中央区・佃にある住吉神社さん、今年は3年に1度の例大祭で小さな町の中は祭り一色…み~んな祭りの準備で駆けずり回っていると言うのに…ひとり・ハゼ釣りを楽しんでいるお兄ちゃん!
隅田川から引いている掘割りではありますが、ちょうどいい塩梅の汽水域で良い形のハゼがけっこう釣れるんです
大幟柱を掘り出すために引き潮に合わせ堀留めをしてから約ひと月…掘割りの水はだいぶと淀んでいると思うのですが、ハゼも連日で猛暑で少々ぼぉーっとしておるのでしょう、他愛もなく釣られている様子
今晩、ちゃぶ台にハゼの天ぷらとなって皿に盛られるのも知らずに、まぁ~呑気なもんです
8月5日、例大祭も3日目を迎え、いよいよ我が義従兄の屋形船が登場致します
住吉神社で出社祭の神事が行われたのが朝の5時30分…わたくし・まだ半分眠ったままで佃に到着したのは良いのですが、この時の温度がすでに30度で、息はすれども肺に入ってくる熱風で目が覚めましたっ
赤い鳥居をくぐれば、そこは住吉神社への参道となっています
その手前に見えますのが隅田川の防波堤で、右へ行きますと佃の町へから月島へ…左に向かいますと大川端リバーシティ21の高層マンション群となりまして、この日・神輿を乗せる出船場が見えて参ります
「おりゃっ!おりゃっ!」の掛け声も勇ましく、神輿が隅田川縁(すみだがわべり)に到着
早朝にも係わらず、例大祭の船渡御を一目見ようとする人たちで佃公園テラスはいっぱいです
「これ見逃しちゃったらサ、あと3年待たなきゃなんないもんね!こっちの身が持たんわ」
「東京オリンピックは観る気だろ?」
「そのあとの1年が…持たない!」
「あのね…3年前もおんなじこと言ってたよ!」
あそこの…ほれ!あのじいさまとばっさまたちの会話でございます
午前6時45分神輿が乗るのは台船でして、担ぎ手と住吉神社の神主さんと共に渡御を致します
ちょっと不安げな神主さん…大丈夫でございますよ!
隅田川はそれほど揺れませんです
おぃちゃんの船・漁船にはお囃子の生バンドと「に組・す組」の鳶職のお偉方さんが神輿の道案内を致します
東京湾から吹いてくる潮風は涼しく、陸(おか)で火照った体が少しづつ納まって参ります
隅田川を下る船に提灯を振って送ってくれるのは、月島、勝どきの連合睦の方々です
海上祭へと向かう渡御の安全を祈って下さってます
良かった神主さん…笑顔でいらっしゃる!
隅田川は引き潮でありますが、波は穏やかに下っております
これより隅田川に架かる橋の下を通って参ります
出船場から東京湾へと隅田川を下って参りましょう!
左手に見えます「佃大橋(つくだおおはし)」は戦後はじめて隅田川に架けられた橋でしてドイツ式と聞いております
隅田川の上流・千住大橋から数えて16番目の橋となります
変わって右側は…あの可動橋方式「勝鬨橋(かちどきばし)」でございます。
船を通すため橋の真ん中が開く珍しい橋でしたが、昭和55年を最後に開橋が廃止となってしまいました。
橋が開いている間、橋の両際で都電やバス、車も人も船が通り過ぎるまで待っていなくはならず、車が多くなるにつれ交通渋滞が増し、大型船の通行が出来なくなりました。
「勝どき橋を再び開けよう会」の運動が細々と行われ、わたくしの兄がこの会に賛同し、かれこれ25年・2、000円の会費を払っていたのですが、勝どき橋をいざ開けるとなると莫大な費用が掛かると言うことで、いつの間にか立ち消えになってしまい、兄は声を大にして…「25年分の会費を返してくれぃ!」と遥か北海道から叫んでおります
お兄ちゃん、安心なさいって
「勝どき橋保存会」となって見学会やパネルやパンフレットを作ったりして、勝どき橋の良さをちゃんと伝えてくれてるから、ケチなことは言いなさんなって
ちなみに勝どき橋は佃大橋の次・17番目となります!
