「あら~大きなほたてだこと!これは食べ応えがあるねぇ~」

幼馴染み・さわ子が豊洲市場でマグロの仲卸業を商っておりまして、そこにもうひとりの幼馴染みのひとり息子・美大院生・早朝アルバイトに入り、家内工業の人出不足を補っています。

仕事を終えたあきらくん、豊洲市場から自転車を漕ぎ漕ぎ幾つもの運河に架かる橋を渡り、わたくしが住むマンションの前を通って帰るのが一番の近道となっております。

「ついでだからサ、届けてやってよ」とさわ子から売れ残った魚介類が届けられます。

で・今朝は「北海道産・ほたて貝柱」と言うわけでございます。

  

マンションの正面玄関から通りに出て待っていますと…来た来た!

リュック担いで、親父さん・そっくりの四角い顔で自転車を漕いどるわ。

「自転車は顔で漕がねぇよ!ハイほたて!ったく、背中が冷え切っちゃたよ!これね、トンネルフリーザー(急速冷凍装置)で剥きたてをパッと凍らせたほたてだって。解凍してもドリップ(汁)が出ないからメッチャ美味しいってサ。本、持って来てくれた?」

先ほど…『今から豊洲出る。なんか面白い本あったら貸して』と電話の時に言われていたので、読み終えたばかりの1冊を大盤振る舞い!

あっ!姫川玲子!誉田哲也の新刊書じゃん。まだ本屋で平積みされてるよ、コレ!おばちゃん、買ったの?」

今年の2月に刊行された姫川玲子ファン待望の1冊です。

「図書館に予約しようと聞いたら半年ぐらい掛かるかも知れませんって言われてね、そんな先まで生きてるか分からないでしょ?思い切って買っちゃったわ」おとめ座

「それは賢明な判断だったと思うよ。立ち止まるな、姫川玲子かぁ~サンキュッ!さわちゃんに連絡しといて。そうだ!今サ、竹橋の国立近代美術館で「あやしい絵展」ってのと、乃木坂の国立新美術館の「佐藤可士和(さとうかしわ)展」やってる、どっちも面白かったから、おばちゃんも行ってみなよ。高いけどね。じゃね」

「うん、ありがとね」おとめ座

開催しているのは知っていましたが…国立だと言うのに、何しろ入館料が高すぎる!

美大院生・あきらくんは学割があるから多少は安くはなるでしょうが、年金暮らしの中での1、800円と1、700円は高いよぉ~

と・思っていたら、NHK・Eテレの番組「日曜美術館」で放送!

受信料だけでふたつも見られちゃった!

美大院生からすれば「本物を見るから価値があるんだ!」と言われそうなので、お口にチャック!

 

誉田哲也・著『オムニバス』…ご存じ姫川玲子シリーズの最新作・とは言いましても、タイトル通りのオムニバス・7編が収められています。

7編の短編は2016年から「Kindle(キンドル)・電子書籍」で配信された作品となっています。

警視庁捜査一課・殺人犯捜査一係の主任を任されるほどの敏腕刑事、警部補・姫川玲子。

今までに刊行された「姫川玲子シリーズ」はすべて読んでおりますが、今回はを支える姫川班のメンバーたちのキャラクターに焦点が合わされ、充分に楽しめました。

ただ、あの日野刑事と姫川主任の何んとなくの接近が感じられたのに…日野刑事、転属になっちゃって残念!

短編集ですし、再掲載でありますが『Red Shoes(赤い靴)』と『Blue arms(青い腕)』は物語につながりがあり、改めて面白いと思いました。

「姫川玲子・ドルチェシリーズ」で登場した魚住久江(うおずみひさえ)刑事が姫川班に配属されるところで終わってしまいましたが、次回作には新メンバーとしての活躍が期待されます。

誉田さん!今度は長編・難事件の作品を待っています。

それにしても姫川玲子って後ろ姿でもカッコイイ!

カチンコチンだった「ほたて」の様子を見ると、さすがトンネルフリーザー、ドリップがまったく出ておりません。

芯はまだ凍っているようですが、包丁を入れるには丁度良いでしょう。

ワサビで頂くお刺身も美味しいけど、今日は「ほたてのカルパッチョ仕立て」にしてみたいと思います。

ディルの香りとレモンの酸味で大きなほたて・2個ペロリ!

火を入れると貝特有の甘さが増しますからね、次はバターソテーにするか…セロリと炒めるか?

ビールを飲みながら、ゆっくり考えましょう、何しろ…まだ午後4時過ぎですから!

お天道様に申し訳ないと思いつつも、青空は雨雲に覆われてしまっておりますので、わたくしの昼酒、お目こぼし頂けるかと上目遣い…ごめんちゃい!