「世の中は何事も思うようにいかぬもの」…わたくし・６０余年を生きて来まして、ぼんやりとこう思うようになりました
すっぱりと切られているのは「モノレール・ゆりかもめ」の高架・線路です
有明から延伸されたまま放置された状態が長く続いております
２０２０年・東京オリンピック誘致に向けて、中央区・勝どきに選手村が立つ予定だったものが頓挫してしまい、ゆりかもめのレールは行き場を失ってしまいました
ゆりかめも・豊洲駅は終点でありながら、折り返し・始発駅でもあります
本来ならば、レールは晴海通りを通って晴海運河を渡り、勝どきを目指していたのですが、断念せねばならず、そのレールの断面からポトリ
またポトリとわたくしの聡明なおでこに涙がこぼれ落ちてくるかのような無念を感じさせます
「あっ！雨か…」
昨日は朝も早よから豊洲で開催された「第４回 豊洲ワールド・フェスティバル」に行って来たのですが、のんびりとフェスティバルを楽しみどころか、ここで開かれたマルシェに出店した「さばバーガー＆ねぎま汁」で、相も変わらずの下働き…幼馴染みが言う事にゃぁ～
「下働きだって
江戸時代の丁稚奉公じゃあるまいし…人聞きがわりいでしょうがっ
縁の下の力持ちって言いなさいよ
」
「あたしゃね！縁の下でピーヒョロと鳴いてるコオロギじゃないんだからね
」
「分かった！よぉ～く分かった
じゃね、今回はねぎま汁を任せっからね！それも統括責任者に抜擢するから、うちの看板を汚さぬよう気合を入れてやってもらいたい
」
わたくしの隠された実力をようやく発揮できる機会を与えられ、東京メトロ有楽町線・豊洲駅に降り立ったのが朝の７時半
「ね！ね！ねぎま汁…ね・ぎ・ま汁ぅ～」
わたくしの頭の中は、ねぎま汁・モードでいっぱいです
会場へは約束の８時前に悠々と着いたのに…
「遅い」
ねぎま汁は人の膝上まで来る大きな寸胴鍋・２個に作るんだそうですが、汁となる水がまだ鍋に入っていない状態で、ほかの手伝いの人たちと一緒にひたすらペットボトルのキャップを回し、６個入りの箱を５箱を空けたところで着火
「あとはいいから…レタスのヘタを切って洗ってサ、適当な大きさに千切ってといて！」
ここから…少しづつねぎま汁から遠ざかっていくような、気がしないでもなかったんですが、何しろ１０時開店まであと２時間を切っていたので、すぐにレタスに取り掛かりました
今年は野菜の高騰が続き、独り身で高価なレタスなどとてもじゃありませんが買えませんで、レタスに触るのも久しぶりであります
「なにレタスに頬摺りしてんのよっ
サッサとやる
次はパンを３等分に切る
」
もう完全にねぎま汁じゃないなぁ～と思いつつも、わたくし・微かな希望は捨てませんでした
寸胴のお湯が沸き、まぐろの灰汁をすくうのを買って出ましたが、あえ無く…却下
「さばをバットに分けといて！」
寸胴鍋はどうなってる？…もうもうと湯気が立ち、カメラのレンズを向けても真っ白け
「さぁ～
鉄板に火を点けるよぉ
さばが焼き上がったら、パンにレタス、スライス玉ねぎ、サバを挟んで紙でラップ！ここまでが今日のあーたの担当！レモンを添えてお客さんに渡すのは料理教室のセレブな生徒さんに任せっから、手を休めずにどんどんバーガーを作る、分かった？」
気の弱いわたくしは…「ね…」まで声に出したものの、幼馴染みのダミ声にかき消されてしまいました…『さらば、ねぎま汁』心の中で寸胴鍋に別れを告げました
築地・場内市場で干物を扱っている店のおぃちゃんが「焼き」を担当！
店頭で焼きますから、本日の花形でございます
さばを焼きながら、パンを温めていきます
