朝から温かな日差しに包まれ、ほんの少しヤル気が出てきたように感じます。

先ずは腕まくりをし、ベランダの窓を開け放し、大きく深呼吸!

金魚の黒木瞳にさくらとぼたん、メダカのブチ、楊貴妃と青幹之(あおみゆき)にエサをやり、洗濯物も干し終って部屋に戻ってみると…何かが視界の端っこを飛び回っています。

ハチ?それともハエかいな?

ぶ~ん…羽音を立てながら目の前を通り過ぎて行きます。

「あっ!もしかしたら、あーた!?ハエに姿を変えて会いに来てくれたの?」おとめ座

ぶ~ん…

『この俺が、何も選りによってハエなんぞに姿を変えて飛んでなんぞ来るかってんだっむかっ

夫の怒りの声が聞こえて来そうであります。

しかし!あの七代目・中村勘三郎…今の中村勘九郎、七之助のお祖父さんにあたる方の勘三郎になりますが、父親の故・十八代目・中村勘三郎の地方公演先や楽屋に、必ずと言っていいほどハエが飛んで来たそうです。

今も飛んで来るかは存じ上げませんが、当時まだ勘太郎、七之助と可愛らしい子役で舞台を踏んでいたころ、取材に来たテレビのリポーターがカメラに映るハエを手で追い払おうとすると、小さなふたりは…真剣な顔をして訴えていました。

「ダメダメ!あれはじじちゃまなの。いつもハエになって来るの」

あの、あの人間国宝である十七代目・中村勘三郎が、ハエになって息子や孫を心配してあの世から飛んで来るんですよぉ。

ハエのどこが気に喰わんのか知れないけれど、悔しかったらウジでもなんでもいいから、あーた、会いに来てよ!

その昔、江東区の証であるとも言われた『蠅・ハエ』が12階の我が家に迷い込んで来て円を切りながら飛んでいる…私はなぜか心が安らぎ、ひとりぽっちじゃないと思いました。

たった1匹のハエでも生き物が同じ空間にいるというだけで今の私は笑顔になれます。

さりとて…このまま窓を閉め切って閉じ込めておくわけにいきますまい。

日中、日が部屋に差し込んできている間は開け放しておくからね、勝手気ままにしていいよ。

花にハチ…私にはあーたがいち番お似合いだったよねコスモス

さて…今日は「一の酉」にございます。

今年は「三の酉」までありまして、17日に「二の酉」、29日に「三の酉」と12日ごとに巡って参ります。

ここ深川・富岡八幡宮の境内にも酉の市が立ちました。

酉の市と言いますと、日が落ちて夜っぴてからの方が何かそれらしい雰囲気でありますが、こうして晩秋の日を背に受けながら素見す(ひやかす)のもまたなかなか乙なものであります。

あちらこちらの店では「開運招福!商売繁盛!」の掛け声と共に手締めがにぎやかに聞こえて来ます。

酉の市を預かっているのは富岡神社の境内に祀ってある大鳥神社であります。

今年は「三の酉」までございます…三の酉がある年は火事が多いと言われております。

どんな小さな火種でも、それがたとえ人間関係の中にあっても、燻ることのないよう火消しを怠らず、新しい年に向かっての整いに精進致しましょう。

今年、我が家は喪中でありますから、本来ならこんなお目出度いところに顔を出しては穢れが生じまして申し訳がないのですが、最後にお参りしたとき夫が「酉の市やお祓、初詣でにも来られるといいんだけどなぁ」と呟いておりましたので、主人の写真を胸にこそっと寄らせて頂きました。

少しでも部屋が華やかになるよう、熊手に差す木札を買い求め、家内安全を祈願致しましょう。

今日は一の酉も大事な要件だったのですが、午後2時から歯医者の予約を取っておりましたもので、これから飯田橋・日本歯科大付属病院に行かなければなりません。

先ほどから、頭の周りをブンブンと羽音もうるさい、まさに五月蝿が飛んでるような気が致してなりません。

さては…夫、勘三郎を真似してハエに変身か!

果たして、心強い護り神となってくれるのでしょうか?

では顎が外れる前に、いざ!参るぞニッパへ…