昨日の雨風で浮遊物がきれいに洗い流されたのでしょう、今朝の東京の街はすっきりと晴れ渡っております。

こんなに遠くまで見渡せるのであれば…日本一の富士山、見えるかも知れません!

あっちかな?こっちかも…?

東京で360度見渡せるところって、わたくしの日常では見当たりませんで、我が家・12階の眺め・180度が精々と言ったところでございます。

手かざしで眺めやれば正面に見えるのは東京スカイツリー634mのタワー、先っぽまでくっきりと見えるじゃないですか!

残念ながら、この限られたパノラマでは富士山は見ることは叶いませんでした。

おっととぉ~急がないと待ち合わせ時間に遅れてしまいます。

待ち合わせ場所は、わたくしの住むマンションから歩いて数分、図書館前のケヤキの木の下で…

待ち合わせの約束をした相手は、相も変わらず幼馴染み・美大院生のひとり息子・あきらくんのおっかさんであります。

このおっかさん、コロナウィルス感染が広がる前のお楽しみは、富士山には1歩も登らず、ただひたすら富士山の麓だけを右回りに歩く、それも12ヶ月・1年もの歳月を掛けて制覇するウォーキング・ツァーが大好きと言う、歩くことに関しては大先輩となります。

ケヤキの木の下でぼーっと突っ立てる…あれで少しは世の中のこと何んか考えてんのかなぁ~

「お待たせ。あのサ、富士山って、どっちの方向?」おとめ座

「…どっちって?ドッチボール?」

「はぁ~汗なんも考えておらんわ。公園のベンチに行こ!」おとめ座

「ちょっとだけ図書館に寄ろうよ。今日の朝刊にね、2021年・本屋大賞、第1位になった本が紹介されてたのよ。園田まちこって言ったかな?」

「…?それって町田そのこじゃないの?『52ヘルツのクジラたち』でしょ?」おとめ座

まったく…こいつは字が読めてんのかねぇ~

全国の本屋の店員さんが推薦する1冊で、ひとりでも多くの読書好きな方に読んでもらいたいと厳選なる投票で決まる、作家さんにとっても名誉ある本屋大賞であります。

それを園田まちこだって!

  

でも…わたくしが行き付けの駅前本屋・文教堂の凄腕女性店員さんであれば…この存在しない作家名を伝えただけで…「園田まちこさん?ちょっとお待ちください。お待たせ致しました。お探しの本はコレではないでしょうか?町田そのこさん・著『52ヘルツのクジラたち』、間違いないと思います」…両手でスッと差し出され、本を掴もうとすると、またスッと引っ込められ「お買い上げでしょうか?」とニンマリとする、まさに本屋の店員の鑑!天晴れでございます。

「その本!あきらも読みたいって言うから予約しようと思ってんの」

で…図書館のカウンターに予約票を出して「今んとこ、どのくらいの人が待ってますか?」と訊ねたら…なんと!661人待ちだって!

「どうする?」などと迷っている場合ではありません。

ネットからどんどん予約が入っているでしょうから、とにかく662番目を確保しなければならず、「お願いします」

「ねぇ、あーた、買わない?」

「その言葉、そのままそっちに返すわっ!」おとめ座

仲間が聞き取れない52ヘルツと言う高い周波数で鳴く、世界で1頭だけの鯨を指す『52ヘルツの鯨』。

その鳴き声は1980年代からさまざまな場所で定期的に検出されている実在の鯨だそうです。

仲間が近くに居ても、何も聞いてもらえない、誰も分ってもらえない…「世界で最も孤独な鯨」と呼ばれていることを知りました。

学校で職場でいくら救いの声を発しようと誰も気が付いてくれない…そんな悲しい物語を町田そのこさんは、どのような作品に仕上げたのでしょうか。

この地球の海のどこかで泳いでいる孤独な鯨、それを敢えてクジラたちとし、生きにくい今の世の中をどう描いているのか…

辛抱強く順番を待つか、思い切って購入し、図書館に寄贈するか…ここは充分迷う価値がありそうです。

「クジラたちの代わりと言っちゃぁ~何んだけどサ、今野敏の隠蔽捜査(いんぺいそうさ)の最新作、持って来た。読む?」おとめ座

「…読むわよ!なんでコレを真っ先に出さないの!あきら、この清明・8を楽しみにしてたのよ」

「姫川玲子シリーズのオムニバスも、昨日ほたて持って来てくれた時、あきらに渡したわよ。この清明ってタイトル、今の時期とピッタリでしょ?20日には穀雨(こくう)を迎えるもんね」おとめ座

「あ~旧暦の二十四節気ね。で?主人公である竜崎伸也・警視長は元気でやってんの?」

「大森署長から警視長のまま神奈川県警に移動になったわ。今回は奥さんの冴子さんが良い働きをしてるわよ」おとめ座

「冴子さんが?それは楽しみ。おっ!忘れるとこだった!コレね、本の代わりと言っちゃなんだけど、台湾カステラのお裾分け」

  

「台湾カステラ」の専門店が銀座・東急プラザ、地下2階にオープンしたのだとか…新しモノ好きな幼馴染みがさっそく買いに行ったそうです。

四角い顔のパパと「車でパッと行ってパッと買ってパッと帰って来た」んだと!

台湾のカステラの製法を取り入れ、あっさりとした甘さと触感に焼き上げたカステラでプレーンの他にチーズ、宇治抹茶、チョコレート味もあって若い女性のスィーツ心を掻き立て、すでに大評判とのこと。

「これはね、プレミアムプレーン。ホレ、マレーシアに蒸しパンあるでしょ?あのマーラーカオに似てるかなぁ~開店したばかりだから店頭にランの花が並べられてあって華やかだったよ」

「蒸しパンみたいって…焼いてあんでしょ、コレ?あ~でも良い匂いがする。ありがと。お八つにするわ」おとめ座

「良いって良いって!気にしないで食べて!52ヘルツのクジラたち、あきらも待ってるからサ」

単行本1冊、税込み・1、760円也。

実を言いますと…わたくし、もう1冊・買うか買うまいか迷っている本があるんです。

コレでございます!

カマキリ先生・著『香川照之の昆虫すごいぜ!図鑑1』…表紙のインパクトが強すぎて手に取ることが出来ません。

「人間よ、昆虫から学べ!」の副題通り、まだまだ学ぶところが多い、わたくし・ヒト科。

6月・水無月にはカマキリの卵がふ化する季節が巡って参ります。

ここは…あの女性店員さんの目をかすめて暫し立ち読みと言う手もありますが潔く買うとしますかねぇ~

どっち?それはドッチボール。本屋に行ってから決めますか。

でも…凄腕・女性店員に会ったら、両方買わされそうな気が致します。

けれども我が町にある本屋さん、応援しなきゃ!