今日は二十四節気・第17番目『寒露』を迎えます…いよいよ紅葉の便りが届き始め、越冬する雁などの冬鳥が羽を広げやってくるころでしょう
風がちょっと冷たく肘が冷えて来るような気もしますが、衣替えもまだ済んでないんですが、肘のひとつやふたつぐらい、どうってこたぁありません
今朝は気合いを入れて早起きし、築地市場へ行って来ました
いつ雨が降り出すやも知れぬ怪しい空模様だったので、東京メトロの駅まで小走り…電車の中でも進行と逆を走る走る…東西線・茅場町駅から日比谷線への連絡は、ホームの端っこから端っこまでと離れているのものですから、すぐ来た電車に乗ってしまい、そこの車両でぼぉーっとしておりますと、茅場町駅のホームで人を掻き分け、蹴散らし…スマホに夢中な人を避け『銀座・中目黒行き方面』の乗り換え階段に辿り着くまで、大変な思いをしなければなりません
日比谷線「築地駅」を上がって来ても地面は濡れておらず、すぐ脇にある築地本願寺さんの境内を抜けまして…手を合わせて来るのを忘れた。
慌ててご本堂までマイケル・ジャクソンのムーン・ウォークで戻りまして手を合わせ、ひとつお願い事をして参りました
「失礼をば致しました亡き夫の友人が病に罹ってしまったそうです。夏風邪のウィルスが脳に感染し、ウィルス性脳炎に罹り45日間も入院し、今は無事に退院しておりますが自宅でお酒も飲めぬリハビリに頑張っておられます!どうかいち日も早く…百薬の長、お坊さんですと般若湯とか言っちゃって、庫裡(くり)の隅っこでこっそりと飲んでいるかと思いますが…飲めるようにしてあげて下さい…お酒と山登りが何よりの楽しみな友人です。お願い致します」
『…えーとそのご友人…病気回復の祈願は置いといて、とにかく酒が飲めりゃぁ~良いと言う祈願なんですね?』
ご本堂の中からお声が聞こえてきたような
「いえあくまでも病気平癒でございます」
案外と人の願い事ってのは、聞こえているもんなんですねぇ…あ~ビックリした
「おっ!やっと来た何やってたのよっこっちは配達があんだから、さっさと来いってんだ」
「悪い悪いちょっと本願寺の坊さんと交渉やってたもんだからサ」
「あすこにね何んか頼むときは、一升瓶持って行かないとダメだわ!」
「手ぶらも手ぶらでもダンス見せて来た」
「はっ?ダンスだぁ?あのね、帰り、まな板洗ってけっ!」
中央卸売市場でマグロの仲卸の商いをしている幼馴染みがいまして、今日はその幼馴染みに下げたくもない頭を下げ、隣にある「川魚・貝類専門店」のおぃちゃんに、鰻のくりから焼き・32本を頼めるかと聞いてもらう、注文の口添えを頼んでおったのです
この専門店で扱っている川魚は活きている「うなぎ・どじょう・スッポン」と、貝類は「冬場のみの牡蠣」となっています
「おぃちゃん、すいません。素人が無理お願いしちゃって…よろしくお願いします」
「いいよ!こっちは商売だっ!ここのか・とおかと市場、休みだからサ、ちょっと押せ押せになってるけどもね、さわちゃんの頼みとあっちゃぁ~断れないよ」
おぃちゃん、口も早口でまくし立ててますけど、手も休むことなく動かせて連休に入る前の稼ぎに精を出しております
活きた鰻しか扱いませんから、先ずは鰻を割かなきゃなりません
まな板に溝が見えるかと思いますが、これは血が溜まって手や包丁が滑らないよう流れて行く道を作ってあるんだそうです
1匹の鰻を割いて、大きな鰻でしたら串・8本…小さめの鰻ですと串・4本ほどしか取れないとか…
「スッポンもこれからが脂がのって美味しくなるよ鰻だってホントはサ、冬が美味いんだよ。脂の質がまったく違うのよとろっとしてすぅっとしてんの。夏の脂はね、ただギトギトしてるだけよ。鰻食べるんだったら、冬場にしな」
「この間、うちの排水溝のフタどかしたら、そこにスッポンがいてサ、嚙みつかれやしないかって、ビクビクもんよおぃちゃんとこから逃げ出して来たのかと思って、呼んで見てもらったら、『あっ、うちのスッポンはこんな下品な顔してないっ』て言うのよ。それでちゃんといるか、数えてよって言ったらサ、ちゃんといるって言うんだよねそれで、もう1軒のスッポン屋に走って行って聞きに行ったのよ、忙しい中をそしたら、そこでも数は揃ってるってのよあれってなんだったんだろうね、おぃちゃん」
「う~ん世の中、分かんねぇことって、いろいろ転がってるもんだよなあのスッポン、裏でアルバイトしてる中国人が素手でヒョイと掴んで持ってっちゃったよな」
「そうそうそれでどうしたって聞いたらサ、スープにして食べちゃったって、ホント何んでも食べちゃうんだねぇ」
「ねぇちょっと排水溝、開けてみようよ!なんかいるかも知れないわよ」
「人魚みてぇのがいたら、いいなぁ~」
「そんなもんが出てきたら、騒動のもとになっちまうよ」
そんな・こんなで出来上がったのが…コレ・くりから巻きの串でございます
黒い皮は背の方で、白いのは腹身となります決して腹黒の鰻ではありません
「今日、食べるんじゃないのじゃね、このまま何んにも付けずに白焼きして冷凍しとけば大丈夫だからサ!タレは好みで2度焼、3度焼して調整すりゃ美味いよ」
「ありがとうございますぅうん・じゃね」
「おい!こらっ!まな板洗ってけって11月の料理教室、頼むぞぉ~」
わたくし背中に耳は付いておりませんから、何を喚いていようが聞こえません
いつもは茅場町の「長寿庵」で食べていた「くりから焼き」であります
お品書きのいち番・下に書いてあるのですが、値段は記してありません
最初は「いったい幾らぐらいなんだろね?」と主人とコソコソ声で話していたものです
未だに1本・幾らするのか分かりませんが、おぃちゃんの店での仕入れ値は1本・200円+消費税で卸しています
言われたとおり、白焼きにしてタレを付けながら2本ほど付け焼きにしてみました
もう…これは日本酒を飲むしかありませんよね
「美味ぁ~い」
のけ反るほどの美味しさでございます
残る30本…良い手土産になるかと思います
「待っててねぇ」