東京でのコロナウイルス感染者数は日に日に増え、今日・11月20日は522人と2日続けての500人を数えたのこと。

政府や都の行政要請の他に自分で決めるルールを確立せなばなりません。

「不要不急」の外出をせぬこと。買い物は保存が利く物を少し多めに買って置くよう心掛けること。無意味に怖がらずに恐れること。

でも…やっぱり多少の我慢を自分に課すこと、これが65歳・わたくしの課題でございます。

  

右目に緑内障のケがあると診断されてから、凡そ10年になります。

その間、3ヶ月ごとの定期健診には半年に1回の視野検査と、遺族年金暮らしのわたくしには結構な出費となっております。

本日は、その定期健診の予約が入ってる日…本当はこの時期に行きたくないなぁ~今のところ、これと言った異常は感じませんし、1回ぐらい飛ばしたって・そんなに変化はないように思っちゃうのも仕方のないところ。

10年・右目の視野も欠けてる心配もないし痛みも感じない…今回は見送ろうかなぁ…然しながら、この・わたくし見た目以上の小心者!

「もし、今日・検査を受けなくて、いきなり視野が閉ざされちゃったらどうしようぉ~!」

で・予約時間ギリギリに家を出る始末!

江東区・南砂町にある「順天堂大学医学部付属・東京江東高齢者医療センター」は眼科に定評がある病院でして、家から近くですし、最新の検査機器が揃っております。

病院への遊歩道は夕べ吹き荒れた南風で枯れ葉の吹き溜まりが出来ていて、掃き集める方の掃除が大変であろうけど…カサカサ・シャリシャリと香ばしい音が聞きたくて、水溜まりを好む子どものように足で枯れ葉を踏んで晩秋の愉しさを味わってしまいます。

小路を抜けた芝生の先に…紅葉と「えっ!桜?」

予約受付の時間を気にしつつ、思わず駆け寄ってしまうほどのオーラを放つ桜を目指し、観桜!

この季節に咲く桜と言えば…十月桜に分類される「小彼岸桜・(こひがんざくら)」でありましょうか?

染井吉野の花より小ぶりでほんのりと桃色が立っている可愛いらしい桜です。

豆桜と江戸彼岸の種間雑種か生まれたとされ、自然交配も粋なことを成すものだと感心するばかり。

春のような陽気な晩秋に眺める桜…これだけで来て良かった!

  

精密眼圧検査、眼底三次元画像解析などの検査結果は「視力も視野も大丈夫。このまま様子を見て行きましょう」で、次回・2月の予約を言い渡されました。

「ひとまずは安心。だけど検査代って高いよなぁ~」とブツブツ呟きながら我が町・深川へ戻って参りました。

小さな交差点で信号待ちをしていると、3つぐらいの男の子を連れた若いお母さんが信号を支えている柱の横にうずくまっています。

『具合が悪いのかな?』…ちょっと顔を覗き込むように様子を見てますとぉ~!

お母さん、立ち上がると同時に手の平にある「カマキリ」が目に飛び込んで来てピクピクと細い脚を揺らし、体を支えているじゃないですか!

やややっのや!かまきりじゃん!動いてるぅ~!生きてる!

もう驚きと感激で胸がいっぱいになってしまいました。

この東京に!しかも車が多く通る町の中に!人も忙しく行き会う中での出会いは、もう「奇跡」のひと言でありましょう。

懐かしいなぁ~この丸っこい姿は背中の白い斑点が特徴の「ハラビロカマキリ(腹広蟷螂)」です。

「班点なんですか?私、傷がついてるのかと思いました。ハラ、ビロですか?お腹が膨れてますね」

「卵を持ってますねぇ~何か食べて栄養が回ると、すぐに卵を産み付けますよ」おとめ座

若いお母さん、カマキリを怖がっている様子はまったくありませんで、カマキリの好きなようにさせています。

「私、宮城県の山ん中で育ったので虫はもちろんニワトリも牛も馬も平気なんです」

腕から肩へ、髪の毛を綱のように渡りながらマスクへと移動。

「お母さん、マジに凄いわ!」おとめ座

こちらを見るカマキリと目が合ってしまい、タジタジ…なんと2年ぶりの生のカマキリとのラヴコール!

「娘が幼稚園から帰って来るバス待ちなんです。娘にも見せてあげたくて…カマキリってこんなに冷たかったですかね?」

お母さんが怖がらず、気持ち悪がらなければ、きっと娘さんも虫好きになるかと思います。

だって…3歳の男の子、人差し指と親指を使ってカマキリの背中を摘まもうとしてまして、これは甲虫・カブトムシやクワガタを捕まえる仕草であります。

「ほほっ~ボクは虫に慣れてるねぇ~カマキリはね、後ろから捕まえるより手の平を向けると喜んで移って来るよ」おとめ座

「こっちだよ」と小っちゃな手の平を広げてくれました。

「おねぇちゃんにも見せてあげようね。これってハラビロカマキリ…のメスでしたよね?」

「そうです。図書館の昆虫図鑑を見ると色々な種類のカマキリが詳しく載ってます」おとめ座

「ありがとうございます。帰りに寄ってみます。家で飼えますかね?」

「もちろん!部屋の中に観葉植物ってあります?そこに放すと棲家にしますんで、挽き肉とか鶏の皮とか…カマキリって肉食なのでね、竹串か割り箸の先に与えると面白いように食べてくれます。カマキリは水も良く飲むので葉っぱの上に水滴をのせると器用に飲むんです。木の幹にブクブクと泡に包まれた卵を産み付けたら力尽きて死んでしまいますけど、植木鉢の土に還してあげれば命は次につながって行くと思います!それが無理なら、なるべく早くに植え込みや遊歩道の草むらに放してあげると鳥や他の生き物が見付けて食べちゃいますから、これもまた食物連鎖となって別の命につながります。カマキリはね、そのカマでもって厄を難を払ってくれるって言われてるんです。コロナウイルス、サァーッと払ってくれると良いわねぇ~」おとめ座

「そうなんですか?娘と相談して飼うかどうか決めます。ホントにありがとうございました」

「こちらこそ!ありがとう。ボク、バイバイ」おとめ座

問題は一家の大黒柱・お父さんかも?案外、大きくなった男性の方が虫・昆虫が苦手な人、いるんです。

振り返って見たら、ハラビロカマキリはボクの腕を愉し気に這い上がっておりました。

  

今日は満開の桜で迎えられ、難を払ってくれる吉兆の虫・カマキリにも出会うことが叶い、誠に佳い日となりました。

なんだか一杯やりたくなっちゃったなぁ~

さわちゃんに貰った肉厚のシイタケをたっぷりの摺おろしニンニクで炒めてみました。

「おお、乙な味」

小ちゃくとも、こんな都会で生き抜いているカマキリに乾杯!

脚1本欠けることなく、翅も傷んでおらず、カマキリよ・上手に夏を越したね、あっぱれ!

わたくしだってヒト化・霊長類、何んとか工夫を重ねて行かねばなりません。

お互い・あと少し生きて行かなきゃねっ!

 

『蟷螂の一文無しの行路かな』

(とうろうのいちもんなしのこうろかな)

藤田湘子(ふじたしょうこ)