これで隅田川に架かる橋は終わりだったのですが、築地場内市場が江東区・豊洲に移転するに至り、築地から豊洲への近道として架けられたのが「築地大橋」…第18番目・隅田川に架かる最後の橋になりました
右手奥にフジテレビの社屋が見えてきました
高速道路が行き交っている左手にレインボーブリッジが見えているのですが…東京消防庁の放水船・3隻が祝いの放水をして下さり、正月の出初式を思い出し、なんだか胸がいっぱいになってしまいました
あのあたりで住吉神社の神主さんに依る海上祭・お祓いが執り行われています
レインボーブリッジを背に東京湾から晴海運河へと舳先を向けて参ります
隅田川と並行して上って行きまして、再び隅田川合流致します
中央大橋をくぐって、ようやくに船渡御・海上祭が終わりまして着船となりました
神輿を先に下し、氏子たちに担がれ御旅所に戻られます
我がおぃちゃんとその長男でございます!
漁師と、後ろに見えます「屋形船・折本」の船頭も継いでおぃちゃんもにと安心が本音であるのに…ケンカばかりしております
この直前にも「俺がやるって言ったらやるんだっ!」とおぃちゃんが怒鳴るひと幕があり、まぁまぁお目出度い日なんだからと思いつつ、みな無視を決めておりました
夫婦げんかは犬も食わないと申しますが、親子げんかは猫も跨いで行くようです
おんなじ方向を向いているんですから…やっぱし親子だねぇ、おぃちゃん!
さて…またまた早送りと致しましょう
最終日は神輿から本殿への御霊遷し(みたまかえし)と帰社祭の神事が執り行われ、これで住吉神社・例大祭が終わります
あとは大幟柱を掘割りに埋める行事が残っておりますが、みんなの疲れが取れる26日に行わるとのことです
子どもたちも祭りの熱気に包まれたひと月でしたから、悪戯(おいた)をするとバチが当たるよと頭を押さえられ夏休み気分も味わえぬ日々だったと思います
大人が用意してくれた西瓜割で大いに楽しんだことでしょう
佃は露地裏にこそ、その下町の良さがありますものでヒョィと横道に逸れますと何をやってるか目を疑いたくなるような光景にぶつかる時がございます
ほろ酔い気分でブラブラしていますと、どこの露地やら…跳ねるような太鼓の音が聞こえてきました
こちらでは景気づけの纏振り(まといふり)が披露されていました。
世の中には見ちゃぁいけないモン…見たくないてぇものがあるとつくづく思った瞬間であります
これは…まかり間違って見ちゃったモンの代表格で、夜になっての寝入りばな…「ううぅ~うぅ!」とうなされてしまった「モン」でございました
でもねぇ~この褌一丁のお兄ぃさん!
纏振りが尋常ないほど上手いんです!
太鼓の音を外さぬキレと言い、肩の張り具合と言い、体幹が素晴らしいんです!
褌がいつずり落ちやしないかと観てるこっちが心配しちゃうような動きなんで、期待半分・怖いもの見たさで震えがきちゃうほどでした
祭りの最終日は町内の挨拶で終わりとなります。
今年は年番の3部から1部へ、1部から2部へ、2部から3部へとそれぞれ世話役が初日に預かった提灯を口上と共に返して回ります。
夕暮れから灯りが灯った提灯が行き交うのは何んとも言えぬ艶っぽさがございます
静かに静かに提灯行列が続きます。
ひとつずつ、ひとつずつ…提灯の火が落とされ、祭りが終わりました。佃のみなさん、無事に例大祭を終え、本当にお疲れさまでした。
「おぃちゃん?」…こちらは鼻ちょうちんでぐっすりと寝ております!
最後の最後まで楽しませて頂き、本当にありがとうございました