わたくし、本日のスケジュールはと申しますと…新鮮な野菜&フルーツを買い求めに我が家・行き付けの八百屋に出掛ける・のみであります。
それも天気次第でして、雨風が少しでも強いようでしたら「即・中止」と決めておりました。
雨が上がり、辺りは湿気でムーワァ~…ロジャーにしようか?ジュリアンにしようか?
出掛けることにしました。
八百屋に行く途中にある桜並木がほぼ満開…木はまだ若く、ようやく花房が揃って咲くまでになりました。
桜を愛でる人もなく淋し気な風情…やはり桜は人に見上げられてこそ、その魅力を発揮するというものです!
ここは熱い視線を送りながら大いに褒めると致しましょう。
「きれいだよぉ~」
何やらポッと花びらが紅に染まったような…?
カラカラカラッポ…カラリンコと知的な音を立てているのは、わたくしが引いているショッピング・カート!
買い物の中で重い物リストの上位を占めるのは、意外や意外!野菜&フルーツであると思います。
自転車で行けば楽チンなんですが、2週間ほど前に「良性発作性頭位めまい症」に襲われ、何んとかめまいは治まったのですがフワフワとした浮遊感が未だ抜けずにおります。
無理して乗って未亡人がよろめいてコケでもしたら、何を言われるか分かったもんじゃございません。
「何によろめくか?…で意見が分かれるね」…未亡人の勝手でしょっ!
たかが野菜、されど野菜を買いに行くのに、ここまで考える未亡人はいないと自負しています!
「あれま!」…店は開いてるようなんですが、まだ野菜やフルーツの仕分けが済んでないようで店先に段ボールが積まれたままになっています。
「今・行くとぜったい手伝わされるよなぁ~露地裏、1周してこようかな」
「おっ!おみえちゃん来てくれたの?今日最初のお客さんだよぉ~縁起が良いのか・悪いのか?いらっしゃい!」
マスクをしてモゴモゴとしゃべってて何を言っているのか上手く聞き取れないのですが、どうせこんなことを言っているに違いありません。
「久しぶり!今日は開店、遅いの?」
「ううん、店に来てくれるお客さん・少ないだろうと思ってサ、配達の仕分けを先に済ませてるんだよ。おみえちゃん、今日は何が欲しいの?」
「お薦め品ってなに?」
「この時期はね、何はなくとも江戸むらさき!お薦めの一等はなんと言っても春キャベツだね!それと人参に、保存がきく玉ねぎ。ナスは採れ立てだよ。見てよ、この切り口!生でも食べられちゃうよ。菜っ葉はね、ちょっと高いかな。リンゴは最後の仕入れだけども、サンフジで蜜が入ってるよ。グレープフルーツも実が詰まってて上物よ、持ってごらんな。皮がパンパンでしょ?果汁が凄いのよ!ここまでおせぇて(教えて)あげたんだから、ぜんぶ買って行こう!」
「それってサ、桃屋の海苔の佃煮の口上だよね?わけ分かんないわ。あのね、人参。魚沼群・津南町から『雪下人参』が届いたばっかしなの。貴重な人参で手に入んないって言うじゃない?卸してあげようか、高値で?」
津南町に住む友人「どうもども・トミさん」から、毎年欠かさず送って下さる雪下人参は魚沼の登録商標となっておりますが、なかなか本場物は東京に出回りません。
今年は雪が少なく甘みが増さないと商品にならないとの心配で、わざわざ畑の人参を掘り起こし、雪が積もる高い山まで運び冬を越させたと聞きました。
「こっちはサ、家の裏サ行けば畑でっしょ?掘りゃ何んか出てくるけど東京は買い物も大変でっしょ?ニンニクやらキノコやらも入れとくから役立てよ」
有難いお心遣いに深く感謝申し上げます。
さて…我が家行き付けの八百屋のおぃちゃんのお薦め品である野菜&フルーツ、人参を除いて、ほぼ全品買い求めて参りました。
「じゃね、玉ねぎ3キロ入りをふた袋。リンゴも最後と聞いちゃぁ買わないわけにはいかないわ。段ボールの半分・12個、清水の舞台から飛び降りて買っちゃうぞぉ」
「おみえちゃんよ、飛び降りっちゃっちゃぁダメよ!その歳で飛び降りちゃったら寝たきりになっちまうよ。気持ち・つもり・覚悟だけで良いんだよ!おいおい!ナスより硬い物を下に入れなきゃサ、ナスが傷んじゃうでしょうがっ!買い物カートに詰めるんでもサ、センスが要るんだぜ。なんだよ!この入れ方…詰めりゃ良いってもんじゃないだろぅ?ちょっと全部出して、そこに並べて。もうちっと大事に扱ってよ。なに?下を向くとめまいがする?具合が悪いのかぃ…もしかして・もしかしてんの?」
「してないわ!三半規管がおかしくなっちゃってグルグルってめまいがしちゃったの!」
「うちの野菜食べりゃぁ~めまいなんぞ引っ込んじゃうよ!」
「きっとだね?治んないってぇっとタダじゃ済まないよ、こんだけ買ったんだから!」
「何事にもね、多少の個人差は出るかもなぁ~まいど!」
八百屋への行き帰りは平坦な道で助かりました。
これだけの野菜&フルーツが入ったカートは結構な重さであります。
さぁ~サッサと帰ってとじこもると致しましょう。
せっかくの新鮮な野菜ですから、先ずは火を通さずスムージーにして体に摂り入れることにしました。
う~ん…いろいろなビタミンで体がシャキッと芯が立ったように感じます。
温野菜にしたり炒めたり蒸したりと、これだけの野菜と果物があれば1週間・1歩も出ずに済むかと思います。
いえ!なんとか工夫をして過ごさねばなりません。
思いもしなかった肉屋・八百屋の買い出しで思わぬ出費をしてしまったことですし、ここしばらくは財布の紐をキリッと締めなおすことと致しましょう!
残り少なくなってしまった本ですが、こんな時こそいろんなジャンルの本を手に取ってみるのも楽しみであります。
安定の出来栄え、大沢在昌・著『新宿鮫』…根強いファンが付いている鮫島シリーズも11作となりまして、主人公・新宿署生安科に籍を置く鮫島崇も40を越して、ますます脂がのってきて面白くなっていくと期待大となる最新作『暗約領域(あんやくりょういき)』です。
このシリーズで大沢在昌氏は第1作「新宿鮫」で吉川英治文学新人賞を、第4作「無間人形(むかんにんぎょう)」で直木賞を受賞し、直木賞作家の仲間入りを果たしました。
それほどに面白いエンターメント警察vsヤクザ小説であります。
「暗約領域」は709ページもの大長編…焦らずじっくりと腰を据えて読むことに致しましょう、何しろ時間はたっぷりとあるんですから!
でもなぁ~老い先は短いんだよねぇ
この矛盾に、どう向き合っていくか?まっ!いいか。