雨が降る前に、取り敢えず梅を鑑賞しに文京区・湯島天満宮に出掛けて参りました。
湯島天満宮下・黒門町(くろもんちょう)に従姉妹たちが住んでおりまして、天満宮境内で開催される様々な神事、行事に「顔を見せにおいでな」と声を掛けてくれます。
今のこの時期は…「梅まつり」でございます。
寒が戻ったような寒さ!
「誰もいないってサ、余計に寒く感じない?」
「いくら立春が過ぎたからって言ったって、まだ2月だもの。こんなモンじゃないの? あたしら誰もいない朝に用事を済ませちまうからねぇ~観光客がいるってぇと歩きにくくて敵わんのよ」
そうか…寒いと言うより淋しいのかも?
シーンとしてる男坂を…おばさん・3人で「ヨイショ!ヨイショ!」と勇ましく38段上って行きます。
右の方に女坂(33段)があるんですが、男坂を上がれるうちは安易な道は選ばないで行こうと誓っております。
上り切ったところに咲いているのが、この白梅。
ふんわりとした甘い匂いを感じます。
湯島天神は江戸時代より続く「梅の名所」として知られております。
東京・湯島の高台にある天神宮の境内はそう広くはありませんが、築山(つきやま)あり、池あり宝物殿あり、そして樹齢70年から80年物の梅の樹、約20種・300本が植えられた梅林がございます。
他の梅林よりはこじんまりとしておりますが、庶民にとっては何んとも贅沢な一刻であったか思います。
「梅まつり」は昭和33年に第1回を開催しておりますが、わたくしは30年産まれながら、母親や伯父や伯母に手を引かれイッチョ前に梅を愛でておりました。
学問の神様・菅原道真(すがわらのみちざね)公をお祀りする天満宮でありますから、各学校、大学受験の合格祈願の時期になりますと、これこのように受験生が掛ける絵馬で天満宮の境内がプクッと膨らんでいるように見えちゃいます。
雨に打たれようが北風に吹かれようが雪が積もろうが必死に負けじと耐える絵馬…宮沢賢治も真っ青かと思います。
令和5年の干支は「卯・うさぎ」ですから、絵馬はうさぎがあしらわれております。
「国立大学、合格できますように!」
「医学部・合格させてください!」
「第一志望の大学に合格できますように」
「理科3種に合格できますように」
チラチラッと見える絵馬の裏側の大学名にびっくり!
文京区という土地柄なのか東京大学への合格祈願の絵馬が多かったです。
めでたく合格が叶いますれば…感謝を申し上げに「御礼詣り」の絵馬を奉納せねばなりません。
どこに合格したのかなぁ~とちょっと裏返して見たら!
男子中学校・あの御三家である麻布中学校の名が記してありました。
「やったね!」
「天満宮のお力だね」
それはほんのちょびっと!勉強を頑張ったあなた、体調管理をしっかりと整えた君の力だよ!
御礼詣りの絵馬には「おめでとう!」
開運と書かれた絵馬を掛けた若者全員にこれからの受験、ガンバレ!
まだまだ梅の見頃には早すぎましたが、人気(ひとけ)のない境内をゆっくりと回ることができました。
境内に並ぶ露店もやっておりませんで、湯島名物「合格甘酒」を飲むことも叶いませんでした。
「なんの合格を願って飲むのよ!」
「まぁ~いろいろと…」
なんにせよ、わたくしも人間ですからね…「失格」より「合格」に越したことはなかろうかと思います。
この時間、ランチを食べたくともどこも準備中の札が掛かっておりますので、お弁当でも買って行こうとなりました。
湯島のお弁当と言ったら…湯島で群を抜いて高級魚を扱っている「丸赤(まるあか)」の魚弁当に決定!
黒門小学校の対面(といめん)の路地を抜ければすぐでございます。
焼き立ての魚が詰められたお弁当2種…鮭弁当と銀だらの西京漬け弁当が出来上がっていました。
「おみえちゃん、どっちにする?」
「どっちって…どっちも食べたいよ」
ひと折り・1000円。
天下の丸赤の店先でうんうん唸って迷いつつ…銀だら弁当に致しました。
「やだねぇ~唸るなっての!ごめんねぇ~変なの連れて来ちゃってサ」
「これだけ唸って迷う人も珍しいけどもサ、嬉しいよ」
ピーマンとちりめんじゃこの炒め煮、きんぴらごぼうにこんにゃくの煮つけ、それに味付け玉子も格別な美味しさでして、端っこにあるまっ黄きのタクワンの旨いこと…これがまた歯の丈夫なわたくしですから音も軽やかにポリポリと頂きました。
熱々のみそ汁を添えて完食!
湯島名物の梅とお弁当を堪能…実に良い日となりました。
『一所懸命紅梅も白梅も』
(いっしょけんめいこうばいもはくばいも)
西嶋あさ子