風がピタリと止まった凪の夕暮れ…「紋黒白蝶(もんくろしろちょう)」が翅を閉じ、その名の紋を隠してしまっています。
羽化が遅かったのか…真っ白な翅はどこも傷んでおらず、優雅さをふわぁっとまとい、稲科の葉にとまっておりました。
稲と聞きますと、あの芳村真理さん…長らく歌番組や料理番組の司会をやってらした方ですが、その芳村さんの本名が『稲』さんと知って、ファッショナブルな装い、歳を感じさせない容姿とあまりにもかけ離れていて「へぇ~」と意外な思いを抱きました。
日本橋産まれで、稲を扱う農家だったとか…で『稲』さん。
妹である女優・吉村実子(よしむらじつこ)さんも、その名の通り実が生る子と、これも生家を思わせる名前であります。
先日…「地上に降りた最後の天使」とこのブログで、わたくし…思わず真実を打ち明けてしまいました。
思わぬ反響が鎌倉の友だちからございました。
「何をかくそう…」で始まるメールなんですが、危うく携帯を落とすほどの内容でした!
「…私が地上に降りた最後の天女でした」
友だちは、白い羽衣を持って学芸会の舞台に舞い降りたそうです。
わたくしが『天使』で、友だちが『天女』?
そんなことはおくびにも出さぬ友だちでしたが、天使の誘惑に負けての告白となったのでしょう!
言い出しっぺのわたくしはと言いますと、背中の羽はとうの昔に抜け落ちて、肩甲骨のあたりが薄ら寒いこの頃であります
「しっかし…勘違いってのは怖いよなぁ~それでもって、もっと怖いのはその勘違いを思いこんじゃってることだよ!」
けれども、家人から申し付かったことがございます。
「天女とは露知らず、今までの御無礼相済みません」とのことです。
私が中学生のころでしたか…「白は色ではない」と言った美術の先生の言葉が思い出されます
今年もノーベル文学賞を逃してしまった村上春樹・著「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」
高校時代の友人・4人から突然絶交を言い渡された多崎つくるは、その「訳」を探し当てるため、36歳になって友人に会う巡礼の旅に出る…
友人・4人の名前にはそれぞれ色が付いた名前でして、赤松はアカ、青海はアオ、黒埜はクロ、白根はシロとお互い呼び合っていました。
多崎の名前だけ色を示す名はなく「つくる」と呼ばれていましたが、何か疎外感を持ち続けていたようです。
でも…よう分からん話であります。
村上春樹氏の本は「1Q84」の青豆さんで精一杯です。
高校三年生あたりが読めば、ピンと来るものがあるかも知れません。
友だちの息子・大学受験真っ只中の高校三年生に貸してあげようっと!
「おばさん、押忍!今日は何の日だか知ってる?当たったら凄い」
グッド・タイミング!
噂の主・美大を受けると言う高校三年生からメールが来ました
こちらに引っ越ししてからの読書仲間です。
ハードボィルドが好きだと言うので大沢在昌の「新宿鮫」を薦めたらハマってしまい、美大受験に失敗したら「おばさんの所為だかんね!」と高校三年生のくせして、大人に責任転嫁をするような子であります!
「ハテ?10月9日?勿体ぶらんとさっさと教えなさいよ!こっちは老い先短いんだから、考えてるうちに歳喰っちゃうよ!」
「10が、じゅ、9は、くで『塾の日』これから俺が行くところ…」
「 はっ?塾の日だぁ~勝手にお行きよ!それよりサ、村上春樹の多崎つくる、読むんだったらポストに入れとくよ」
おまけに新刊書「女のいない男たち」も付けちゃおうかな?
村上氏には珍しい短編集です。
表題ですと女のいない男たちの物語に思えますが、女に去られてしまった男たちの話でして、これも解読不能でした。
「村上春樹は遠慮します。友だちが途中で分かんねぇって挫折してるから」
私たちが思春期に読んだ太宰治とはチィとばかし違う挫折のようであります。
頭を抱えて悶絶していた…あのころが懐かしいなぁ~
「俺は別件で悶絶してたけどね」
家人に読ませたい「女のいない男たち」です!