たまたま…ではなく、またまた大型台風が関東目掛けて来るらしいと言うニュースを見ていたら、壁際に置いてあるパソコンからメール着信を知らせる音が鳴りました。

テレビの天気予報の画面をそのままにパソコンを開きに居間を横断…ほんの12歩でありますが。

『応用生物科学科よりお知らせ。台風19号のため12日(土)の特別講義は中止とします。メールチェックした人は学生証ナンバーで返信して下さい。以上』

東京農業大学からのお知らせでした。

「良かったぁ~!」

大型は大型でも「猛烈」が付く大型台風であると聞いていましたから、この身に何があっても人さまに迷惑を掛けてしまいますから、それを言い訳にしてズル休みしちゃおうかなぁ~と思い始めていたところで、グッド・タイミング!

すぐに返信メールを送りました。

ホッとしてスケジュール表の12日に「中止」のふた文字を書き入れていると、ドキッとするくらいのけたたましいを立てながら固定電話が鳴りました…こちらはバッド・タイミング電話

中止の「止」が「正」になっちゃうところでした汗

2016年・9月に刊行された恩田陸・著『蜜蜂と遠雷』…刊行時にもご紹介しまいたが、「あったら貸して!」と幼馴染み・大学院生・あきらくんのおっかさんから貸し出し要請の連絡で、「渡したい物もあるし、これから本を取りに行くから出しといて!」…時計を見たら、もうすぐ夜の8時、マジ?

「夜道は危ないから止めておきなって!明日、ポストに入れといてあげるからサ」おとめ座

「自転車ですぐだから大丈夫だよ。今夜から雨降りで週明けまで台風でしょ?天気、落ち着かないから、その間に読んじゃいたいのよ!でサ、松坂桃李も出てることだし、映画観に行こうよ」

本はこっちへ置いとくとして、渡したい物が気になって「じゃ、待ってる。ちゃんとヘッドライト点けて来るんだよ」と注意をして受話器を置きました。

  

程なくしておっかさんがやって参りました。

「だいぶと涼しくなったね!ちょっと美味しい煎茶、淹れてくれる?」

「美味しくない煎茶ならあるけど…あきらの夕飯、大丈夫なの?」おとめ座

「うん。造形大の芸術祭っての覚えてる?去年一緒に行ったの。18日が初日でけっこう忙しいらしいくてね、作品の仕上げや展示なんかで遅くなるときは近くに住んでるダチんとこに泊ってんのよ」

「…ダチって、友だちのダチってこと?あーたが省略して言うことないじゃない!」おとめ座

「へへへ。でね、その友だちが朝日新聞社のなんとか・かんとかって言うのに応募したら当たっちゃって、段ボール・ひと箱送って来たのがコレなんだって!それをあきらに分けてくれたのよ」

すでにコンビニなどで発売になっている『PROFIT P プロフィット)』…2本入りのようでプロティンバーと言う名の健康食品なんですかね?

この他に黄色のパッケージ・レモンフレーバー味もあったらしいんですが…

「それがいち番、食べやすかったっていうかなぁ~ホラ、昔サ魚肉ソーセージってのあったでしょ?あの触感と味がまったくおんなじなの」

「ってことは、持って来たこの3種類は食べにくかったの?」おとめ座

「…う~ん、にくいってことじゃなくて、好み?ってことかなぁ~」

魚肉と鶏肉…まったく違う食材なのに触感どころか、味もおんなじって・どう言うことっ!

「コラーゲンがたっぷりらしいよ」

わたくし・ブラックペッパーの味を選び、パッケージを引きちぎって中の1本を取り出してみました。

「何、この形?魚肉ソーセージと一緒じゃん」おとめ座

「そうでしょぉ~」

わたくしたち・昭和の時代を生きた年代からすると、この見た目だけで、もう触感も味も「魚肉ソーセージ」だと頭で思ってしまいます、いわゆる潜在意識ってヤツであります。

赤いシールを外すと、昭和産まれのわたくしなど目を凝らさないと、あるであろう切込みなど見えません!

