「早いとこ観に行かないと終わっちゃうよ!」girl

60年来の腐れ縁である幼馴染みが、予告編を観た時から「観たい!一緒に行こう」と誘われていた『鈴木家の嘘』であります。

東京23区では上映館が限られており、足の便がいち番良い銀座ガス灯通りにある「シネスィッチ銀座」にふたりして行って参りました落ち葉

tomosibi.

本編が始まる前に流れる予告編は大音響と共に、タコのブツ切り?豚の細切れ?のような映像が画面に映るだけで、動体視力のないわたくしたち・おばさんには何が何んだかさっぱり訳分からぬものが多い洋画の中にあって、この「鈴木家の嘘」は出演する役者・岸辺一徳、原日出子、岸本加世子、大森南朋の良いとこ取りと、静かな佇まいなのに最も重要な役どころであるらしい加瀬亮がコミカルで明るい印象を振りまいていたので、ただ単純に「面白そう!」…これは慌ただしい年末に持ってこいの映画であると選んだ作品でした

ところが…本篇を観て、それがとんでもない勘違いをしちゃった…と言いますか、コメディと思わせる編集に騙されちゃったと言いますか…良い意味で肩透かしを喰っちゃいました

シネスィッチ銀座に貼ってあるポスターには出演している俳優それぞれの直筆サインと、野尻克己・監督のサインが書かれていますので、ファンの方には嬉しいサプライスかと思います。

この一家・4人が映っているポスターで微笑んでいるのは母親・悠子だけであります。

タイトルの「鈴木家の嘘」を挟んで4人はふたつに別れてしまい、この世とあの世に別々になってしまった家族を指していると思います。

長く引きこもりになっていた鈴木家の長男・浩一が、自室で自ら命を絶ってしまいます。

この映像は物語の冒頭だったので、それだけに観ている者にとっては少なからずショックを受けたことと思います。

それを見付けた母親は…同じ部屋で気を失ってしまったまま3ヶ月ほど意識不明の状態が続いていました・が、ある日…いつも聞いていたラジオの声でふッと目を覚まします。

その日は浩一の四十九日・納骨の日でありました。

知らせを受け、急いで駆け付けた家族、親戚はみな・喪服であります。

昏睡状態で使わなかった声帯からは声が聞き取れぬほど、小さく細い声しか出ません。

絞り出すようにして「浩一は?」と、その場にいない浩一のことを聞く母親に、長女・富美(木竜麻生・きりゅうまい)は「引きこもりを止めて、アルゼンチンで元気に働いている!」と思わず叫んでしまいます!そこから「鈴木家の嘘」が「嘘も方便」となって一気に「浩一・生存」へと突っ走ります!

そのでまかせの嘘を疑いもしないで信じてしまった母親の笑顔を守るため、残された家族、親戚の悲しい奮闘努力が始まります。

おうち

シネスィッチ・銀座の小さなショーウインドーには、この映画館の館員さん・手作りのコーナーが設えてあって、上映映画を盛り上げるアイデァ溢れる小物や写真などが展示されていて「今回はどんなかなぁ?」と、とても楽しみであります。

覗いたショーウィンドーには鈴木家の表札と、アルゼンチンの英雄・チェ・ゲバラのイラストなどが貼ってあるんですが、メチャクチャでありながらもズバリと映画の核心を突いていると思います。

自身の経験を基にしたオリジナル脚本による野尻克己(のじりかつみ)監督は、この『鈴木家の嘘」が監督デビュー作となり「新藤兼人賞」の金賞に輝きました花束

 ぱーる 

表通り・銀座中央通りには和光に山野楽器店、真珠・御木本が店を構えています。

その路面店の裏口があるのが「ガス灯銀座通り」で車も通りますし、駐車もチョコ・チョコとしやすい露地裏ともなってしまう…そういうチョコッと駐車で出口を塞がれないように、御木本と山野楽器店はこんなオシャレなコーンが置いてあります。

映画が終わって外に出ましたのが、16時過ぎ…この時期はあと30分もすれば、あっと言う間に日が暮れてしまいます。

 コーヒー 

「チョコッとコーヒー、飲んで行かない?」girl

「うん、チョコッとだよ」おとめ座

大阪・千日前から歴史ある「丸福コーヒー店」が東京・銀座に来たと聞き、東急プラザ6階に寄りました。

 サンドイッチ 

サンドウィッチ・ひと皿をふたりで摘まみながら…

「ひとり・名古屋弁をカマしてる岸本加世子が良かったねぇ」おとめ座

「そっ!あれで重苦しくて、どんよりしたモンが救われたよね」girl

「母親がサ、死んでる息子を見つけとき、どうして記憶が飛んじゃったか、終わりになって分かったんだけども、あれって二重にショックだったね」おとめ座

「うん…でも、観といて良かったわ」girl

大学4年の息子を持つ幼馴染み…息子を亡くした母親と気持ちを重ねたのか、ちょっと沈んでる様子です。

「ポン!」と肩をひとつ思いっきり叩いてやりましたっ!