我が2丁目町内にある区立図書館が大規模改装工事のため、10月の半月間・貸し出し・返却・閲覧なしの完全休館になっておりました。

江東区内にある他・11ヶ所の図書館を渡り歩いた図書館放浪もにも疲れ切ったころ…ようやく予約の受付け並びに貸し出しと返却が叶うようになって、とにかくホッとしております。

何しろ紙の本は重い!

文庫本でも5~6冊は1度に借りますし、単行本だったら2~3冊借りてバッグに入れようものなら、ついでの買い物もままならぬ日々でした。

      

先月27日にスタートした「読書週間」 も1週間が過ぎ、残すところあと7日…読書の秋にどっぷりと浸かって参りましょう。

ざっと家事を済ませ、昼過ぎから読み始めた文庫本…ポール・オースター・著『幽霊たち』。

この作家・ポール・オースターは本国アメリカよりも先に日本で人気が出たと言われております。

その最大の理由は、ひとえに翻訳家・柴田元幸氏の力であると思います。

『幽霊たち』は「ガラスの街」、「鍵のかかった部屋」の作品と共にニューヨーク3部作となる位置づけになるのでしょうか。

登場人物は、新米探偵・ブルー、依頼人・ホワイト、それと見張られるブラックの3人のみ。

たった3人なのに人相・素性・性格の描写がまったくないんです。

ブルーは請け負った仕事・ある男を見張るだけを1年間続けます。1年間続けてみてブルーは「なんかヘンじゃね?」と思い始め、依頼人の意図が分からなくなってしまい、変装してブラックに近づいていくのですが…

「あれ?ブラックってホワイト?じゃ依頼主はブラック?」

存在する人間であるのか、果たして幻なのか…はたまた足があるのか?

わずかな展開でハードボイルな探偵モノが柔らかで味わいのある物語へと変わっていくのが面白いです。

「あ~面白かった!」と本を閉じたのが3時ちょっと前…お八つタイムに致しましょう!

冷凍してあったチーズケーキを軽くチン。その代わりコーヒーは丁寧にドリップ…良い香りが読後の余韻を引き立ててくれます。

歯をしっかり磨いたら、読み終わった本を返却しに図書館へ。

次の予約本が準備できているとのメール連絡が図書館から入っておりますので、気が急いてしまいます。

学校の下校時間と重なったようで横断歩道を渡って来る小学生でいっぱい!

「明日、休日でうれしい。朝ゆっくり寝られる」

「明日休みって思うだけで気持ちが安らぐ…でも午後から塾だ」

「明日って祝日でしょ?それなのに塾、あるの?」

「休みの日はテストなんだ」

大人顔負け…いっぱしの会話をしながら通り過ぎて行きます。

ランドセル背負ってる姿は、どう見ても3・4年生のようだけど…もう塾に通ってるんだぁ~

けっこうハードスケジュールで大変なようです。

せっかくの「読書週間」なのになぁ~明日は「平和と自由を愛する・文化の日」でもあるんだよ。

どういう意味合いの旗日であるか、テストに出るかもよ!

わたくしの子ども時代は、本をたくさん読んでいれば勉強していると勘違いされ、もう!それだけで褒められた良い時代でした。

少し大人になって振り返って見れば、あれは勘違いなんじゃなくて、確実に勉強になっていたことに気が付きました。

今ではだれも褒めてくれないけど、本を愉しんで読み続けることができてる!

なんと幸せなことでしょう。

図書館の歩道脇にツワブキの花が咲き始めていました。

「あ~もうそんな季節になってたんだ」

渋い花ですからね、小学生の目には留まらぬようです。

ツワブキは子どもたちが行き交う賑やかな声だけを聴いている、そんな風情で咲いています。

 

『石蕗の花つき出してをる日向かな』

(つわぶきのはなつきだしておるひなたかな)

清崎敏郎(きよさきとしお)