台東区上野2丁目は大昔、およそ150年前には「上野・黒門町(くろもんちょう)」と呼ばれていました。

時代小説・伝七捕り物帳の舞台にもなった黒門町は、上野寛永寺・総門の通称・黒門が所の由来となったそうです。

「それがサ~上野2丁目なんてよ、味も色気もまったくなくて面白くも何んともない所番地になっちって、もう意地で町内会は黒門町会って言ってんのよ!小学校も黒門の冠つけてんのよ。元に戻してほしいわぁ」

母方の従姉妹たちが戦前から住んでいる・ここは、台東区と文京区の境目にあって湯島天神下とも呼ばれています。

    

その従兄妹たちから「菊花展、始まったよ。まだ蕾が多いけどもサ、人が混みあわないうちに出掛けておいでよ。今年もね、猿回しが来るって言ってたから」と連絡を入れてくれました。

蕾が多い菊花展…蕾を眺めてもねぇ~猿回しは楽しそうなので、午前中に出掛けることに致しました。

    

黒門町小学校の裏手にある従兄妹の家で待ち合わせ、連れだって天神様へ向かいました。

「暑いくらいの陽気だねぇ」

急な男坂は見上げるだけにして、右手にある緩やかな女坂からご本殿へ上がって行きましょう。

手水舎(てみずや・湯島天満宮ではこう呼びます)は菊の花で飾られて、如何にも如何にもの風情。

「ここの菊が満開って、どういうことよ?」

「こういうことだわよ。菊人形、見に行こうよ」

今年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の中心人物・3人が不気味に立っておりました。

「なんだかサ、怖いね」

「顔デカ!」

「この間来た時は、まだ製作中だったけど、その時から怖かったんだわ」

感想は怖いと顔デカのふたつだけ…「ふたつありゃ~充分だよ」

湯島天満宮の菊人形はNHK・大河ドラマをテーマにしているようなので時代劇バージョンが多いです。

紫の菊が鎌倉時代を醸し出しているような…う~ん、微妙?

境内に展示してある菊…こちらはまだ咲き切っておりませんから、素人のわたくしでは判別できませんが、管物(くだもの)の間管(あいくだ)ではないかと思います。

あたたかな日が続けば週末には満開になるのではないでしょうか。

「こんなんじゃサ、金賞も銀賞も決められないね。花が開いてないんだもん」

「来週には咲き揃うと思うよ。明日は文化の日で人が押し寄せて来るねぇ~」

    

さて、そろそろ猿回し興業のはじまりはじまり!

日光さる軍団に所属する「りゅうきと大河」くんが来てくれたようです。

「どっちがサルで、どっちがヒトの名前なの?」

「はじめに挨拶があるでしょうよ」

ヒトがりゅうきさん。サルが大河くん。

菊人形と言い、おサルさんの名前と言い、なんだか深~いところで湯島天満宮はNHK大河ドラマにつながっている感じがするのは、わたくしひとりだけ?

    

「みなさんにお願いがあります。もし大河と目が合ったら何気なくスッと目線を外してください。サルは目が合ったままでいるとケンカを売られたと思って攻撃してくることもありますのでね、注意して下さい。さぁ~たいちゃん!今日も張り切っていこうね!バシッと決まったら盛大な拍手をお願いします!たいちゃんは拍手が大好物なんでお願いします」

先ずは竹馬からのようです。

「サルも竹馬から落ちることのないように、たいちゃん頑張ってよ!」

と…コロッとコケる大河ことたいちゃん。

脚が色っぽいね。

横に置いてある黄色と淡いグリーンの椅子はたいちゃん専用の椅子となっています。

お尻・小っちゃい!

このあとは竹馬ごと柵を飛び越えたり、階段を逆立ちして上ったり下りたり、達者な芸を披露してくれました。

   

たいちゃん…いきなり直立不動の気をつけっ!

あぁぁ~大河!巫女さんに見惚れる場合か!

ぼーっとしてんじゃねぇよ!

「ねぇ、大河くんよ。君って幾つ?今日は日光から来たの?巫女さんがタイプなの?」

「口の軽いおばさんに、個人情報は言えません」

従兄妹たちは木戸銭としてポチ袋にご祝儀を入れて渡していました。

      

気温がグングン上がって菊の花が開花したかもしれません。

来年は、来年こそ東京ドームで我らが東京読売巨人軍・日本一を決めてもらいたいと願わずにはおられません。

広島東洋カープから5年ぶりの復帰となった長野久義外野手…37歳かぁ~来季に期待できるような、したいような…こちらも微妙だなぁ~

さっきからどこからともなく焼肉のニオイがすると思ったら…叙々苑から懸崖仕立て(けんがいじたて)の出品を見つけました。

香ばしそうな色具合で開花も9分といったところ…日に当たった花びらで、辺りは華やか!

やっぱり見ごろは今週末からかなぁ~

22日(火)までの開催となっております。

猿回しは菊花展の開催中、行われていると聞きました。

菊もさることながら、日光軍団のおサルさんに会えるのも楽しみにお出かけ下さいませ。

「さて…ぽん多でトンカツでも食べて行こうか」

しめしめ、・しめこのうさぎであります。

上野はトンカツの激戦区で、名の知れた名店、老舗が軒を連ねております。

ロースも良いけど、カキフライも良いなぁ~などと、人の財布で食べる妄想を思い浮かべてたら危うく女坂の階段を踏み外しそうになってしまいました。

たとえ転げ落ちちゃったって、トンカツ屋には這ってでも行くからね!

 

『金賞の字がまだ濡れて菊花展』

(きんしょうのじがまだぬれてるきっかてん)

鷹羽狩行(たかはしゅぎょう)