本日は二十四節気の第10番目である『夏至』が巡って参りました。
生憎の天気でどんよりとして昼と夜の長さが同じであるとは判りませんで…じゃぁ~毎年判っていたかというと、そこのところの肌実感はまったくありませんで、カレンダーの旧暦で「夏至」の文字でようやく解る始末…実に情けないことであります。
これから少しづつ日が短くなって参りますから、夕方を迎える微妙な時間に気持ちが追われるような感覚になるかも知れません。
日々を大事にせねば…このネジを巻いたような蕾・くちなしの花が咲いたなら、梅雨の鬱陶しさに参ってしまったわたくしの気持ちが少し和らいでくれるかも!
梅雨真っ盛り…心身ともに体調バランスがグラグラッと崩れてしまっているわたくし…今日21日は「国際ヨガデー」でもあったんですが、マスター・スタガー氏のご都合でイベントが中止になってしまったとか…わたくし2017年以降、ヨガ大会の参加が叶わず、とても残念です。
マスクなしの呼吸や他の方々の楽しそうな笑顔が溢れていた大会…愉しかったなぁ!
来年こそは!と願ってやみません。
夕方からは東京大学・本郷キャンパスへ。
蒸し暑かった東京でしたが、何んとなく吹く風に冷気を感じるなぁ~と思っていたら…雨がポツポツ!
赤門の瓦屋根もしっとりと濡れております。
赤門からはキャンパス内には入れませんから、正門から銀杏並木へと向かい、友人との待ち合わせの時間までブラブラと散策いたしましょう。
銀杏並木が途切れますと安田講堂がドドーンと現れます。
17時まで45分ありますからね、ゆっくりと通称・三四郎池やアーチ形の美しい窓のサークル室などを訪ねてみましょうか。
霧雨だった雨足がいきなり土砂降りになって来て、安田講堂の正面扉の前で雨宿りとなってしまい、居残りさせられ追試を待っている学生の気分?
あの三島由紀夫と東大論客たちとの熱情溢れる討論会が聞こえて来るようで、耳をそば立ててしまいます。
本日は東大・赤門の隣にある「伊藤国際学術研究センター」の建物・1階にある椿山荘・カメリアが10周年を迎えたと言うことで特別優待プランを受けられるから「おいでよ」と東大地震研究所に籍を置く友人からの誘いがありまして、わたくし都営線・大江戸線に乗ってやって来たとこう言うわけであります。
この伊藤と言う個人名がついた研究センター・多目的ホールは、あのセブン&アイ・ホールディングスの名誉会長・伊藤雅俊氏、夫人の伸子氏による東京大学への寄付(45億円)により設立された施設であります。
優秀な学生たちが日々通う東京大学の赤門の内側に隣接され、千駄木方面から歩いて来ますと一番最初に目にする東大校舎となっております。
さて…椿山荘と名乗っているわけでありますから、当然「ホテル椿山荘東京」の系列でフランス料理を提供しております。
その椿山荘・カメリアが開店10周年を迎えるにあたって、東大職員をはじめ教授や学生、院生、研究職に就いてる方々、外部のお客様もシェフご自慢のコースが格安(6800円が4800円・グラスシャンパン付き)が頂けます。
友人とは椿山荘の店の前・メニューの前で待ち合わせなんですが、きっとモタモタと歩いて来るでしょう。
「お席にご案内いたします」とのお言葉に甘え、勝手に中で待つことにしました。
スタッフの接客もホテル椿山荘仕込みですから、気持ち良いこと!
間もなく…「お待たぁ~」と締まりのない顔でやって来ました。
シャンパンのあとはひたすらガス入りのペリエをがぶ飲みです。
このごろ気象の変動が激しくて体調がイマイチ、日光の手前でありまして、自制心・自分を律する強い信念でアルコールは遠慮しております。
アミューズ(お楽しみ)は「コーンスープと白子のムースピクルス、鱈のブランダードガトー仕立て」…?
セルヴール(給仕)から説明は受けたのですが…「何、コレ?美味しいんだけど」
「こういうのはね、深く考えないの。シャンパンを美味しいく飲むためのひと口サイズの肴のようなモンだよ」
この友人、弥生キャンパスにある「地震研究所」で何を研究しているのか詳しく訊いたことはないんですが、たとえ訊いたとしても学部が文学系であったわたくしにはチンプンカンプンでありましょう。
次に目の前に置かれたのは…お魚料理「太刀魚のサンドウィッチ・桃のレデクション」。
「ご予約を頂いた時にお客様が甲殻アレルギーとのことで、本来ならば海老のミソと桜エビを添えるのですが、アボカドの風味を利かせコクを出しております。共に添えられているのは桃のソースでございます」
「よくまぁ~甲殻アレルギーって覚えてくれてたねぇ~車海老やら伊勢海老は食べても大丈夫になったんだけどね、ミソとか桜エビ、アミの佃煮はドクターストップが出てんの」
「桜エビとアミの佃煮ぃ~?桜エビなんかお好み焼きぐらいにしか入ってないんじゃないのヶ?あっ!この上にカリカリにソテーした桜エビがのってるわ」
「桃のソースって何んにでも合うかもよ」
「私たちレディに相応しいソースだね!誰とでも仲良くなっちゃうモンね。ヒヒヒ」
話が噛み合わない~地震を研究してるヤツって変わってるんだよねぇ。
甲殻類を取り除いたわたくしのお皿…サッパリとした・と言うか淋し気な佇まい?
でもフワッと仕上がった太刀魚、美味しいかったですねぇ~
それしか申せません!
お肉は鹿肉のジビエを豚三枚肉で巻いたもので、ソースは甘酸っぱいベリーが添えられています。
「う~ん!これは赤ワインでしょ!」
「あーた、アルコールは控えてんでしょ?」
自分は白ワインをすでに2杯を飲んで、鹿肉に合う酸味のある赤を飲んでおります。
「なんか軽くて鹿と相性の良いのないの?」
「鹿と相性が良いのは馬だよ」
友人と同じワインをチョイス!
「やっぱり肉料理にはペリエより赤ワインだね」
「一杯だけにしときなさいよ!それグラスワインだけど高いよ」
わたくし、舐めるようにして最後の一滴まで飲み干しました。
お隣の席にも教授会のような集まりが始まったようで、解剖だの論文だのと我々とは違う理知的な話題を展開しております。
「あーたが相手だとロクな話しかできんわ」
これだからリケ女…リケおばさんはイヤなんだよね!
デザートは温かなカカオボールの甘味と酸味の利いたイチゴのアイスクリームにコーヒー。
「ねぇ、石川県の地震って何んなの?」
「何んなのって訊かれてもなぁ~能登半島地震って2007年から続いてんだけどね、岩盤は固いんだけど流体が入り込んでの歪みって言われてんのよ」
「水が原因なの?」
「うん、そう言うことになるかな?それを研究してるチームは別にあるからね」
いずれにしろ大事にならぬよう願うばかりです。
「ここね、優待プランって言っても毎週かな?メニューが変るし、ランチも美味しいからフラッと来て食べにおいでよ」
大学のキャンパスにあるとは思えぬほどしっとりと落ち着いた雰囲気のフランスレストランです。
夏至を迎えたとは言っても、まだ薄明かりが残っている19時…お開きにちょうど良い時間でございました。
『地下鉄にかすかな峠ありて夏至』
(ちかてつにかすかなとうげありてげし)
正木ゆう子