「ここ?これをどうすんの?ブチッと折るの?」おとめ座

幼馴染みもブチッと追ってからセロハンを下に引いていく方法で食べていたようですが、「上手く剥けなくて、けっきょく搾り出すようにして食べた」とのことです。

お味は…あの懐かしい魚肉ソーセージ…のようでありました。

   

さて…同タイトルで映画化された原作本、『蜜蜂と遠雷』をダチに手渡すことに致しましょう。

「この本、あきらも読んでるよ。まだ・どっかに指紋が残ってると思うわ。はい、どうぞ」おとめ座

「うわ!重っ!」

厚さ・約3センチ、重さ・500グラムぐらい?ページ数・507ページ。と・言いましても2段組でありますから活字の量と言ったら半端じゃございません。

この活字のひと文字・ひと文字を目で追って読んでいかねばなりませんからねぇ、ダチの根気はいかがでありましょうか?

「お宅の息子は読み切ったよ」おとめ座

ピアノコンクールを舞台に4人の若者が持つ天性の才能と、たゆまぬ努力から得た才能と運命を描いた青春群像小説です。

才能と環境に恵まれた者と、挫折した経験を持つ者と、自宅にピアノがない少年と、コンクール年齢制限ギリギリの28歳の男性が主人公となって、第1次から3次予選、そして本線までのコンテスタントの挑戦を描いた物語となっています。

幼馴染み・おっかさんがファンと言う松坂桃李が演じているのが音大を出ているものの楽器店に勤めている高島明石(たかしまあかし)

「これって音楽の世界を描いてんでしょ?だったら絶対に映像化向きだよね?」

「う~ん。映画にするためのオリジナル脚本だったら、耳から聞こえる音が重要だけど…原作はサ、文章の行間から、ちゃんとピアノの音が立ってくるからねぇ~映画にして観なくても良いんじゃないかなとは思うよ」おとめ座

「でもサ、このチラシに書いてあんじゃない、原作者も角界著名人も絶賛!って。恩田陸だって『映画化は無謀、そう思っていました。「参りました」を通り越して「やってくれました!」の一言です』ってあるじゃない」

「とは言ってもねぇ、直木賞と本屋大賞のW受賞してる長編だから、本自体が持つ威風堂々とでも言ったら良いのかな?活字が持つ力強さ・しなやかさもある1冊なんだよね。まっ、じっくりと読んでみて。それよりサ、松坂桃李の唇の横、見て見て!」おとめ座

「うん?ホクロ?」

「そう!あちしもおんなじところにホクロあんのよ!ここ!」おとめ座

わたくしは唇の両端にホクロがありまして、小さいときは母親や親戚中のおぃちゃんやおばちゃんたちから「口の周りにホクロがある子は一生喰うに困らないって言うからね、大事におし」と言われたものですが、子ども心にもどう大事にしたら良いのか分からぬホクロでした。

有難いことに、今のところ食べるのには困っておりませんから、この言い伝え、強ち(あながち)間違ってはおらぬようです

「ホクロにも格って言うかサ…レベルがあると思うよ。あーたのホクロはホウレイ線に沈みつつある黒い点だね」

「…汗パンチ!

プロを目指すピアノのコンクールですから役を演じる俳優さんたちも大変だと思います。

16歳の無垢な少年・風間塵(かざまじん)を演じたのは鈴鹿央士(すずかおうじ)、新人であると聞いています。

コンテスタンスの役ですから、クラシック音楽を自在に弾く場面が出て来るでしょう。

ピアノを演奏する場面では、本当のピアニストが弾いているような演技が見せ場となりますから、ただ髪の毛を振り乱し腕を動かしていれば良い・では済まぬかと思います。

なんだかんだと観てもいない映画を評していても仕方ございません。

「観に行ってみようか?」おとめ座

「うん!急いで読むね」

「その本は時間をかけて、じっくりと読まなきゃ!ピアノを演奏する描写のときは流れるように読めるから、その活字の流れにのって読んでよ」おとめ座

雨が降って来たようですから、ビニール袋に本を包んで渡しました。

「なんかビニ本…エロチック」

そう!指で鍵盤を叩くピアノはエロチックなんだよ!