8月3日から6日に亘って行われた神事・住吉神社例大祭は、3年に1度の大きなお祭りでして、佃島の6ヶ所に大幟柱が立ち上がります。
その準備に約ひと月を要し、佃島は徐々に祭り一色に染まっていきます。
中央区・佃島は大きな開発の波に乗りながらも、この漁師町にはそこかしこに仕舞屋が残り、隣にそびえ立つ大川端リバーサイド21との新旧混ざり合った景観も、当初はちょっと違和感がありましたが23年も経ちますれば、それはそれでしっくりと馴染んで参りました。
提灯や手拭いなどに描きます「津久田」の字をあてた三文字がよく使われています
「なんで?」
「えっ?なんでって聞かれてもなぁ『佃』ってぇひと文字だとサ、恰好がつかないってぇか…収まりがつかねぇってかサ、まっ・そんなとこだ!」
東京・佃っ子は万事・この調子であります
さて御旅所(おたびしょ)に、子ども神輿と提灯が入りました
こちらは大人が担ぐ大神輿…御神体が乗られる神輿ですので、水を掛けられたりして失礼がなきよう、桝組(ますぐみ)から囲垣(いがき)までの神輿の胴体部分を真っ新の晒しで巻いて仕上げます。
子ども神輿も同じように晒しが巻いてありました。
ついでに…こちらのお兄ぃさんの短い胴体にも巻いておきましょう
こうして足を踏ん張って巻かないと、神輿を担いでいるうちに緩んできてしまいますので、腹に力を入れ、息をグッと止めたまま巻いてもらいます
キリッとした六人衆は住吉神社の外を守る鳶職の面々でございます。
これが佃島の祭りを仕切る鳶の盛装となります…左から三番目が「組頭(くみがしら)」、副組頭、小頭で半纏の袖山が橙色に色分けされています
両の脇が六番頭、六番筒先とそれぞれの役職が半纏の襟に記されております
滅多に見られぬ六人衆ですが、さすがに鯔背な(いなせ)な、その姿…いやいや見惚れてしまいます
背筋がスッと伸びているのに加え、雪駄(せった)の突っ掛け方が何んとも粋でござんす
鼻緒には決して指を入れませんで、踵が雪駄からはみ出しているのが良いんです!
これを突っ掛けると言いまして、案外と穿くのにコツが要るんだそうで、なるほど見ているとべたべたと歩くでもなく…雪駄の裏に埋め込まれている金具の音を聞かせるため、すこしだけ引きずるように歩を進めます!
然しながらズルズルと引きずっては野暮の骨頂となってしまいますので、やはり年季が物を言う履物なのだと改めて思った次第であります
兵児帯(へこおび)にさり気なく差してある根付(ねつけ)です。
象牙には大海原を行くクジラが彫ってあるようで、赤サンゴの緒締めの先には煙草入れとなっています
昔ならば刻み煙草と煙管、薬や矢立(筆記用具)、黄門様でお馴染みの印籠であったのでしょうが、この煙草入れは普通の巻き煙草が入っているとか…
さて…日にちを早送り致しましょう
祭り2日目は若衆が活躍する「獅子頭・宮出し」が行われる日であります!
1部、2部、3部の若衆の用意も済んで、余裕の笑みです
浴衣の袖は肩までたくし上げ、裾は尻っ端折(しりっぱしょり)に、足元は白の地下足袋が宮出しの装束となっています。
白はち巻きに挟んであるのは5円玉が入っている「おひねり」で、駆け付けた折りに獅子頭に向かって投げる、大事なものです。
こちらが獅子頭…各・町内に雄・雌一対の獅子頭が氏子を守るために安置されております
青い浴衣を着ている方は世話役ですから、宮出しを見守るだけでございます…昔は一番を競って走ったもんです!
住吉神社境内には獅子頭が氏子たちが走って来るのを今か今かと待ち構えております!
参道の向こう・突き当りは隅田川…若衆は赤い旗が振られるの瞬きひとつせずに待っていまして、その姿は闘牛をも彷彿させる勢いかと…
一斉にスタートを切ったようです!
「来たっ来た」
汗が飛び散っているのが目に見えるようです
境内に1歩入ったところで「おひねり」を獅子に向かって投げます
こちらも全速力で走って来たっ
上手くカーブを回り込んで来ました
目指すは…獅子頭の鼻の白い綱でございまして、これに一番手に掴んだら獅子頭を誘導させ引き合わる権利を貰え、先立って雄・雌を引き合わせます
今年は2部、3部、1部の順で宮出しが行われました。
若衆の爪の先、指の節、手の甲は獅子頭にぶつかり・挟まれたりして傷だらけ…絆創膏が多いほど?頑張った証となるのでしょうか?
各町内神輿渡御が始まる前、神輿が行く道を獅子頭が先に通ることで清められるとの言い伝えがございます。
ここでも世話役が先導し、6対の獅子頭が佃1丁目を出発致します。
連日33度を超す猛暑で氏子・みんなフラフラでしたが、わたくしも脱水しちゃって頭がモウロウとしてる状態で干乾びている体が尚一層カラカラとなってしまい、乾物屋に並んでいる干しワカメのようでありました
ホント!真っ黒に日に焼けてワカメもビックリです
この後の宴席で飲むビールが堪らんほどの美味しさで、ゴクゴクと喉を通過して行く冷たさを思い浮かべ、あともうひと踏ん張りと鼓舞させて歩いておりました!
明日は我がおぃちゃんの船が大活躍する『船渡御出船(ふなとぎょでふね)』の海上祭を晴海沖にて執り行う神事でありますが、何しろ神輿の宮出しが朝の5時30分…出船が7時という早朝の神事なもんで、わたくし体力が残っていたら駆け付けるのですが、はてさてどうなることやら…
乞う、ご期待のほどを