このおぃちゃんの後ろの位置にわたくしが立って、この日のメイン・さばバーガー・１個３００円を心を込めて作りました
雨もひと粒・ふた粒で上がったようでして、セレブな生徒さんたちが次々と手伝いに来てくれまして、いつの間にかねぎま汁をお椀に注いでくれています
わたくし…パンにすべての食材を詰め込んだまではスムーズにいくのですが、ビニールの手袋をはめているせいか、三角形に切られた紙を広げるのが思うように上手くできません
そこへセレブな生徒さんがきれいにネイルされた指でサッと紙を広げてくれ、事は一気に流れをつかみ、ストックがどんどん出来上がっていきました
「すいませ～ん
そこのパン、取ってくれますか？」
「…パン
あ～、このフォカッチャのことかしら？」
「へ？パンです、パン
パンツのパン！」
「まぁ～パンツのパンですって
パニーニのことかしら」
セレブってのは、時として訳の分かんないことを言いますもので、ここ・豊洲は高層マンションが立ち並び、テレビドラマでよく登場いたす話題の街となっているのだそうな
「先週の『砂の塔』、ご覧になった？菅野美穂さんと松島奈々子さんが出演されてるんですけど…そのドラマのロケ、この辺りでしょっちゅうやっておりますのよ
」
みなさん、豊洲の高層マンションにお住まいと聞いてはおりましたが、このフェステバル会場にやって来た方たちの多くは小さなお子さんを連れた若いご夫婦でありました
さて
晴海運河を背に「さばバーガー・完成品」をパチリ
レモンの酸味が何んとも爽やかで、思った以上の美味しさでした
やっともらったトイレ・タイムを利用し、ほかのお店を覗いてみました
豊洲商店街で有志を集い「豊洲商友会」を結成し「豊洲はちみつ」のプロジェクトを組んで３年目の今年…夏の暑さのせいか、ひと箱・８、０００匹のセイヨウミツバチが入った箱をふた箱、豊洲の街へ放ったそうですが、ハチが弱ってしまったのか、思うように採蜜出来なかったとか…
それでもこの通り、きれいに澄んだはちみつが「豊洲はちみつ」として売られていました
そのはちみつを入れた「豊洲蜂蜜エール」が開発され、近辺のレストランや酒屋さんでも特産品として販売されているそうです
ステージの方から懐かしいフラダンスの曲が聞こえてきました
お揃いの衣装に、華やかな髪飾りがとても素敵です
軽やかなハワイアン・メロディを聞いていたら、立っぱなしで疲れていた腰がスッと伸びたような気が致しました
そろそろ
店に戻りましょう
夕方５時までに売った「ねぎま汁」は何んと８００杯
寸胴鍋・２個分をすべてを売り切りました
「さばバーガーは３００個ぐらいまでサバいたのは覚えているけどサ、あとで残ったパンを計算してからじゃないと正確な数が分かんないわ」
「パンなんて言ったらいけないわ！フォカッチャかパニーニって言わないと、セレブのお仲間に入れて頂けないのよ！」
「そんなもん、入れて頂かなくて結構だよパンなんぞパンでいいんだわ！ほれ！さっさと片づけする
」
さて
一夜明けたものの疲れが取れず…腰は鉄板が入ったようで伸び縮みがまったくできません
肩もふくらはぎもパンパン
いえいえ
肩はフォカッチャ
ふくらはぎはパニーニ
街へ出ましたら、今日は「ハロウィン」でした
運良く、ＹＭＣＡに通っている生徒さんたちの仮装行列を見ることが出来ました
先頭の先生は白雪姫？最後を行く先生は魔女の扮装をしています
どちらも外国人の先生でして、小さな生徒さんたちの話す会話もすべて英語
流ちょうな英語を操り、ホント楽しそうに話しておりました
英語を習うなら…ぜひＹＭＣＡで
つい、あとに付いていってしまいそうな行列でした
