本橋・コレド室町へ…

  

 幼馴染みが申すところによると…「この間ね、新聞に載ってたんだけど、11月3日に公開されてその週末3日間だけで67万人の動員数で、興行収入が10億円だったんだって!大ヒットだよね」

「どこの新聞よ?まさか朝日新聞じゃないよね?」

 亡き夫が長く讀賣新聞社にお世話になってましたので、我が家では生涯・讀賣新聞1本でございます。

「どこだって良いでしょ!でね、神木隆之介の演技が素晴らしいって書いてあったのよ。うちのあきらをほめられた気分~」

 幼馴染みのひとり息子・あきらくん、今年27歳なんですが、どことなく俳優・神木隆之介くんに似ております。

 持っている雰囲気といいましょうか、瞬(まばた)きのタイミングと申しましょうか…話すときの口元とでも言いますか…まぁ~確かに似てはおります。

 で・幼馴染みは我が子を見守るような自愛の満ちた応援をしております。

 そのあきらくんは早々と『ゴジラー1.0』を観たそうで「面白かった!ぜったい観に行った方が良いよ」と勧めてくれたとのこと…ちなみに神木隆之介に似ていると言われる本人・あきらくんは「どこが?ぜんぜん似てねぇよ」と申しております。

 が…演技派として評価が高い神木隆之介くんですからね、あきらくんも満更でもない様子?

 ゴジラ生誕70周年、それに加え日本で製作される実写映画30本目となる本作に掛かる期待はかなりなもの…ゴジラファン待望、7年ぶりの新作だそうです。

 第2次世界大戦の終盤からの物語は、シリーズ第1作目に登場した大戸島から始まります。

 特攻隊として従軍していた敷島浩一(神木隆之介)は、この大戸島でゴジラと遭遇するも命は助かります。

 その後本土へ帰還した浩一は焦土と化した東京で、生き残ってしまった自分を恥じながら生きる力を失っておりました。

 その東京で大石典子(浜部美波)、震災孤児の赤ん坊と出会い、少しづつ生きる力が湧いてきて、仕事にも就きますが…ここで再びゴジラが登場!

 復習にも似た気持ちでゴジラに立ち向かう浩一…今回のゴジラは放射線も放出するという力で日本を襲ってきます。

 どうする、敷島浩一!

 それほどに敷島と一緒に闘う人間そのものが描かれているのではと思います。

 ここぞという時に鳴り響く、あのゴジラのテーマ曲!

 伊福部昭(いふくべあきら)・作曲の「怪獣大戦争テーマ」です。

 これを聴きますと…会場も一気に盛り上がります!

「おぉ!」

    

 観終わったあとの満足度、最高!

「ランチ、食べて行こうよ」…同じコレド室町のビルで和定食を頂きました。

「絶望の象徴」として描かれたゴジラと神木隆之介くんの演技に余韻は高まるばかり。

 脇を固める俳優さんたちの演技も素晴らしかったです。

「吉岡秀隆とはサ、Dr.コトーで共演しているけど、あの時の隆之介って小学4年生ぐらいだったんじゃないかな?その隆ちゃんも30歳…どっちもおじさんになっちゃったねぇ」

「いきなり隆ちゃんって…安藤サクラの配役も良かったね!割烹着・着て、手首に輪ゴムをはめたおばさんそのもので戦後の感じがよく出てたよね」

「ヒロインの浜辺美波とは…3度目の共演になるのかなぁ~朝ドラのらんまんの前に共演した映画ってなんだっけ?」

「屍人荘の殺人(しじんそうのさつじん)だったかな?中村倫也も出てたね」

「私、毎日らんまん観てたでしょ?このふたりの顔ぶれと時代背景を観てるとサ、まるでらんまんを観てるようだったわよ」

 わたくしも幼馴染みが録画してあった「らんまん」の最終回を観たのですが、これが不覚にも泣いてしまったほど感激致しました!

「あれはね、歴代の朝ドラの中でも最高のラストだったかなぁ~ゴジラってあれと被さるエンディングだったよねぇ~『愛しちゅう。愛しちゅう』って万ちゃんの声が聞こえて来るような気がしたもん」

 これはわたくしも感じまして胸が熱くなりました。

 このラストの場面こそ、ゴジラと闘った人間の美しき姿であると捉えました。

 しかし…「らんまん」と「ゴジラ」を同じ土俵で語ってしまうのは山崎貴・監督に申し訳が立ちません。

「ゴジラのオファーの方が先だったんだって聞いた!もう撮影が終わったあとの「らんまん」なんだわ。このメカジキ、美味しい!塩こうじがほど良く効いてる」

「銀むつの西京漬けも優しいお味!このお漬物も塩こうじ漬けだって…お味噌汁も具だくさんで美味しいね」

「マグロの漬けもイケるわよ!」

 ふたりしてご飯粒ひとつ残さず平らげました。

「ねぇ~もう1回観に行っても良いと思わない?」

「それはない…だけど、ラストはもう1回観たいかな?」

「でしょぉ~?」 

 アメリカ・エンターテインメントの聖地・ハリウッドでのオープニング上映も決まっていて、全米1500館の映画館でも公開予定と聞いております。

 讀賣新聞の映画コラムでも『ゴジラー1.0』、大絶賛でありました!

 すごいぞ!日本!

 わたくし、ちょっとだけ…神木隆之介くんのファンになったかな?

 

『冬あたたかシルバー料金映画にも』

(ふゆあたたかしるばーりょうきんえいがにも)

高澤良一