今朝も「良性発作性頭位めまい症」は起こらず、ゆっくりと起床、昨日・買い出しに出たおかげでバランスの良い朝食も胃に納め、だらだらと本を読みながら、わたくしの午前中は実にのんびりとしたものでした。

それが、たった1本の電話で何んともまぁ~時間に追われる日となってしまいました。

    

「今から30分後にサ、門仲(門前仲町)大江戸線の改札口に来られる?あきらが千駄ヶ谷のカラーマンホール・見に行くってから連れてってもらおうよ!」

大学院生のひとり息子・あきらくんのおっかさん…わたくしの幼馴染みからの電話です電話

「えーっ!今日の今?」おとめ座

「今だから今日に決まってんでしょ?行くの?行かないの?迷っているうちに刻々と時は過ぎていくぅ~」

「あーたは行くの?」おとめ座

「行くに決まってんでしょ!大学生の息子と一緒に出掛けれらるのって、この先サ、あんましないと思うモン。あーたは零くんに会いに行かなくていいの?」

「そうだっ!迷っている場合ではないノダ!桐山零くんが待っている」おとめ座

「マンホールのフタだけどね!あきらが電話が長いって怒りだしたから切るよ!早く、家・出なさいよ。30分…25分後、大江戸線・門仲改札口ね」

それからは怒涛の如く…渋谷区千駄ヶ谷へと向かいました!

わたくしたちが乗って来た都営線・大江戸線では「国立競技場駅」となります。

車内であきらくんから厳しいご達しを言い渡されました。

「JR千駄ヶ谷駅前で友だちと待ち合わせてるからね、ちゃんと挨拶しろよ。それからは余計なことは話し掛けてこないこと!少し離れて歩くこと!解った?」

「なんだ・コラッ!その口の利き方は!つい・この間までオムツしてチョコマカ人の後ろを付いてきたヤツの言うことかっ!コラッ!ったく、親の顔がみたいわ」おとめ座

「わ・たしが親!」

さて…2020・東京オリンピック・パラリンピックが1年延期されてしまいましたが、ここ国立競技場は陽に輝いておりました。

首都高速の真下にあるJR千駄ヶ谷駅は、まだまだ工事中…突貫作業が進められているようです。

友だち、いましたよ!

気合いを入れて挨拶したのに…軽くかわされ、ふたりは鳩森神社(はとのもりじんじゃ)の方へと何やら楽し気に歩いて行きました。

すぐに太陽の位置だの、日陰具合だの、汚れ具合だのを話し始めています。

    

「マンホールが設置されてんのはビル街の商店街にあるからサ、ビルとビルとの隙間から差す太陽光線でせっかくの絵に影が映り込んじゃうと色とかデザインが判んなくなっちゃうんだよ!だから午後一の時間にしたの」

「なるほどね!写真撮るの?立派なカメラ持ってるね、きみ!」おとめ座

「一応、マンホールオタクなんで…」

なんでもあきらくんと同じ東京造形大学・アニメーション学科を卒業、今は某・アニメ会社に就職が叶ったとか。

在学中から勉強を兼ねて地方のマンホールを訪ねた旅をするうち、すっかりマンホールの魅力にハマったそうです。

  

お目当てのマンホールは、コミック雑誌で大人気となった羽海野チカ(うみのちか)原作『3月のライオン』…のちにアニメにもなり、2017年には映像化もされました。

その登場人物を取り上げて描いたマンホールが先月26日・深夜に設置され、新聞記事にも載るほど話題になっています。

『3月のライオン』の主人公・桐山零くんの大ファンになったわたくし…周りは桐山零を演じた神木隆之介のファンだと思っているようですが、あの黒縁メガネにボサボサ髪の零くんがお気に入り…その桐山零くんと、零くんを支えた川本家の三姉妹、二階堂晴信くんが描かれていると聞いて、これはぜったい見に行こうと決めていました。

なぜ、千駄ヶ谷の街なのか?

それは将棋会館が、この千駄ヶ谷にあるからでございます。

東京都は、都内17区・113箇所にイラストが描かれたマンホールを設置して地域の活性化を呼び込もうと企画したそうです。

それぞれ所縁のある作家さんやプロダクションがあった区に設置されていると聞きました。

    

鳩森神社を左手に1本道路を挟んで右に進みます。

「この道・大通り商店街の両脇に設置されてるからね。見落とさないようにして。突き当りは大きな幹線道路にぶつかるから、そこでお終いだからね。途中に6種類・9枚かな?設置してあるから、数間違えないようにして。じゃ、俺らは先に行くから…」

「置いて行かれちったよ。迷子になったらどうすんのよ?」おとめ座

「あと付けて行けば良いじゃない。あっちは写真撮り撮り行くんだから尾行しやすいって」

「尾行って…微妙だにゃ!追い越して行こうぜ」おとめ座

商店街に入ってすぐにありました!

危うく踏んでしまいそう!

桐山零くんだぁ~」おとめ座

相変わらず口をへの字にしています。でも元気そうで安心しました…?

これはコミック第1巻に描かれた表紙絵・桐山くんです。

零くんの絵は2箇所・2枚あるとのこと、見逃せません。

右は将棋会館・正面玄関に置かれてある桐山零くんの歓迎パネルとなっています。

  

三月町(さんがつちょう)に住んでいる川本家・三姉妹の長女・あかり。

これは第12巻の表紙絵となっています。

次女・ひなた。第9巻の表紙で、こちらも2箇所・2枚の設置ということであります。

のちの零くんのお嫁さん候補の設定ですが…破局したかも知れません。

   

ワイワイガヤガヤ…マンホール目当ての人たちがけっこう来ていまして、東京都の思惑は大当たりと言って良いのではないでしょうか?

