中心気圧・950hPaの勢力を持つ台風16号…暴風域を伴い西日本に接近中と天気予報を見れば、日本列島は前線に伴う雲の帯で白く覆われています
ここ関東・江東区でも時折り強い風が吹き始めて来たようです
もう9月も半ばを過ぎたと言うのに何を思ってんだか、我が家のゴーヤ
夜が明けるたびにグングンと縦・横に育っております
わたくし苦いものは己の人生で味わい尽くしていますもので、わざわざニガウリを食べる気など、毛の先ほどもございません
そのゴーヤ…台風の余波を受け、まるで狸のナニのように前後・左右、ぶ~らりぶらりと揺れております
「呑気にナニを揺らしてる場合じゃないでしょがっもっとシャキッとしないさいよシャキッと」
「ナニって、何?こっちだって揺らしたくて揺れてんじゃないんです船酔いみたいで気持ち悪いんですからぁ~」
揺れているゴーヤを見て説教していたら、こちらも何んだか気持ち悪くなってきそう
こんなもんは放っておきまして…
ヨーロッパ・北欧の『ストックホルム映画祭』で「国際批評家連盟賞」を受賞したフランス映画「アスファルト」を観に行くことに致しました
うちからですと一番近い上映館は、有楽町イトシア4Fにある「ヒューマントラストシネマ有楽町」になります
シアターはふたつ今回はシアター1座席数162席・全席入れ替え指定席での上映だそうで、台風接近にも係わらず3連休の中日もあってか、そこそこの観客を集めておりました
さて物語は、エレベーターが故障中のフランス郊外にある寂れた、12階建て?の団地が舞台となっています
物語の始まりは…そのエレベーターが故障し動かない…と言う住民の話し合いから幕が開きます
12階となりますとわたくしが住んでいる階と同じでありますが、わたくし「閉所恐怖症」なもんで、エレベーターが故障し、その修繕費用を住民みんなで負担する話し合い・賛否を問う挙手に、ただひとり反対する主人公のひとりである自称・カメラマンの否を支持したいと思います。
なぜ、彼は反対するに手を挙げたのか…2階に住んでいるからです
その彼が実に詰まらんことで車いす生活になってしまい、修理が上手くいかなかったのか…ある夜、車いすにこっそりと乗り込んだものの、エレベーターが止まってしまいます!
たった1階に降りるだけなのに…です
上からのアングルに映るエレベーターの中は、車いすが納まるだけのスペースしかなくトイレよりも狭いのであります
わたくし思わず「うっ~!」と唸ってしまったんですが、血の気が引いていくのをはっきりと感じることができるほどリアルな場面でして、そのあとのストーリーはあまり覚えておりません
それでもやっと正気に戻り掛けたころ…画面の中に映るテレビから「マディソン郡の橋」の映像が流れ、フランス語に吹き替えられていて、橋のたもとでクリント・イーストウッドとメリル・ストリープがフランス語で会話をしているのに違和感を覚え、頭がこんがらがってしまいました
さすが「国際批評家連盟賞・受賞」した映画かと、改めて姿勢を正し画面と向き合う覚悟が出来ました
主人公は車いすに乗るハメになった男性のほかに5人登場し、それぞれ男女のカップルの出会いが描かれている、群像劇であります
男女のカップルと言いましても、高校生の少年と中年になったおばさん女優、アルジェリア系の老女とNASAのアメリカ人宇宙飛行士、そして自称・カメラマンと夜勤のおばさん看護師の3つの物語が同時進行します・・・…が、描かれるのは男女の「愛」だけではありません
「今夜はクスクスよ」…アルジェリア系の老女が宇宙飛行士に言う件は、宇宙から団地の屋上に突然降りて来た宇宙飛行士に対する最大のおもてなしにも聞こえ、言葉が通じぬふたりには「愛」以上の信頼をも感じました
6人が抱いていた孤独な思いがお互いの言葉や仕種で和らいできて、最後はほのぼの
我が家のベランダにも何か降って来ないかなぁ~との思いを抱いて家路に着きました
降って来た…のではなく、風で引き千切られた「ゴーヤ」がベランダにコロンと落ちていました
看護師との淡い恋心や、1歩前へと歩み出た女優や、無事にNASAに帰って行った飛行士との別れやらを観て来たあとに、苦手だからとゴーヤを捨てる気にもなれず…「今夜はゴーヤよ」と自分に言い聞かせ、足元に転がっているゴーヤを拾い上げました
真っ二つに切りましたら、種が赤くなり始めていまして充分に熟しています
種をワタごと取り除き、小口切りに…塩で揉むと苦みが薄らぐと聞いたような気がして、揉みすぎるぐらい揉みましたっ
もう、こうなったら沖縄料理「ゴーヤ・チャンプル」しか思いつきませんから、冷蔵庫に頭を突っ込んでよくおつむを冷やしてから、卵、豆腐の替わりに生揚げ、豚肉を探し出し…ごま油で炒めました
あの苦みが怖ろしくて、味見も出来ずに皿に盛り付け、先ずはキリン季節限定「秋味」でひとり・乾杯
「うん?苦くない!塩味もバッチリじゃんこりゃぁ~ビールが進むわい」
案外と根性がないゴーヤ・ニガウリでして、ぶらりぶらと揺れていたのも納得のひと品となりました