「東京のお伊勢様」として東京千代田区・富士見に創建された東京大神宮は、このところ「縁結び・恋の成就が叶う」などの評判を得、いつも若い女性やカップルが参拝し、ちょっと華やいだ趣のある神社に変わりつつあるかと思います
伊勢神宮の遥拝殿（ようはいでん）として建てられた神社ですから、それはそれは格式を重んじる神社なのですが、神前式の結婚を定式化した神社でもある故に、男女…の枠に嵌らぬ男男、女女の縁結びも叶うと言う「パワースポット」としても名を知られるようになりました
ですから
「七夕祈願祭」ともなりますと、何んとか無理を押してでも結ばれたい
と言った切羽詰まった願いが山のように積まれ、それを捌く縁結びの神様はと言いますれば、ご本殿の真ん中でうつらうつらと船を漕いでいるヒマもなく、あっちの赤い糸とこっちの赤い糸とそっちの赤い糸を結ぶのに懸命なご様子…あぁ～神様！３本の糸を一緒に結んでしまっては三角関係になっちゃって、ややこしいことになってしまいますよぉ～
わたくし
マンションの「七夕祭り」で、笹に飾る短冊に『巨人の大逆転優勝』をお願いしたのですが、実力が伴わない優勝を願ったとて、如何になんでも無謀な願いだと反省し、東京大神宮の祈願短冊には、縁はさて置きまして「速やかなる復興」をお願いし、帰って参りました
七夕を迎える本日は、二十四節気の「小暑」が巡って参る日でもございます
「暦便覧」には日あしは徐々に短くなっては来ますが、夏の暑さはいよいよ本格的に始まるとされています
こう暑くなりますとパタッと売れなくなる商品に洋菓子・ケーキがあるのだそうです
冷たくして頂くゼリーやプリンは売れても生クリームがのっかってると敬遠されてしまうのだとか
へそ曲がりなわたくし…生クリームどころかこってりとしたバタークリームたっぷりの「クルミのケーキ」を１個だけ小さな箱に詰めてもらい、日傘の中に入れて持ち帰りました
午前中に用事を済ませてしまうと、午後３時のお茶の時間もゆっくりと過ごせます
１年に１度だけの逢瀬が七夕なら、こちらは１杯のコーヒーが冷めぬ間の慌ただしい過去への旅が叶う１冊です
川口俊和・著「コーヒーが冷めないうちに」
全国書店店員が選んだ・いちばん！売りたい本…「本屋大賞」にノミネートされた本で、ノミネートで終わってしまいましたが、５０万部売れたヒット作品となりました
巻頭にこう記してあります
「とある街の、とある喫茶店の、とある座席には不思議な都市伝説があった その席に座ると、その席に座っている間だけ 望んだ通りの時間に移動ができる…」
喫茶店の名は「フニクリフニクラ」
口ずさんでみると、メロディが自然と浮かんで来ます
子どものころ…確か、ＮＨＫ・みんなのうたで「登山鉄道」と呼んでいた歌かと思うのですが…オペラ歌手がコンサートで堂々と歌い上げているのを聞いて、こんな有名なテノール歌手も「みんなのうた」を聞いて覚えたんだと、素朴に思ったものでした
イタリアの古い民謡だと知ったのは、ずい分とあとになってのことでした
さて、物語ですが４つの物語から成る短編連作集となっています
結婚を考えていた彼氏と別れた女性…「恋人」
記憶が消えていく男と看護師の話…「夫婦」
家出した姉とよく食べる妹の話…「姉妹」
この喫茶店で働く妊婦の話…「親子」
本を買わせる殺し文句…４回泣けます・とのことですが、泣けるような・泣けぬような…
ただ七面倒くさいルールをクリアし過去に戻って念願の相手に会い、伝えたいことや聞きたかったことを聞いたとて、元の今に帰ってこようとも現実は何ら変わらないと言う物語にちょっぽり安堵感を覚えました
それでも、こんな喫茶店がホントにあったら、ぜひとも行ってその席に座ってみたいと思います
「あの日に戻れたら、あなたは誰に会いに行きますか？」
そう本に記してあります
わたくしなら…もちろん亡き夫に会いに行きたいのですが、では・いつの夫に？何を伝えに？
それは…やっぱり、夫が亡くなった２年の間に繰り返し詫びたことです。
「ごめんね、病気に気が付かなくて…堪忍してね」
今夜の７月７日の夜空はすっきりと晴れ渡り、明るいお月さまが昇っています
きっと幾つもの願いが天に届いたことでありましょう
今日いち日・太陽に励まされ、お月さまに慰められた七夕の日となりました