あきらくんとマンホールオタクの青年の言っていた通り、建物の影が映り込まないような時間帯で、きれいに撮れたと思います。

「ちょうどひと月前の設置だから、それほど汚れてないね」おとめ座

古い街にあるマンホールですと、ブラシとか雑巾などを持参してゴミや汚れを取り除いてから撮影するのだそうです。

「ねぇ!ここのソフトクリーム有名なんだけど食べてく?」

あきらくんが振り向いて聞いてきました。

「どれどれ?レテイエっての?そんなに有名なの?」

「話にのるの、止めときなって!あれはね、奢らせようとしてんのよ!じゃなかったら声なんか掛けて来るわけないじゃないのよ、あのあきらが!」おとめ座

「人のひとり息子を、あれ・あの呼ばわりしないでよ」

とにかく・まぁ~下ばかりを見て歩いて来たもんですから、ここいらでチョイとひと休みも良いかもね!

店の中も満員状態…ソフトクリームですから、それほど待たないでしょう…と思ったら大間違いのコンコンチキ。

列のお尻に着いて、よぉ~くメニューを見てみると…「ゲェッ!おとめ座

イチゴやナッツなどをトッピングしただけでソフトクリームがなんと980円!

算数に弱いわたくしですが、980×4ぐらいは解ります。

こんな高いソフトクリームはご勘弁、普通の真っ白なソフトクリーム4つを頼んで一旦外に出ました。

「どんなトッピングするか訊かないの?」

「ソフトクリームの通はね、真っ白をチョイスすんの。それでも400円だよ、400円!」おとめ座

「案内料だよ」

静岡県大美伊豆牧場(おおみいずぼくじょう)のフレッシュな牛乳で作られたソフトクリーム、さすが評判通り・美味しかったです。

地域活性化に貢献致しかと、わたくし胸を張って次のマンホールを目指すとしましょう。

川本家の末っ子・モモちゃんです。

コミックでは着物を着たモモちゃんは登場してないとの情報があきらくんから寄せられ…「これはかなり貴重だって言ってるよ」とか。

と・なりますと、この絵は書き下ろしと言うことでありましょう。

こちらも2箇所・2枚あるそうです。

   

桐山零くんのライバルとも親友とも言える二階堂晴信くん。

第2巻で二階堂君が将棋入門者のために作った『将棋はじめての絵本』で登場した「王様ニャー(王将)」も描かれていてファンには嬉しいことであります。

それも緑色で攻めて来るとは羽海野チカさん、参りました!

「この王様ニャーで終わり。俺ら、これから地下鉄で御茶ノ水に出るわ」

「何があんのよ、御茶ノ水に?」おとめ座

「鉄腕アトムのお茶の水博士のマンホールがあるの。じゃね。付いてくんなよ」

「ソフトクリーム、ごちそうさまでした」

「いいえ、お粗末さまでした」おとめ座

勝手に粗末にされた大美伊豆牧場さん、ごめんなさい汗

    

片道約1キロですから、来た道を戻るのも大変でした。

「帰り道だし、せっかくだからサ鳩森神社にお参りしてこ」

「あちしはお参りはするけども、あそこのおみくじ、ぜったいに引かないからね!」おとめ座

昨年6月でしたか…将棋会館が移転すると言う新聞記事を読み、あの桐山零くんの聖地である将棋会館をぜひ見納めにと、この幼馴染みとふたり、千駄ヶ谷に降り立ったんです。

その時に引いたおみくじ、あろうことか!

『金運・ケチがたたり、痛い目に合う兆しあり』とあり、わたくしガックリとして、もう2度と来るまいと誓った神社なのです。

覚えておられる方もおいでになると思います。

「痛い目に合う兆し」…「良性発作性頭位めまい症」がそのケチのたたりでありましょうか?

   

今回も人の行く手を塞ぐようなおみくじでありましたが、辛うじて「小吉」で、少しはホッとしたものの、仕事・学業はまったく変わらず、臨時収入が入るらしいんですが、使わずに貯金しろって…ないも同じじゃん!

これが神社が発行するおみくじでありましょうか!

「こんなの引いたの、あーたが最初で最後。あの箱の中にはサ、その1枚しか入れてなかったかもよ」

やっぱ2度と来ないもんね。

    

「せっかくだからサ、将棋会館も見て行こ」

「そうだ!1階の売店でマンホールカードってのを貰えるって言ってたじゃない、貰って行こう」おとめ座

ところが…玄関に貼り紙がしてありまして「3月9日からのカード配布は延期とさせていただきます」と書かれてありました。

コロナウィルス感染拡大防止のためと思い、入館は遠慮して帰ることに致しました。

  

都営地下鉄線・国立競技場駅…閉所恐怖症である・わたくしにはこのエスカレーター、階段を下りるのには相当怖いものがございます。

みなさま「不要不急」の外出はなさらぬことを守っているとお見受け致しました。

どこまで下りて行っても、わたくしと幼馴染みしかおりません。

「いいねぇ~誰もいなくて」

「何かあっても誰も救助に来てくれないよ」おとめ座

「何があんのよ?なんかに遭ったら、ふたりして助け合おうよ」

「ここ混雑するってサ、もう少しあっち行こうよ」おとめ座

「どこが混雑してんのよ!」

本当に右を見ても左を見ても人っ子ひとりおりません。

「電車、来ると思う?」おとめ座

「来なかったら携帯で呼ぼうよ」

どこまでもお気楽な、あきらくんのおっかさんであります。

そのあきらくん、お茶の水博士との対面は叶ったかな?

マンホールの耐年数は15年から20年ほどだそうで、次はどんなマンホールになるのでしょうか。

そのころわたくしたちは、あの高い空の上からの拝見となっているかも知れません。