先日…いえ、先々日になりましょうか、歌舞伎俳優・中村勘九郎・七之助を中心に中村屋一門が全国巡業公演を、ここ江東区で開催されまして、わたくしの幼馴染み・さわちゃんと近くに住むもうひとりの幼馴染みと3人で行って参りました。

歌舞伎ファンのさわちゃんが「あーたの地元・ティアラこうとうに勘九郎と七之助が来るってよ!芝居はやらないけどもサ、勘九郎が「仲蔵狂乱(なかぞうきょうらん)っての踊るんだって!40年振りだかの披露って聞いてね、これは観ておかないとと思ってサァ~あきらのおっかさんも誘って行こうよ!」との情報を聞きつけ、早々と1月にチケットを押さえてくれました。

わたくしと幼馴染み・あきらくんのおっかさんは都バスで1本、約15分ほどで到着できる近さ!

さわちゃんは豊洲市場でマグロの仲卸業の営業を途中で抜けて来て地下鉄を乗り継いでやって来るでしょう。

久しぶりに乗った都バス…運転手さんのすぐ後ろの席と一番真ん前の席がコロナ禍より3年ぶりの解禁となっておりました。

始発のバスだったので、どこにでも座れるとあって、わたくしとおっかさん、席の取り合いになりましたが、わたくしは普段「ヨガ&ピラティス」で筋肉と体幹を鍛えておりますからね、席取りぐらいで負けは致しません!

見晴らしの良い一番前の席、わたくしがゲット!眺めの悪い運転手さんの後ろの席におっかさんが納まりました。

マスク着用は個人の判断となるそうですが、わたくしもおっかさんも花粉症でマスクを取りたくとも取れない事情がございます。

乗って来る人たち全員・花粉症なのかマスク着用でありました。

これはこれで何やら安心のような気がするのは…周りの視線が気になる日本人だからなのでしょうか?

   

ティアラこうとうに到着~!驚いたことに銀座・歌舞伎座で多く見られる和服姿の方がたくさんおられたことです。

桜を刺しゅうした帯を締めている方、江戸小紋にタンポポをイメージした黄色の帯を合わせている方、水色の地にメダカをあしらった涼し気なお召しなど眺めているだけで非日常を感じることができます。

「着物、こんな時じゃないと着る機会ないねぇ~今度サ、歌舞伎座に出かける時みんなで着て行こうよ!」

  

ヤダッ!ぜったいにイヤだ!

何故かと言いますと、あきらくんのおっかさんはひとりで着物を着られない!

で・ぜ~んぶこのわたくしに着付けから何から何まで丸投げしてくるんです!

ここは聞こえない振りをしてサッサと公会堂へ参りましょう。

「さわちゃん、ぎりぎりの到着かもね」

「店、旦那さんに任せて抜けて来るって言ってたけど…タイミング良く出られると良いね」

「ちょっとぉ!ふたりとも遅いよ!豊洲から来るあちしより地元のあーたたちが遅いってどうゆうことよ!」

「開場したばっかでしょ!でもチケット完売ってすごいね」

「そうなのよ!團十郎襲名公演でも空席があるって言うのにねぇ~さすが中村屋だわよ」

2階席、3階席までどんどん埋まって来ています。

この熱量を共有できるのが、巡業公演の良さであると思います。

2005年から続いている全国を巡業する「春暁特別公演」…2023年は3月6日より東京からスタート!

江東区公演の前日は埼玉県で、この日2回の公演が終わるとすぐに長野県・松本に出発とのこと。

このあと広島県、岩手県、宮城県に大阪に福岡…最終日・23日は愛媛県で12ヶ所・24公演の予定だそうです。

今年でようやく47都道府県を制覇することができると聞きました。

勘九郎さんが今ハマっているのがテレビゲームでコロナ禍で中で覚えてしまったとかで、深夜2時3時まで熱中しているのだそう。

七之助さんは入浴剤で特に気に入っているは「泥の入浴剤」…特別な気分に浸りたい時に奮発するのだとか…当代随一の女形(おんながた)と称される七之助が奮発と言うからには、相当な値が張る入浴剤かと思われます。

トークに参加した中村屋のお弟子・鶴松さんは「サウナ」にハマってしまい、地方公演が終わるとその土地土地でのサウナに出かけるのが今のお楽しみらしいです。

トークの後は春暁公演に相応しく花見の様子を描いた「元禄花見踊(げんろくはなみおどり)」…楽曲も三味線、横笛、鼓に太鼓に鉦に謡(うたい)と生演奏でありますから、なんとも贅沢なことであります。

鶴松さんと中村一門の若手・7人が活躍!

華やかな舞台のあとは、さわちゃんが観たいと願っていた勘九郎さんの「仲蔵狂乱(なかぞうきょうらん)」…これは出世役者・中村仲蔵が得意とした踊りで本公演でも観られないなかなかに珍しい踊りとのこと。

狂乱とありますが、しっとりとした静かな踊りでありました。

最後の演目は七之助さんと鶴松さんの共演「相生獅子(あいおいじし)」…これも珍しく女性ふたりが着物のままで獅子の毛振りを披露する演目となります。

紅白の毛振りが見事に合わさり、とても格式高い舞台であったと思います。

「思いの外、良かったわぁ~中村屋の若手が伸びて来てるからサ、これからも愉しみだね」

「勘九郎も七之助もパッとした華があるよね。あの白塗りでも舞台に出て来ただけで勘九郎って判るもんね」

「まぁ~歌舞伎役者って顔がデカくないと判んないかもね」

「しばらく銀座・歌舞伎座に中村屋は立たないのよ。また演目観て誘うからサ、一緒に行こうね。あっ!これね、本マグロとワサビ。少しづつだけど生だから美味しいと思うよ。あーたたちと違って脂が上質だから」

「ありがと…私たちだって粒子が細かい上質な脂を全身にまとってるよ!」

「…ハイハイ!」

さわちゃんは都営新宿線の地下鉄階段を下りて行きました。

わたくしたちは行きと同じ都バスに揺られ、それぞれ帰路に着きまして、わたくしはサッと汗を流してから踊りの余韻に浸りながら本マグロで一杯!

赤身が好みなわたくしですが、上等な脂は旨い!

ぺろぺろっと5切れ頂いちゃいました。

春らしく暖かで、良い一日でありました。