冬至が過ぎると少しづつ日の入りが遅くなって、心持ち昼間の時間が長く感じられるようになりました。
なんだかウズウズしちゃうなぁ~
週明けの今日、人形町に用事がありましして友人2人と待ち合わせ…時間ピッタリに3人、芳人町会(よしにんちょうかい)にある工房へ。
「ひと仕事終わっても空が明るいって嬉しいね」
「こんなに早くから飲んでバチ当たらない?」
「当たるとしても、あーたひとりだよ。美味しいモン食べに行こ」
人形町は美味しいお店が軒を連ねております…レッツらゴー!
人形町本店のお肉屋さん「今半」でございます。
ご自慢の黒毛和牛で頂くすき焼き、しゃぶしゃぶは絶品!
「バブルの時、よく食べに連れてきてもらったなぁ~お土産には必ず牛肉のしぐれ煮も頂いてサァ~」
「いつまでも過去の栄光に縋ってちゃダメよ!でもサ、しゃぶしゃぶって、やっぱポン酢が一番だよね」
「そっ!東京にゴマダレってなかったでしょ?」
「今日はしゃぶしゃぶ?すき焼き?」
「うぅん!今日はね、ひとりじゃ絶対に入れないホルモン焼き!」
「ホルモン焼き?おっさんじゃないんだから、今半で食べたいよ」
「一人前の値段、見た?私たち3人全員独り身なのよ。老後の資金をしゃぶしゃぶに使うわけにはいかないの!」
「じゃ何に使うのよ」
「3人一緒にしないでもらいたいわっ!独り身たって事情がまったく違うんだから」
そうなんです!わたくしは夫に先立たれた未亡人。
友人のひとりは大手出版社で編集の仕事に生涯をかけ、独身を通しました。
もうひとりの友人も別の大手出版社に就職。こちらは2度の結婚、2度の離婚で晴れて自由の独り身を獲得し、退職金で優雅なひとり暮らしを満喫しております。
接待やら忘年会・新年会、歓送迎会が盛んに行われていた昭和から平成の時代を謳歌し、場数(ばかず)を踏んでいる彼女たちさえ、ホルモン焼きには入りにくい?
「3人で入れば怖くないでしょ?クリスマスイヴもクリスマスも「ぼっち」だった3人だもん」
よっしゃぁ~入ろうじゃないのよ!
恐る恐る入ったホルモン焼きさん「伊達のくら」…中休みなしでの営業らしいです。
店頭では肉の販売もしていて旨そう!
誰が先頭を切るか…図々しい3人が美しい譲り合い。ここは未亡人の度胸の良さを見せつけてやりましょう。
仕事一筋の友人はビール。わたくしと離婚歴2回はハイボール!
「あのサ、離婚歴で紹介するの止めてくれる?結婚2回の方が聞こえが良いわ」
取り敢えず「コロナの収束を願ってカンパ~イ!」
こんなことだから収束しないんです!
「もつ鍋は食べたことあるけど…ホルモンとなると肝臓と腸と、あとは胃ぐらいしか分からんね」
「いきなり腸とか肝臓とか言わないでよ。焼肉のメニューもあるんだ。私は牛タンとカルビでいいわ」
「そんなの注文したら3人でホルモン焼きに挑戦した意味がないでしょ!」
で…ホルモンの盛り合わせを頼みました。
「これのどこが何んの部位だか不明ってところが不気味じゃない?」
「メニューに何が入ってるか書いてあるでしょ」
「判らん!」
ホルモンには手を付けずにひたすら牛タンとカルビを食べている友人…パリパリキャベツをバリバリと音を立てて食していて、巨大なイモムシのようです。
「これ、韓国のりとキャベツの相性バッチグー!美味しい」
はっきりとした部位は判らぬまま口に入れると…「あ~旨い!」
ビールもハイボールもゴクゴクいけちゃいます。
「ねぇ、このシビレっての頼んでみない?仔牛の胸腺(きょうせん)だって!」
「リードボー?フランス料理やイタリア料理では食べたことあるけど、韓国じゃホルモン焼きに分類されるんだ」
「仔牛が成長するに従って消えちゃう器管なんだよね?成牛にはない部位だから貴重品だって聞いたことある」
「ホルモン焼きの胸腺、食べてみようよ」
塩味で頂く方がより胸腺を味わえるらしいです。
コリコリとしていますが独特の脂の旨味が堪りません。
ホルモン焼きにはあまり箸を出さなかった友人も気に入って、けっきょくひとりひと皿を注文してペロリと頂いてしまいました。
明るいうちに入ったホルモン焼きの店も、徐々に人で埋まって来たので〆はお蕎麦屋さんに行こうとなりまして早々と出て参りました。
人形町の街はそぞろ歩きにピッタシで、たい焼きにソフトクリーム、人形焼きなど買い食いしながらでものんびりと歩くことができます。
途中にある笠間神社でお参りを…二拝二拍手一礼。
「もうね、初詣のつもりでパンパンしちゃおう!」
ギロッとお狐さんがひと睨み!
チャリ~ン!
「ちょっとぉ!人のお賽銭で自分の頼み事しないでよっ!」
願うことは…値上がりばかりで老後の資金が減りませんように。健康で70代に突入できますように。
みんな!なんと言うセコイことに手を合わせているのでしょう。
ふたりの横顔をチラッ!
真剣な顔して祈ってることは…やはりコロナ収束と世界平和でありましょう。
「さぁ~藪蕎麦に行こう!」
老い先短いわたくしたち、早めの年越し蕎麦と参りましょう!