二月大歌舞伎』…第3部を観に行って参りました。

「とにかく勘九郎の息子ふたりに感動しちゃうから観に行っておいでよぉ~子役で舞台踏めるのもサ、あっという間に終わっちゃうからねぇ~変な言い方だけどもサ、子役ながら脂がのってるって言うの?上手だわよぉ!勘太郎の仔獅子は最年少になるんだって。猿之助の最年少を勘太郎(現・勘九郎)が10歳で塗り替えて、その父親・勘九郎を9歳で塗り替えったってのも話題のひとつなのよ。うちのおっかさん、ずーっと中村屋一筋じゃない?生きてるうちにね、このふたりの舞台を観られて良かったって感激してた。あーたも生きてるうちに生で観ときなさいよ。歌舞伎座ね、コロナ対策もバッチリだし、ひと席おいてのチケット販売だからゆったりと観られるわよ」電話

築地・小田原町に住む、わたくしの幼馴染み・さわちゃんからのお薦めもあり、ダメ元で松竹にチケット申し込みをしましたら、すんなりと2階正面席が取れまして、本日17時30分開演、第3部(17時30分~20時)の観劇と相成りましてございます。

   

十七世・中村勘三郎の三十三回追善狂言の演目は、先ずは「奥州安達原(おうしゅうあだちがはら)袖萩祭文(そではぎさいもん)」。

祖父の当たり役を孫である中村勘九郎が安倍貞任(さだとう)を、その貞任と契ったために勘当され流浪する袖萩(そではぎ)を勘九郎の弟・中村七之助が、貞任と袖萩の間に産まれた娘・お君を勘九郎の次男・長三郎(7歳)が演じるとあって、これは見逃せぬと楽しみにしておりました。

続いて半世紀前に十七世と十八世(当時・勘九郎)親子が勤めた中村屋の当たり狂言の「連獅子」。

親獅子に中村勘九が、仔獅子には勘九郎の長男・中村勘太郎(9歳)が初役で演じるそうで、9歳の体でどのようにして獅子の勇壮な毛振りをするのか…これまたワクワクして参ります。

新聞などの評では、勘太郎くんが舞う仔獅子は初役ながら、この音曲が持つ品格を良く理解し、果敢に挑んでいるとのことであります。

次男・長三郎くんは、今まで中村屋にはなかなかなかった美声の持ち主と評判だそうで、歌舞伎特有の甲高い声と節回しでありますが、それが聴けるか楽しみであります。

座席はひと席おいての販売ですから、ふたり連れのお客様でも並んで観ることは叶いませんが、その徹底とした感染防止策に納得されるのではないでしょうか。

歌舞伎座の案内係の人が注意事項を書いたプラカードを持って座席の間を静かに回っておりました。

「携帯・カメラの電源を切って下さい・マスク着用をお願い致します・会話はお控え下さい・背中を座席に付けてご覧下さい」

その他にも座席やロビーでの食事は一切禁止となっていました。

わたくし…背中を座席に付けてご覧下さいっての意味が解らず…??でありました。

開演のブザーが鳴りましたので、携帯をOFFに致しましょう!

さぁ~最初の演目、七之助が袖萩を演じる『奥州安達原』の幕が上がります。

七之助は盲目・袖萩を気品の中に哀れさを滲ませ、さすが当代・随一の女形!

うっとりです。

お君を演じる長三郎が花道から出て来ると温かい拍手が1階から響いて参ります。

ここ2階席からは花道のすっぽんあたりしか見えません。

揚幕が上がる「シャッ!」とした音も聞こえません。

迎える拍手のタイミングが少しだけ遅くなってしまうのが、少々難でございます。

次回からは席選びの参考と致しましょう。

ここで、わたくしハッと気が付きました。

知らず知らずのうちに身を乗り出して花道を、舞台を観ておりました。

「いけない、いけない!」…背中を座席から離しちゃいけないって、このことだったんですね。

ついつい芝居に、役者に魅入ってしまい、のめり込んじゃうんです。

でも…周りの方々も身を乗り出して観ております、その気持ち分かるなぁ~

丸顔の長三郎くん、良く通る声で…うん、耳に心地よい声であります。

「連獅子」は最初から最後までお父さん・勘九郎より勘太郎くんに目が釘付けになってしまいました。

9歳ながらも見事な毛振りを披露してくれ、これで曾祖父から4代へと伝承芸がつながったかと思います。

大向こうが禁止された公演でしたが、場面・場面で型が決まると会場から熱い拍手が波のように湧き上がり、わたくしたち観客も高揚感を味わうことができました。

帰りも列ごとに分かれた退出を誘導され、みなさん・ゆっくりと歌舞伎座をあとにしておりました。

午後8時までにすべての演目は終了…ちょっと小腹が空いたなぁ~と思っても、銀座の街も築地の飲食店ものれんが仕舞われたり、ネオン看板が消えていて、これは真っすぐに帰るしかないようです。

しっかりと「緊急事態宣言」と営業時短を守っているのを実感しました。

東銀座から我が家まで歩いて帰ってみようかなぁ~

1時間とちょっとあれば帰れそう…速足歩きで鍛えましたからねぇ~先ずは第1歩・永代橋に向けて出すか?

勝どき橋に向かって出すか?暫し迷っております。

夜空もきれいに晴れ渡っており、ふたりの勘三郎・じじちゃま、きっと目を細めて喜んでいるでしょうねぇ~

わたくしも、たいへん愉しゅうございました。

千穐楽は27日でございます。