今月・11月は3連休が2回もあって、曜日の感覚がはっきり掴めなくなってしまいました。
1・1・2・3と並んだ数字は縁起がいいと喜んでいたら…オツムの方もついでにお目出度いことになってしまい、果たして修正が利くのか…心細い連休明けとなりそうです
ぼぉーっとベランダでその修正を行っておりましたら…?
室外機の上に置いてあった、手すりや物干し棹を拭くタオルに守宮(やもり)が布団に包まるようにしてジッとうずくまってるじゃないですか
守宮は変温動物でありますから、外気温が低くなれば守宮自身の体温も変化して動かなくなって体の消耗を防ぎます。
爬虫類や両生類が冬籠りするのと同じで、守宮も雨戸の戸袋や木の皮のすき間に潜り込んで越冬します。
パッション
熱い情熱を秘めている哺乳類の人間とは違い、春夏秋冬・季節の移り変わりをきっちりと自覚しているものと思ってたんですけどねぇ~、どうしちゃったの?
「…あたい?どうしちゃったんでしょうねぇ?あそこのきたない鉢の間に隠れてたんだけど、隣の猫が側まで来てニャァニャァ鳴くもんだから、食べられちゃうんじゃないかと思って…とにかく上まで這って来たとこまでは良かったんですけどね…はて?この先どうしようかなって…路頭に迷ったって言うんですか?隣の猫、部屋に入りました?」
路頭に迷っている守宮を見るのは、世界のトップに立っている哺乳類とは言えども、私・ひとりだけかと思います!
「…猫の姿は見えないけどね、そのきたない鉢ってのはうちの鉢のことヶ?」
とは言いつも、少しばかり震えている守宮に、白魚のような私の人差し指を差し出すと…
そろり…守宮の前足が指に掛かり…
そろり…反対の後ろ脚が指に乗ったかと思ったら…
チョコン…指には土も一緒に付いて来ました。
お腹には乾いた土がこびり付いていたのでしょう。
ホント!汚かったんだ、あの植木鉢…
「あったかぁ~い」
指にしがみ付いてくる守宮…私の中で抜け落ちていた母性本能がムクムクと立ち上がって参りまして、思わずギュッと守宮を抱きしめたい衝動に駆られました!
「衝動」ですよ!衝動!
この体の奥から湧き上って来る感情である「衝動」、女性ではそう頻繁に起こり得ぬことかと思うんですが、いかがなもんでしょうか?
このまま…指乗り守宮にしておくわけにいきません。
きたないと貶された植木鉢に守宮を戻そうと軽く振ったんですが、これが足の裏に付いている吸盤でもって指から離れないんです!
「困っちったなぁ~」
仕方がないので、しばらく守宮を指に乗せたまま、オツムの修正を再開することにしました。
そのうち…お腹があったまったのか、守宮が居眠りを始めたんです
スッと体の力が抜けて、吸盤が弛んだ様子が分かりました
『今だっ!』
私は守宮を指から少しずつずらしながら、なるべく低い位置で植木鉢に落としました。
落とされた瞬間、守宮はまだうつらとしていて、尻尾を丸めて茫然!
自分に何が起こったか、分からぬ様子
「はっ」…よだれを拭きつつ、守宮は自分が居眠りしてしまったことにやっと気が付いたのです。
「変温動物」に有るまじき居眠りであります!
キョロキョロ…守宮は『誰かに見られちゃったかな?』と辺りを伺っています。
「大丈夫、何も見なかったことにしてあげるからサ」
私の言葉を聞いて、ホッとした顔をしたのですが…なぜかちょっぴり淋しそう。
「でもね、お前に会ったことと、ヒンヤリとしたお腹は忘れないよ」
守宮はニコッとして植木鉢の底に潜り込んで行きました
「春になったらまた会おうね」