頬を切るような北風が吹く朝ではありますが、背中はポカポカです。

振り向けば…午前9時55分、東京・文京区にそびえ立つ東京医科歯科大学病院を照らす太陽は、この位置まで昇って来ていました晴れ

外堀通りを挟んで神田川が流れる左手向う側には、JRと東京メトロ・丸ノ内線・御茶ノ水駅がありまして、JR総武線、中央線の電車はおよそ4、5分間隔でホームに入って来ています電車

「それにしても、この銀杏…木立といい黄葉の色合い、葉のふくらみといい、さすが国立大学に植えられているのは、物が違う!」

家人を連れて再びやって来ました、東京医科歯科大病院病院

先週金曜日に来て以来、久しぶり・実に5日振りの来院であります!

12月・クリスマスに相応しい赤と緑を配した車は、東京医科歯科大病院が持っています「DMAT・救命救急センター」の緊急車両です。

「サンタクロースに貸し出しても、様になるよねプレゼントおとめ座

「サンタクロースってのは、車の運転できるのか?」

「高齢者用のシルバーマーク、あれ貼ってれば何んとかなるんじゃないの?それよりサ…この車のメーカーエンブレム、変わってない?イチョウだよ!」おとめ座

「ホントだ!国立大なのに東京都のシンボルマーク入れてんだ。おい、ベンツのより格調高かないか?」

「うん、ベンツやBMWよりずっといいよぉ~」おとめ座

私たちはこれまでも、そしてこの先もずっと…ベンツやBMWに乗ることはない!

完全なるヒガミ・ソネミが言わせた言葉でございます汗

「あっビックリマーク

内科10時の予約時間がとっくに過ぎていることに、ふたりして気が付き走っては行けない病院の廊下を小走りに、ひたすら内科へと急ぎました時計

「俺サ、膀胱がんだよな?こんなに走っちゃっていいのかね?なんか心臓がバクバクしてんだけど、大丈夫かね?」

発端は『膀胱がん』なんですが、膀胱全摘出をしていますので、正確に言いますと「膀胱がんであった」ではないかと思うんです。

ところが、冠に浸潤性が付いていましたので、少々厄介なことにはなっております。

「あっ~ビックリマーク

内科へ行く前に肺のレントゲン写真を撮って行かねばならなかったぁ~方向転換して1階へ。

バシャッと1枚、撮ったそうです。

さて…内科の混み具合は半端ではありませんで、覚悟はしていたものの延々と待ちそうな予感が致しますダウン

「俺、ここでお陀仏しそうな感じがするぅ…」

院内の泌尿器科からカルテが届いているお蔭か、受付を済ませましたらすっと順番が回って来て、名前を呼ばれました。

東京医科歯科大には長く掛かっているんですが、ここの内科は初めてでして、馴染みの先生が生憎とおりません。

「小料理屋の女将と一緒にするな!」

「はい、金ちゃんですね?どうぞお座りください。今日は泌尿器科から肝臓、腎臓、腹部のエコーと肺のレントゲンの検査が回って来ています。レントゲン写真は…異常ありません。ここ右下の葉の一部は肺がんで摘出していますね?その他はきれいで、問題はないようです」

先生はパソコン画面に写った家人の肺を診ながら嬉しい報告をして下さいました。

エコー検査にもがんの転移・再発は見られず、ただ後腹膜(こうふくまく)への浸潤のみが心配との診察でした。

思った以上に早く診察・会計が終ってしまい、まだ11時をチョィと過ぎたばかり…腕時計

今の家人にとっての最大の楽しみはと言いますと、病院の帰りに食べるお昼ごはんです。

「今の俺ってどこの俺だよ!最大の楽しみが昼ごはん?勝手に決めるなよ!」

「じゃ・サ、家に帰ってお茶漬けでも掻っ込もうよ!30分あれば着いちゃうもん」おとめ座

「お茶漬けだぁ?きみは永谷園の回しもんか!」

「あたしゃね、土俵の懸賞旗じゃありませんから!小津安二郎のお茶漬けの味を指して言ったんですっ」おとめ座

なんだかんだと行き着いたのがここ…医科歯科大学5号館1階にあります「大学生活協同組合・カフェテリア」です。

朝の10時30分から開いているそうです。

「昔の学食とは似ても似つかないほど立派だなぁ」

ホント!そのメニューの多さになかなか決まりません。

小鉢のお惣菜が60円、豚汁小盛りが84円、カレーライス・小が252円と目ん玉が飛び出るほど安いんです!

ふたりで迷いながら決めたあれこれで合計が816円、ひとり408円!

お腹パンパン!これなら電車賃かけて通っても、それほど懐に響かぬかとそろばんを弾いてしまいましたがま口財布

「もっと早く、ここに来れば良かったね。明日も来ようよ」おとめ座

昼下がりの病院はちょっとだけ気だるさが漂っているような気が致します。

病院のフロントを抜け、あの木立が美しい銀杏を眺めに中庭に出てみましたら…黄色の葉っぱが降るように肩に落ちて来ます。

ふたりして暫し…黄金の中に経ち尽くしておりました。

 

『うつしみの吾が目のまへに黄金なる公孫樹の落ち葉かぎり知られず』

(うつしみのわがめのまえにおうごんなるいちょうのおちばかぎりしられず)

齋藤茂吉