今日は涼しい、凌ぎやすいを通り越して寒い!

ぶるっと背中に寒気がするたび、1まぁ~い2まぁ~いと服を重ね着、靴下も女子高生のようにひざ下までのハイソックスを履くほど冷えた1日となりました。

  

こんな日は温かなぜんざいを食べようっと!

薄いお餅を2個…トースターできつね色になるようじっくりと根気よく焼きましょう。

冷凍してある粒あんは火山のように沸々と湧いてきたらスタンバイ・オッケー!

雨が降って来たようですが、胃の中が温かなうちに思い切って出掛けるとしますか。

日本橋・コレド室町2で上映中の『川っぺりムコリッタ』…昨日友人に勧められ、上映時間の変更がなされぬうちに観ておこうとTOHOシネマズにやって参りました。

  

本来ならば2021年・7月公開予定であった本作でしたがコロナ禍で延期され、その年の11月公開と発表されたものの、またまた延期!

人々に忘れられちゃったかな?という微かな記憶を頼りに、この9月16日に晴れて公開となりました。

良かったね!

映画館に表示されたポスターなんですが撮り直しがされたようです。

主人公は松山ケンイチ…でも登場人物がみな個性的俳優さんばかりで、場面に登場するとそれぞれが主人公となって独特のオーラを放っておりました。

主人公・山田は服役を終え、北陸でイカの塩辛を作る工場に就職し、そこの社長から川っぺりに建つ安アパートを紹介され、工場とアパートを往復するだけ…人との関りを避けるように孤独な暮らしを始めます。

そんな安アパート・ハイツムコリッタに住む住人は、そんな山田の生き方に関係なくズカズカと山田の暮らしに入り込んで来る…観ているこちらが「そんなの断れよぉ~」とイライラするほどのお節介をしてきます。

そこへ市役所から、とっくに縁の切れている父親が孤独死をしたとの連絡が届きます。

最初は拒んでいた遺骨の引き取りでしたが…この遺骨を巡って山田の生きる意識が変わって来るんですねぇ~

左が2021年・7月公開用のポスターです。

右が2022年公開に向けて取られた新しいポスターとなっております。

そこにはヤギと子ども2人は写っておりません。

撮影されたのは、きっと2020年ごろでありましょうから、ヤギはどうなったのか?当然子どもたちは成長しますから、映画宣伝のポスターに載せるわけにはいかないと思われます。

わたくしたち大人の2年間など容姿に対して差は出ないでしょうが、子どもの2年となるとメイクだけでは誤魔化しようがございません。

ハイツ・ムコリッタの大家に満島ひかり、図々しくも山田の生き方に大きな影響を与えて行く隣人・島田にムロツヨシ、墓石を親子で売り歩いている溝口に吉岡秀隆と、ただぼーっと突っ立っているだけの写真なのに可笑しさが込み上げて参ります。

  

ムコリッタは「牟呼栗多」の漢字で仏典に記載されています。

仏教においての生と死のある時間の単位のひとつとされており、約48分に値する計算となると菩提寺の住職の説法で教えて頂きました。

「刹那(せつな)という言葉を聞いたことがあると思いますが、こちらは一瞬の様を表します。昼から夜に変わる境目に現れる夕焼け空。西に広がるきれいな茜色に染まる空を見上げれば、あの世とこの世のように見えないこともありません。西に極楽浄土があるとされる所以であります」

まだ20代30代のころにはピンと来ない説法も、今・この歳になってみれば気持ちの中でピタッと納まる場所を見つけたように思います。

この並んだ4人からは想像もつかないようなファンタスティックな展開に大いに癒されてしまうのが不思議であります。

荻上直子氏の映画に登場する食べ物が実に美味しそうで、帰りに塩辛を買って行こうかとマジに思いました。

家に帰ってから、この映画を薦めてくれた友人に電話を入れました。

『あ~観に行った?良かったでしょ?登場人物、すっごい豪華だったでしょ!』

「うんうん!ハイツ・ムコリッタの住人だけでもすごいのにねぇ~」

『そうよぉ~江口のりこ、判った?そうそう!塩辛工場の先輩でイカのさばき方が半端なく早い役。マスクをチラッと外した時しか観るチャンスないからね。塩辛工場の社長役の緒方直人は判ったでしょ?笹野高史、田中美佐子は?それとサ、市役所職員の柄本佑…これが良かったよねぇ。あとサ、薬師丸ひろ子、判った?そうそう電話の声だけね。あれ?この声誰だっけかなぁって思っているうちにハタと気付くのよね!薬師丸ひろ子だぁって!その時の感激ったらないわ。何しろ「いのちの電話」の相談役だもん。えっ?原作だとヤギ出てこないの?いいわよぉヤギなんぞ、ただ樹につながれてメェメェ鳴いてるだけだもん。新潮社も日経も共同通信(すべて友人の呼び名・元の勤め先で呼んでいます)も行くってサ、あーたからも薦めておいてよ。じゃね!』

みんな元気にしているようです。

何より何より!

あ~っ!イカの塩辛買って来るの、忘れたぁ~ダウン

 

『秋立つや皆在ることに泪して』

(あきたつやみなあることになみだして)

永田耕衣(ながたこうい)