あの時から半世紀以上も経ったのか…

いやいや、たった54年前のことなのか…

どちらにしろ、私が6歳の時に人類初の快挙とも言うべき宇宙飛行が成し遂げられましたロケット

当時ソビエト連邦で打ち上げたボストーク1号に単身で乗り込んだガガーリン少佐が、漆黒の闇から見た地球を見て呟いたとされる言葉はあっという間に全世界に伝わり、教科書にまで載ったものでした。

「The Earth is Blue地球はかった」

英語を習いたての私たち中学生は『Earth』をハートに替えたり花やリンゴに置き換えたりとBlueが流行り、何んでもかんでもBlueにして単語を覚えたのですが、肝心の『Earth』の綴りを間違え、それこそ顔が真っになるほどのテストの成績でした汗

あとになって、この『地球はかった』という名セリフはずい分と脚色されたもので、ロシア語で書かれた本人・ガガーリンが宇宙飛行の感想を書いた長文には『地球の色は優しく光る淡い水色』と表現されていたと知りました。

地球から見上げた宇宙もまた、秋を忍ばせた雲を流し、優しくも美しい水色をしておりました。

先日、宮本輝・著「水のかたち 上・下巻」を読み終えたのですが、その中に胡瓜のサンドウィッチのことについて、ちょっと触れたことを覚えておいででしょうか?

塩揉みした胡瓜だけを挟んだシンプル・サンドウィッチです。

物語の中に出てくる食べ物でありますし、主人公・志乃子が作るんですから登場人物はみんな「すごく、美味しいっ!」と褒めちぎります。

他に出てくる喫茶店のカレー・レシピやすき焼きの牛肉の焼き方、玉子サンドなども私たち主婦は長年に亘って作り慣れているものですから、ついお座なりになってしまうものばかりです。

ここは冷蔵庫にある夏野菜の代表格・胡瓜と塩、そして食パンで紙面の中の美味い美味いを連発させている胡瓜のサンドウィッチを作ってみることにしました。

「どこのページだったかなぁ~」おとめ座

取りあえず…胡瓜は塩揉みをしてから水気をしっかり搾ってから冷蔵庫でひと晩寝かせなくてはならず、これは夜のうちに仕込んでおきました!

上巻で出てきたサンドウィッチは生食パンのようで、バターやマヨネーズを塗るのは邪道だと書いてあったような…?

下巻では…遠出をするために食パンはトーストし、ベチャッとしないように邪道であるバターとマヨネーズを塗ったような…?

とにかく、そのどちらも胡瓜の水気はこれでもかっ!と、親の仇を取る勢いで搾り切るのが、このサンドウィッチの鉄則です。

作っているうちに思い出したのですが、これって料理研究家の有元葉子さんがやはり得意とするサンドウィッチで『NHK・きょうの料理』で紹介したレシピではないかしらん?

その時作ったサンドウィッチは、恐々胡瓜を搾ったものですから、少し水っぽくなってしまい、あまり美味しいとは感じませんでした。

今回は学習能力を活かさねば、主婦が廃りますからね、気合いを入れまくってこれでもかと塩揉みした胡瓜の水気を搾りました。

わたくし、体力テストでいち番数字が低いのが握力でして、左・7キロ、右・11キロと『色女、金と力はなかりけり…』で苦労しちょりますあせる

ひと組は生食でバターを塗ってから胡瓜を挟み、もうひと組は軽くトーストし同じくバターを塗り挟んでみました。

「どぉ?」おとめ座

家人はカリカリと胡瓜を噛む音を立てながら味わっております。

「どぉって聞かれてもなぁ~俺、カッパじゃないしサ、薄いハムでも挟まってりゃ美味いかなぁってなるけども…これパンから引っぺがしてサ、胡瓜の浅漬けでお茶漬けか、海苔で巻いたカッパ巻き、食べたくなっちゃった!」

ダメだ、こりゃパンチ!

胡瓜を揉む時の塩加減が難しく、塩を洗うようにして甘酢をまぶしてから搾ってみましたら、うん!サンドウィッチらしくなりました!

これにツナを少し足してみたら、ウマぁ~い馬

有元さん、宮本さん…一応、努力はしたのです!

ですが、私どもの口には上品過ぎて、結局どこにでもあるサンドウィッチとなってしまったことを、ここに深くお詫びいたします。

「はぁ~ダウンThe ため息 is Blue」な気分でございます食パン