今日は『昭和の日』…10連休の重要なポイントである祝日となっています。

定年を間近に控えた友人と待ち合わせ…わたくし・銀座のど真ん中に来ております。

銀座・中央通りは歩行者天国になっていて、それでも律義なわたくし・歩道をきちっと歩いていました…ら、通行止めになっている路上で何やら、あの「スパイダーマン」がリュックを背負ってパフォーマンスを繰り広げている様子です。

威勢よく蜘蛛の糸を投げたようなんですが、その回収に手こずっていて、小さな男の子に手伝ってもらっているような…感じにも見えますが、大丈夫でありましょうか?

   

「ちょとぉ~こっち!こっち!何してんのよ」

あの声は…山野楽器店の隣・ミキモトに顔を向けますと、友人がヒラヒラと手の平を振っております。

「あの蜘蛛男、投げた糸の始末に困っとるのよ!今日はホコテンやってんだね」おとめ座

「ホコテンだって!懐かしいぃ~ってか、それ・とっくの昔に死語になってるわ」

「とっくの昔って…じゃ、今は何て呼んでんの?」おとめ座

「歩行者天国…ホコ…テン?」

「ほら、そうなるでしょ!昭和の名言・略語だよ!」おとめ座

  

真珠の御木本…「ミキモト」として世界でも有名な宝飾店でございます。

そのミキモトの7階・ミキモト・ホールに於いて皇室ゆかりのボンボニエールの展示会、『皇室からのかわいい贈りもの』が開催されているのを知り、友人を誘って出掛けて参りました。

銀製、陶器製で出来た小箱で、主に菓子・金平糖を入れる菓子器・ボンボニエールとして、皇族の方々のお誕生、成年式、ご結婚、銀婚式、金婚式、喜寿など慶事に際してこうしつが引き出物として、宮中晩さん会に呼ばれた来客に、そして来日された外国の賓客の方々に贈られるとのことです。

  

明治27年(1894年)、明治天皇大婚25年(銀婚式)の御祝典の義に於いての宮中晩さん会・夜会の菓子器としてテーブルに飾られた『鶴亀形(つるがめがた)』のボンボニエール…さて、菓子器のフタとなる部分が精巧過ぎて判りません!

約60点のボンボニエールが展示され、それぞれのお祝いを迎えた皇族方のお印とともに意匠がなされ、その装飾技巧の高さに驚きました。

式台の色にも、飾り方にも工夫がなされ、さすがミキモトのセンスも感じられ、男性・店員さんの礼儀正しい接客も気持ちよく…これが無料とは、わたくしたち・庶民には嬉しい催しでございます。

令和元年・5月10日までの開催となっておりますので、みなさまも・ぜひ!

 

銀製のボンボニエールとなるとなかなか目にする機会すらもない・わたくしどもふたり…でもサ、金平糖ならいくらでも買えるわぃと胸を張ってミキモトを出て参りました。

お祝い事の逸品を目にしたあとは心も豊かになって、「ちょっとご馳走食べて行こうか?」ともなります。

銀座の店同士、経済効果が成った成果ではないでしょうか…?

「ってかサ、私たち、もうこの先ミキモトではジュエリーなんて買えないよ」

「そうだよねぇ~こんなシワシワでシミの浮いた指に真珠やダイヤの指輪したって、様にならないよね」おとめ座

「そしたら、あーたがしない指輪、ちょうだい!」

「人にやるくらいなら、質屋に入れるわ」おとめ座

「フン!」

「フンッ!」おとめ座

 

と・言いつつ入ったのが銀座・竹葉亭さん。

鰻屋でありますが、わたくしたち・ふたり、この店では鰻ではなく「鯛茶」を注文致します。

一人前を揃えたお盆には黒塗りのお櫃(ひつ)が付いておりまして、艶やかなご飯がたっぷりと入っております。

すぐに摺りこぎ棒を持って胡麻を摺って、鯛のお刺身に振りかけ、よぉ~く掻きまわし、先ずは白いご飯で刺身をのせて頂きましょう。

「いっただきまぁ~す!」おとめ座

 

おねえさんが熱いお番茶も持って来てくれますから、次は鯛茶で掻き込みましょう!

「うわっ!いつ食べても美味しいねぇ~」おとめ座

「平成最後の鯛茶だね」

「うん!良いもの見て目の保養になったし、鯛茶が胃にじーんと沁みてくるね」おとめ座

「ねぇ~いち番最初に見た鶴亀形。私、あれ見たときサ、鶴亀算(つるがめざん)、思い出しちゃった!苦労したもん、たかが鶴と亀の足でサ…鶴と亀、合わせて20います。さて、鶴の足は2本、亀の足は4本…鶴は何羽いるでしょうか…って、計算していくうちにサ、そんなもん何羽でもいいわって頭がグチャグチャになるよね?」

「そうそう!でも5羽って決まってるからね!」おとめ座

「答えが5羽って解ってたって、途中の計算方式を書かなきゃサ、減点されちゃうからね」

「あんなややこしいの覚えらんなかったわ」おとめ座

「クラスの男子がサ、先生に言ってたの覚えてる?あの理数系が得意だったバカ」おとめ座

「あの頭でっかちのバカ?何、何?」

「あのバカ。先生、鶴と亀を鷹とうさぎに置き換えた計算方法を教えて下さいとか何んとか質問したのよ、腕・ブンブン振って」おとめ座

「うんうん…それで?」

「うさぎは何羽になりますかって…あいつサ、うさぎの数え方も知ってたんだよねぇ~」おとめ座

「バカなのにね」

「うん!それで先生は足の数が同じなら計算の仕方も同じで良いって言ったのよ、確か」おとめ座

「じゃ、鷹・5羽で良いんだ」

「それが違うのよ!食物連鎖で言ったら、うさぎは全滅ですって、得意そうな顔してイケしゃぁしゃぁと答えたのよ」おとめ座

「食物連鎖?あーっ思い出した!鷹は肉食・うさぎは草食で厳しい弱肉強食の中で、うさぎはぜんぶ食べられちゃったって、あとがきまで言っちゃって、先生の逆鱗(げきりん)に触れたんだよね!鶴亀算のときも『鶴・5羽』って答え、紙に書いて教室中に回したんだよね、あいつ。そう言う意味では案外使えるヤツだったよ」

「使えないわよっ!あいつのせいで全員・追試受けさせられてサ、エライ目に遭ったんだわ」おとめ座

「あの昭和のバカ、どうしてっかねぇ?」

「どうしてんだろねぇ~大学の先生になったって聞いたけどね」おとめ座

「因果は巡るでサ、生徒に訊かれてんじゃない?鷹とうさぎ。あぁ~昭和も遠くになりにけり…今日は昭和の日で、明日は退位の日、明後日が即位の日で令和が始まる…すごいタイミングだねぇ~」

「うん。でもサ、私たちが過ごした昭和の時代って勉強だけしてれば褒められて、思えばあんな良い時代って、あの時しかなかったよねぇ」おとめ座

あの昭和の時代に戻れたら、もうガムシャラに鶴亀算、勉強致します!

平成31年・4月29日、友とふたり・鯛茶を平らげ、銀座の街をブラブラと過ごしましてございます。

「つるかめ、つるかめ…」何か…年の暮れ、新しい年を迎えるようなワクワクした気持ちが湧いて参ります。