このところ六本木に縁があるらしく、それも虫つながりで訪ねております。

先日は東京ミッドタウン六本木の敷地内にある富士フィルム・フォトサロンで開催されていた「昆虫の写真展」に来たばかりでございます。

   

東京都港区9丁目…元・防衛省・跡地に建てられた東京ミッドタウン六本木。

防衛省の正式呼称は旧番地である「檜町駐屯地(ひのきちょうちゅうとんち)」となります。

陸上自衛隊も同じ呼称となり、航空自衛隊は「檜町基地」とありました。

2000年に市ヶ谷駐屯地に統合されるまで、ここ一等地の広大な土地に防衛省はあったことになります。

この複合用途施設の街づくりのブランドが「東京ミッドタウン」と呼ばれているそうです。

この開発に携わったのが三井不動産で、わたくしの友人が勤めておりました。

今は退職、税金対策として顧問の職を得て、若手育成プロジェクトチームでここ六本木のミッドタウンで働いております。

その友人が言うには…「1番最初に手掛けたのがミッドタウン六本木で、オープンが2007年。2番目がミッドタウン日比谷で2018年のオープン。それで去年開業したミッドタウン八重洲が3番目で、どこも盛況な滑り出しでホッとしてるわ」

それにしましても…広い!

整備された敷地内には樹々が植えられ、芝生もこの暑さに枯れることなく、しっかりと手入れされておりまして、とても気持ちが良く渡る風も涼しく感じられます。

もう東京では聴くことも叶わぬと諦めていたツクツクボウシの鳴き声を聞くことが出来ました。

「夕方近くになると秋の虫が鳴いて、そこビアガーデンになってるんだけど風情があって良いわよぉ~今度、みんな誘って飲もうよ」

   

中庭の散歩を終えてビル内にあるサントリー美術館へ…

地下鉄のホームからミッドタウンのビルまで直結の通路が通っておりますので、ここの勤めている方は炎天下を歩くこともなく、土砂降りにも遭わず、雪が降ろうが槍が降ろうが電車が動く限りは通勤せねばならず、考えようによってはちょっと大変かも?

都会に棲む野鳥はかえって人を怖がりません。

それでなくとも人懐こいハクセキレイが道案内を買ってくれたようです。

おかげさまで迷うことなく『虫めづる日本の人々』を開催中のサントリー美術館へ行きつくことが出来ました。

「いやいや…私のおかげでしょ。ここに勤めてんだから!もう隅々まで知っとるわっ!」

NHK・Eテレ「日曜美術館」で放送していた『虫めづる日本の人々』…昆虫が好きなわたくし、ぜひ行こうと思っていたところへ、六本木に勤めている友人からお誘いの声が掛かった…と、いうことであります。                                            

絵画はもちろん、屏風絵、工芸品の精巧な造り、着物の染めや絞り、刺しゅうなどに虫の姿を見つけるのが楽しみ!

やはり人だかりがしている作品は伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)の「垣豆群虫図(かきまめぐんちゅうず)」の昆虫や爬虫類、両生類に節足動物などが表情豊かに描かれていて、わたくしの大好きなカマキリも愛嬌たっぷりな顔をこちらを向けていて、今にも鎌をもたげそうな仕種を見せておりました。

鎌倉に住んでいるときは大の苦手であったムカデも登場!あのモジョモジョとした足の何んとも愛らしくユーモラスなこと!

こんなムカデだったら刺されても許せる?いんや!やっぱりダメダメ!

さんざんっぱら「ムカデキンチョール」のお世話になったものです。

ひとつひとつ描かれた昆虫たちを人の流れに逆らわず、ゆっくりゆっくりと眺めました。

「いやぁ~満足満足!楽しかった」

「江戸時代中期って虫の中でも蝶って愛されてたんだね」

「良き吉兆を知らせる扱いだったってことが分かるね」

「この間はうどんだったけど、今回はちょっとリッチな店に行こう」

「ここ?庭に面してて解放感あるう!この店、なんて読むの?すがさね?さくじゅう?」

「もっと素直に読めば?すじゅうダイニング」

「あ~すじゅうね」

長野県名産の調味料で味付け、小鉢には特産の野沢菜やフキノトウなどを多く使っているとのことですが、案外お刺身が旨いとの友人の勧めに従って、わたくしは「お刺身定食」を頼みました。

友人はボリュームのあるミックスフライで午後からのミーティングに備えるらしい。

わたくしのお刺身定食…プラス300円で和牛のステーキに変えることもできるとのことですが、日本海の幸に恵まれた長野県産のお刺身に致しました。

カンパチにイカ…とっても新鮮で美味しかったです。

友人のミックスフライは大きなエビに白身魚にイカのフライトとすごいボリューム!

「お味噌汁、お代わりできるからね」

外国の観光客も器用に箸を使いながらサバの味噌煮などを食べておりました。

「どこのお店も行列してて大繁盛だね」

「これくらいの混み方でないと家賃が支払えないわよ。どの店もコロナ禍をよく持ち応えたと思うわ」

「美術館やギャラリーもね」

「アメリカじゃ、また新種のコロナウイルスが流行り始めたって言うから海外出張も控えめになるかもねぇ~」

「この暑さとコロナで、また落ち込んじゃうわぁ~」

「暑さはあと半月も我慢すれば何んとかなるけど、コロナはどうなることやら…あーた、油断禁物よ!」

「それよりサ、あちし夜中にベッドから転がり落ちちゃってね、ひとり暮らしに不安を覚えちゃったわよ」

「ベッドやめて布団にすれば一挙に解決できるじゃない?ひとり暮らしの不安も屁ったくれもないわよ!」

「…なるほど」

独身を通した…と言うより、結婚より仕事を選んだ友人は、わたくしなんぞよりひとり暮らしに長(た)けております。

未亡人になってから丸8年…変に不安がってはおられません。

「で・あーたは布団なの?」

「私?ベッドだわよ!転げ落ちるスリルを待ってるって感じ?でも、ケガしなくて良かったね!気を付けなさいよ。小さなケガだって歳をとると寝たきりになっちゃうんだから…」

そう!その言葉が欲しかったんだよね!

ひとり暮らしで一番嬉しいのは、この身を案じてくれる優しい労わりの言葉なんです。

あ~今日、この生意気で独身を貫き通した友人に会って良かった!

ありがと!