さて…昨日の日差しでもって、38度を超える高熱にうなされた家人…今年初の熱中症・第1号となったのでは?
おつむの中身をやられてはと、解熱剤の座薬をあそこに投入したのが効いたのか、夜は熱も下がりぐっすりと休んだ…かのように思っていたのですが、それがトンだ油断でありました!
朝の6時…「ウンウン」唸っている家人のうめき声で目が覚めました。
顔を覗きながら訊ねました。
「何をウンウンとうめいてんの?」
「何をってサ、具合が悪いんだよ!ちょっと熱があるんじゃないかな」
「どれ?冷たくなってるよりいいと思うんだけど…アチィ!」
広すぎるおでこに手を当てましたら、目玉焼きが出来るような熱さになっています!
「試しに…1個落としてみますかね」
体温計は39度の数字を表示しています。
「ちょっと座薬をひとつ、所望したいんだけど」
我慢強い家人が自分から薬を使いたいと訴えるのは珍しいことなので、余程の辛さなのでしょう。
眠気が一気に吹っ飛びました!
すぐにボルタレン25を冷蔵庫から出してきまして、ナニに深く投入
これで安心…家人はふっと恍惚の表情を見せたので、別の心配をしたほどです。
この高熱は…もしかしたら「腎盂腎炎(じんうじんえん)」に罹った可能性があるかと思い、早朝で申し訳ないのですが、病院の先生に電話を入れました
東京医科歯科大病院となると、こうはいきません。
救急車での搬送は、その日の当直が脳外科の先生では困りますし、今年の1月に罹った単純性腸閉塞の治療が終わったときに、泌尿器科の担当医から出されたある提案を受け入れ、そのシステムを活用することにしました。
ある提案とは…
家人は3年前、浸潤性膀胱がんの告知を受け、膀胱の全摘手術をし人工膀胱を付けたオストメイトとなりました。
それ以降の延命治療をご遠慮しましたら、東京医科歯科大病院・泌尿器科の先生が在宅医療を勧めて下さいました。
それには、訪問看護並びに介護、歯科、薬の配達と希望をすれば自宅でそれらの医療やサービスを受けることが出来るというものでした。
「先ずはがんの痛みを取ることが優先されます。外来へ通うことが徐々に困難になって来るかと思いますから、地域のケアマネジャーを紹介する支援センターが1階にありますから、そこでご相談なすってはいかがでしょう?」
地域の行政に従って要介護の認定を受けたり、介護保険を申請したりと初期の手続きは面倒ではありましたが、これを済ませ認定を頂いておけば、いざと言うときには心強い味方になってくれます。
それに加えて、家人はオストメイトの障害者手帳も頂くことが出来ました。
「自宅で受ける医療はご本人の希望が叶う反面、それを支えるご家族の負担も考えなくてはいけません。患者さん自身もご家族もその覚悟がきちんと出来なければ、在宅医療は成り立ちませんので、そこのところを改めてよく考えて下さい」
ふたりでおでこを突き合わせ、いろいろ起こり得る困難を考えました。
で・出た結果は…
「なんとかなるんじゃないの?」
で、ありました。
地元・江東区の支援のもと、往診をして下さる病院と訪問看護に来てくれるケア・センターとの契約を結んだ直後の発熱でありました。
電話を入れた病院には東京医科歯科大病院・泌尿器科からの全てのカルテが前もって送られていますから、高熱と聞いただけで前に罹った腎盂腎炎のための点滴を持って駆けつけて下さるという早業に、びっくりしたと同時に感激を覚えました。
ウロガードに溜まった尿で簡易検査をしたところ、白血球の値が多く出ているとのことと、鮮血反応も見えるらしく、すぐに抗生物質の点滴が投与され、水分補給のぶどう糖の点滴も合わせて行われました。
処方された薬は抗生物質薬。点滴と共に5日間飲まなければなりません。
そのあとは私どもが契約したセコム訪問看護ステーションの看護師さんが来てくれ、点滴の回収と次の点滴もつなぎに来てくれると聞いて、家人は寝たきりのままで腎盂腎炎の治療を受けることができますし、私は安心を頂くことが出来るかな思っています。
夕方、家人の尿を持ち帰った先生から、やはり腎盂腎炎である数値が出ているとの報告の電話がありまして、まだ熱が続くようだったらこちらの病院に入院をして頂くことになるとか…
「俺、もう入院はいいわ。在宅医療を選んだ意味がないもん。この熱も気合いで下げて見せるから待っとれ!」
見事、下げちゃった!
「下げるのにエネルギーを使い切っちゃったから、お腹空いた」
これなら、大丈夫でありましょう!
うどんを入れた茶碗蒸し、熱々の小田巻き蒸しをこさえることにしました。
「しかしサァ、点滴を下げるのにクリーニング屋のハンガーを使って鴨居やカーテンレールにぶら下げるってのは、なるほどなぁって感心しちゃったね」
針金で出来たハンガーは自由自在に形を作ることが出来るそうで、我が家でも上手い具合いに点滴の袋がぶら下がりました。
腎臓にある細菌を流すため、どんどん水分を補給しなければ、数値は下がりませんし、赤味を帯びた尿が出続けることになります。
「そうそう水ばかり飲めないよっ!」
家人はちょっと具合いが良くなると、すぐ不満を口に致します。
家族の覚悟を見たように思います。
こうなりゃぁ…家族の覚悟ってのを見せてやろうと、工夫をしまして再度挑戦
徳利に水を入れ、ひと肌に温めお猪口を添えて出してみました
「女房のお酌じゃ味気ないでしょうけど、一杯どぉ?」
「おっ!1本付けてくれたの?気が利くじゃないの。どれどれ久しぶりだねぇ。なんかサ、ずい分とさっぱりしてるね、この酒」
「水の如しって言う純粋酒なのよ。ささっ遠慮せずに何杯でもどうぞ」
騙す方も騙される方も、狐と狸が化けたようなふたりですからね、いい勝負となりました!
ところが…こちらの勝負・同率首位争いの我らが巨人軍とヤクルトの試合
ヤクルトがサヨナラ・ヒットで単独首位に躍り出る始末
「せっかく下がった熱が、また上がってきた感じがする!俺、もう寝る」
ヤケ酒の一杯を勧めてみようかしらん…