柚月裕子が書く小説は面白い!

その多くの著書は『孤狼の血』のようなヤクザと警察とのし烈な駆け引きや逮捕劇でありますが、骨太なあらすじや広島弁で怒鳴り合うヤクザの表現などを読み進めていくと、柚月裕子と言う女性の名前も忘れ、これは厳つい男性作家に間違いないと思っていましたら…こちらを振り返る女性ははにかむ様な佇まいを見せております。

岩手県出身、山形県在住の主婦である柚月氏が「小説家(ライター)になろう講座」に通って…そのままベストセラー作家になっちゃった・そうです!

元々の才能はもちろんですが、何事も根気よく習うこと・通うことこそが大事であります!

   

低気圧が一気に下がっての今朝の雨…日照り続きの時に降る「干天の滋雨(かんてんのじう)」となったでありましょうか?

今日から新学期が始まった小学生や学生たちはともかく、街路樹たちにとっては恵みの雨ではなかったかと思います。

2016年・10月に刊行された「滋雨」…2019年・8月に文庫本での発売が叶い、その宣伝で東京メトロに車内広告のシールが貼られました。

わたくし、この広告を見た・その日のうちに近くの図書館に予約を申し込みました。

「人気の作家さんの本なので…時間が掛かるかと思いますが宜しいですか?」

そう訊かれたので…

「今、どのくらいの人が待ってますか?江東区の全図書館で何冊、購入したか分かりますか?」おとめ座

「調べてみますね。今・現在で800人待ちですね。12の図書館で17冊購入してます…ひとり2週間の貸出期間として…汗だいぶお待ち願うと思いますが…」

「12の図書館全部で17冊、800人ですか…汗そうですね、だいぶと掛かりそうですね」

けっきょく、どのくらい待てば順番が回って来るのか計算できず…あの日から約半年間…図書館からは梨の礫(つぶて)でございました。

「ました」と過去形なのは、わたくし単行本の「滋雨」を購入したからでございます。

年始年末用にと予約をしていた本が次々に手元に参りまして、その大半が柚月裕子氏の作品となり、退屈なしの正月を過ごすことが出来ました📚

『盤上のひまわり』…2017年・8月に刊行。将棋界を舞台にした「砂の器」として第15回本屋大賞・第2位にランクイン!

BSプレミアムで映像化されました。

『蟻の菜園-アントガーデン-』…2015年8月刊行。婚活サイトを利用した連続殺人事件を追う週刊誌のライター由美が事件の奥深い闇に迫っていく社会派ミステリー。

『狂犬の眼』…2018年・3月刊行。『孤狼の血』の続編となる1冊です。先輩刑事・大上省吾から警察内部の秘密を託された日岡秀一は上に逆らったせいで新宿所轄署から田舎の駐在所へ飛ばされ、そこでも腐ることなく任務を遂行していますが、思わぬことから広島のヤクザの幹部と接触…その男気ある国光の人柄に惹かれ日岡の中に思いも掛けぬ感情が生じて、それはまるで大上が乗り移ったかのような展開になってきまして、日岡ファンには堪えられません。

すでに『孤狼の血』の続編として、実写映画化の制作予定が入っていると聞いています。

東映さん、上映となった暁には必ず観に参りますので、邦画界のために良い作品に仕上げて下さいませ。

これに続いての第3作…『暴虎の牙(ぼうこのきば)』も刊行され、図書館に予約しているのですが、こちらも音沙汰なし…汗

『滋雨』は電車内でも読めるようにと文庫本にしたかったのですが、本屋で両方手にしたところ、重さ・大きさよりも断然読みやすい単行本に軍配が上がりました。

読み終わったなら、すぐに図書館に寄贈し、待っている人たちに…もう予約をしたことさえ忘れているかも知れませんが…早く順番が回るようにしたいと思っています。

東京メトロ・日比谷線の座席で「滋雨」を読んでおりますと…茅場町駅で隣の席が空いて、すぐに別の人が座り、これは毎度のことであります。

わたくし・目も上げずに夢中で読んでおりました。

定年退職した刑事が夫婦で四国遍路をしている最中、地元・群馬県内で幼児誘拐殺害事件が起こります。

元・部下の刑事から何気なく事件の内容を知らされ、自分が扱った16年前の事件と結びついて行きます。

四国と群馬で徐々にふたつの事件がつながって行く…物語が佳境に入り、実に良いところに差しかかって来たところでした。

隣から…日本そばのしょう油と出汁が混ざり合った良い匂いがして来ます。

チラッと横目で見た感じは中年のサラリーマンといったところ。

『立ち食いそば?いや地下鉄の駅に立ち食いそばがあるはずがないわ!茅場町駅となると…長寿庵かな?う~ん、これは…たぬきそば?揚げ玉の香ばしい匂いに違いない!天ぷらそは値が張るから、この背広のシワ加減からみると無理かも…そうだ!たぬきそばに間違いなし!』

わたくしマスクをしていても、隣に座った背広に付いて来たしょう油と天ぷら油の匂いに、思わず深呼吸!

『たぬきそば、食べたいよぉ~』

もう「滋雨」を読むどころではありません。

きつねうどんでもなく、かき玉うどんでもなく、月見そばでもありません!

『たぬきそば!』

で・昼ごはんに目出度く「たぬきそば」を頂きました…と・こういうわけでありまして、前置きが長々で申し訳ございませんでした。

しかし!「大変、美味しゅうございました」

わたくしの髪の毛に染み付いた、この匂いにそそられ「たぬきそば」を召し上がった方もおられたことと思います。

シンプル・イズ・ザ・ベスト=たぬきそばだよねぇ~