運河に美しい水紋を広げているのはカルガモ…カモの仲間はほとんどが冬鳥で渡り鳥に分類されますが、このカルガモは年間を通して日本にいる留鳥(りゅうちょう)であります。

わたくしの隣を歩いているのは近くに住んでいる幼馴染み…これがけっこうな頻度で我が家に来ては、やれ本を貸せだの、ラッキョや梅干を漬ければでっかいビンを持ってくるわ、味噌を仕込めばこれまた大きなタッパーを抱えて来るわ、然もやってくる時間帯はいつもお昼時…挙句の果ては「お腹空いた」と昼ご飯をねだる、とんでもない幼馴染みでございます。

    

スィスィと波紋を広げながら進むカルガモ…あっという間に転覆?

「あらま!尻を突き出してる。頭沈めて尻沈まず。浮力ってすごいね」

「何やってんの?」

「カモに訊きなさいよ!水底植物に食らいついてるのカモ…なんちゃって!」

「カモがさぶいってケイレン起こしてるよ。ねっ!あの青いパンツ見える?カモってセンス良いね」

「パンツ~?あぁ!コバルトブルーの羽!きれいだよねぇ」

「カモってオスとメスの違いあんの?」

「カルガモは見分けが難しいね。青パンツも一緒だったと思うな」

本日はふたりして業務スーパーに向かっております。

何んでもかんでも値上がりして少しでも安いものを探して町をさまよっているおばさんふたり…「今日はサ、サラダ油・2本と小麦粉を買おうと思ってんの」

「パスタも安かったよね?どれもこれも重たいモンばっかだね」

「だ・から!リュック背負って来たんだよぉ~」

「戦後すぐの買い出しみたいだよね?もっとゆったりとした老後を夢見てたのになぁ~」

「カルガモの尻見ながら買い物に行けるなんて幸せな老後だよ!」

業務スーパーもひとりで行くとなると勇気が要りますが、図々しい連れがいると勇気百倍で気が大きくなっちゃう。

「これサ、量が多いけど半分こしない?」

「いいけどサ、あーた、いつもうちは3人家族だからって多く持っていくよね?半分こじゃなくて3分の2で計算してくれない?あーたんとこの家族の人数なんて知るかぃ!」

「…モゴモゴ…ド・ケチ」

   

サラダ油が2本も入っているリュックを背負って、今にも後ろにひっくり返りそうな幼馴染みと帰り道を歩いていると…「ねぇ?㐂のした(きのした)でお蕎麦食べて行かない?」と息が上がっているのか昼ご飯を誘ってきます。

「あっ!いいねぇ~寄って行こ」

「ふぅっ~!のど乾いた!ノンアルコール飲も」

まったく飲む気がなかった・わたくし…も、つい飲んじゃった!

「欲しいものが安く買えたから…私、天せいろにしよう」

ここで…ふと冷静になるところが、わたくしの賢いところ?

「業スーで安く買ったって、ノンアルコール飲んで天せいろ食べたら、返って足が出ちゃうんじゃない?天は抜いてせいろにしとこうよ」

でも…目の前に置かれたのは、紛れもない天せいろ。

まっ、いいか!

たいへん美味しゅうございました!

「明日、オイシックスのお買い得セットが届くからね。午前中は出掛けちゃダメだよ」

「忘れてた!」

幼馴染みがカンブリア宮殿で見たという食材キットがお薦めで、わたくしの分も勝手に頼んでおいたと言っていたのを思い出しました。

有難いんだか、大きなお世話なんだか…オイシックスの宅配は2回目となります。

どんな食材キットが届くのか、ここは幼馴染みに感謝しつつ楽しみに待つと致しましょう。

「コンビニ支払いで、1980円だからね!」

「ゲッ!」