寝ているはずなのに目がグルグル回っているようで、無意識に体の向きを変えたのかと思います。

と・その瞬間!目を開けたとたん、まるで地球がでんぐり返しをしたように感じるほど目が回っていました。

グルン・グルンと天井が大きな円を描き、壁の時計もあとを追いかけているように回っているじゃないですか!

時計の針が何時を指しているのかも判別できず、何が起きているのか、咄嗟には解りませんでした。

すぐに言いようのない不安が込み上げてきたかと思う間もなく、猛烈な吐き気を催し…いやぁ~ホントに参りました。

「もしかしたら…目まい?」

動くに動けず、ちょっとでも頭をずらしただけで、強烈な目まいが襲ってきます。

30秒か1分…じっと目まいが治まるのを待って、頭を動かさぬようにそっと体を起こしてみました。

目まいの輪が小さくなってる?吐き気も胃の奥に引っ込んじゃった?

「あぁ、良かった。少し楽だわぁ」

そっとそっと、そぉっとベッドから立ち上がったのが…午前8時30分でした。

部屋に朝日が差して来てましたから、最初の目まいから、かれこれ小一時間ほど我慢をしていたかと思います。

とにかく病院に行こう!

有難いことに、わたくしが住むマンション内に耳鼻科が開業しておりまして、これはわたくしの日ごろの行いが良いのだ、天のお導きと勝手に解釈!

この季節、花粉が飛び交っていると言うのに…コロナウィルス感染防止を考え、普段は患者が押し寄せている耳鼻科が空いていると聞いていたのを思い出し、診察を受けに行ってみようと用意を始めました。

「うん、頭を傾けないよう真っつぐにしてると大丈夫!」

およそ15歩で洗面所に無事・到着!わたくし、今朝ほど豪邸に住んでなくて良かった!と、思ったことはございません。

ところが、顔を洗おうと下を向いたとたん!洗面所ごとグルリンコ!

洗面台に摑まって体を支えていると…もの凄い吐き気で、そのまま胃液だけを吐いてしまいました。

割れるような頭痛もなく、吐いてしまえば気持ちの悪さも治まったようです。

「今のうちに…」

目まいを起こさぬよう、顔を洗うのは諦め、化粧も止め、そこら辺の服を引っ掛け、いざ!耳鼻科へ。

  

空いてました!受付に診察券を出してから15分ほどで診て頂けました。

先生の前に座っただけでホッ。

頭を下にするため電動式の椅子が動き、頭を右、左と指示された通り動かしていると…あの目まいが来たぁ~!

先生はアワビとか伊勢エビを獲るときに使う水中メガネのような器具でわたくしの目ん玉の動きを診ている様子です。

目まいが落ち着いたところで、今度は聴力検査…異常なしとのこと。

「きっとメニエール病を心配なさっていたかと思いますが、この症状は『良性発作性頭位めまい症』です。朝起きるときの発症が多いんです。お昼過ぎて夕方には大方(おおかた)治まって来ますので様子をみて下さい。それでもひどくなるようだったら、紹介状を用意しますので大学病院で脳の検査をした方が良いでしょう。1週間にひとりかふたり…この症状を訴えて来る患者さんがいまして、それだけ多い症状と認識しておいて下さい。みなさん2日3日で治っています。中高年の女性に多い症状ですね。目まい止めと吐き気止め、処方しますか?」

こんな状態で薬局まで行かれるかなぁと思いましたが、なにせひとり暮らしなものですから、薬を頂いておいた方が気持ちが落ち着くかもと処方箋を書いて頂きました。

フワフワとした浮遊感のまま街を歩くなんて、不思議な感じ。

「良性発作性頭位めまい症」は、耳の奥にあるバランスを感知する感覚器「前庭(ぜんてい)」に異常が生じ目まいを発生。

この前庭に回転運動を感知する三半規管(さんはんきかん)と直線運動や傾き、乗り物酔いなどを感知する耳石器があるのだそうです。

耳石器には耳石と言う小さなカルシウムの粒が数百個付着していて、これが何かの理由で剥がれ落ちて三半規管に入り込むと目まいが起こると言われているのだとか…この小さな粒が三半規管内を満たしているリンパ液の流れを乱し、目の動きを調節する神経が刺激され、あの強烈な目まいを起こすのだと説明して下さいました。

リンパ液の流れが落ち着けば目まいや吐き気などの症状は、すぐに治まり、夕方までにはほとんどが治るそうです。

わたくしなど中高年の「高」に分類分けされるであろう64歳は微妙なお年頃…加齢に伴うホルモンバランスが砕け散り、骨粗しょう症との関連が引き起こす症状であると噛んで含めるように教えて頂きました。

いつも同じ向きで頭を横にして眠る人や、横向きに寝た姿勢でテレビを見る習慣のある人が起こしやすい「良性発作性めまい症」と伺いました。

「わたくし、ベッドで横になって眠くなるまで本を読むんですが、それがいけなかったんですか?」おとめ座

「新聞や本は座って読むか、頭を立てた状態で読むことが好ましいですね。活字を追う目にも良いんですよ、これからはベッドの頭の部にある板に寄り掛かり、上半身を起こして読む習慣を身に付けると症状は出ないと思います。普通の日常生活で体を動かすことがいち番良いことです。ゆったりとしたストレッチも効果があるので、体調をみながら試してみて下さい」

中高年の女性って…案外ダラダラとした暮らしぶりなのかなぁ~深く反省…汗

薬局の帰り道、休館している図書館の花壇には春の花・ムスカリが早くも花を咲かせていましてビックリ!

花言葉は「希望と絶望」だったと思います。

「う~ん、希望の方をとろう!」

先ほどより浮遊感はなくなったような気が致します。きっとリンパ液の流れが落ち着いて来たのでしょう。

で・朝から何も飲んでない・食べていないでお腹がペッコペコ!

冷凍してあったソーセージパンをチンして頂きました。

薬もしっかりと飲みましたし、ざっと家の掃除も済ますことが出来ました。

自分の体を甘やかせず、それほど鍛えもせず…まぁ~ぼちぼちと行くしかありません。

明日の目覚めを思うと…怖~いよぉ!

枕を少し高くして休んでみようと思っています。

これで上手くいけば…しめしめ・しめ子のうさぎでございます。