今までにないほどの「物凄い勢力」を持つ台風18号がこっちにやって来るらしい…台風sao☆

大雨が降ってくる前に、何んでもいいから備えを済ませておかねばと、ベランダに出て空を見上げてビックリビックリマーク

「あの空に浮いている物体は何んだ!おとめ座

丸いのはフウセンカズラと分かりますが・・・ま・まさかのゴーヤ!

「い・いつの間にぃ~?おとめ座

「いえ、何が何して何になったまでで…ヒヒヒqゴーヤ

お昼のニュースでは東京でも午後遅くから大雨になるでしょう…とのことでしたが、何んとか小雨で持ち堪えておりましたame

ところが…NHK・夜7時の「ニュース7」のキャスター・武田さん、緊迫したお顔で台風18号の凄さを伝えていますテレビ

いったいどれほどの勢力なのか…画面の天気図・hPa(ヘクトパスカル)を見て見ましたら、な・なんと中心気圧・905hPaとありますビックリ

武田さんが「ただいま、沖縄本島に特別警報が出されました注意これまでに経験したことのないような台風です危険命を守る最大の警戒をして下さい!」武

「あのチビッ子・ゴーヤ…潮風を含む風に吹かれながら、故郷である沖縄を心配してるだろうなぁ~ゴーヤおとめ座

朝からこんなような状況でしたので、本日は「我が命」を守るため外出は避けて、家で大人しく読書を続けると致しましょうsao☆

ちょっとその前に・・・先月の末に観に行った映画『オーバー・フェンス』に触れてみたいと思います鳥の羽根

東京テアトル株式会社・70周年記念作品として公開された映画でして、この題名を見た時に…「あの、佐藤泰志の?」と思いました。

ポスターを改めてじっくりと見ましたら、主演はオダギリジョーと蒼井優とありまして、脇役にはメガホンを取った監督は山下敦弘…俳優陣は松田翔太に満島真之介、北村有起哉、松澤匠、そして鈴木常吉とひと癖もふた癖もある俳優さんたちが顔を揃えています。

そして…原作者はやはり…佐藤泰志と記してありました。

彼の作品はすべて絶版となってしまって、単行本はもう書店で買い求めることは出来ません。

その生涯において、5度も芥川賞のノミネートされながらも受賞することは叶いませんでした。

。『きみの鳥はうたえる』…第86回・芥川賞候補

。『空の青み』(移動動物園・収録)…第88回・芥川賞候補

。『水晶の腕』(   同 上    )…第89回・芥川賞候補

。『黄金の服』…第90回・芥川賞候補

そして、この『オーバー・フェンス』は第93回の、彼にとって最後の芥川賞候補となった作品で「黄金の服」という本に収められています。

不遇の小説家と言われた佐藤泰志ですが『そこのみにて光り輝く』で三島由紀夫賞の候補に挙がるも、これも受賞ならず…この作品は評論家・江藤淳氏に絶賛されたと言うのに…

佐藤泰志は挫折を繰り返し、無念の思いを抱きながら自ら命を絶ちました。

享年41歳でした。

 

鎌倉から東京へ引っ越しするとき、本棚にあった多くの本は鎌倉中央図書館に寄贈して来たのですが、写真の5冊…本当はこれに加えて「黄金の服」があったのですが…は、どうしても手放せなかった本であります。

佐藤泰志の本に出合ったのは、わたくしが36か37のころ…彼の描く20代後半の男性が、または若い夫婦が、それぞれに閉塞感と破滅感を抱きながらも出口を見出せぬもどかしさ、切なさが一字一字に込められていて、同じ世代であったならば到底読み切ることが出来ぬ物語でありました。

映画を観に行って見よう…そう思いました。

それよりも前…2010年に熊切和嘉監督『海炭市叙景(かいたんしじょけい)』が公開、2014年には呉美保(オミポ)監督『そこのみにて光り輝く』が公開…主役が綾野剛と池脇千鶴と言うこともあってか、じわじわと佐藤泰志の評価が高まってきまして、ようやく文庫本として復刻されたことは何より嬉しいことであります。

『オーバー・フェンス』も舞台は函館で、この映画で「函館3部作」は最終章を迎えたと言われております。

彼が描く若者の姿・生き方は、どれもこれも佐藤泰志自身が主人公のような気もします。

職を失くし、酒に溺れ…家族に暴力を振るい、家庭も崩壊…世の中の、人生の底辺を這いずり回っても尚、生きて行かねばならぬ人々を書き尽くしています。

オダギリジョー演じる主人公もまた、職と家庭を失い、東京から故郷・函館に戻り、職業訓練校に通いながら生活保護費で暮らしているという、私小説ともとれる物語ですが、私小説特有の鬱陶しさは少しも感じません。

オダギリジョーの相手役である蒼井優・演じる聡(さとし)…鳥の求愛ダンスをする役どころは原作にはなかったものの、活字の行間から立ち昇って来る、あの空虚感を出演者全員が見事に演じていると思いました。

佐藤泰志・訃報の知らせを新聞で読んだとき…信じられぬと事とは思いませんでした。

「これで、あのもがいてもがいて苦しみ抜いた現実から抜け出せたのかな」

そう感じました。

あれから26年の月日が経ち、61歳で彼の作品を再読してみますと…

「こんなにもがき苦しまなくとも、絶望を抱え込まなくとも、なんとかなるものを…」と心底、物語の中の主人公たちに語り掛けておりました。

「つまらない人生というフェンス」など、若さをバネにひとっ跳びできますとも!

貧しき人々が受ける差別と言う、どの時代にあっても覆せぬものがあると、佐藤泰志がその身を絞り出すように描いた作品をぜひ読んで頂きたいと願っているひとりであります。

『オーバー・フェンス』は、それでもその先に少しだけ、ほんの少しですが希望の灯りが滲んで見えるような物語でございます…映画も、お時間がありましたら、ぜひ…鳥の羽根

わたくし…『黄金の服』をどこに仕舞ってしまったものか…

衣替えよりも本探しを優先せねばなりますまいよぉ~ヤレヤレ・・・