かの昔…中国・漢の時代でのこと。
ひとりの若者が蟹食べ過ぎて中毒を起こしてしまい、死にかけていたとか…?
食べたのは、やっぱり上海蟹でしょうか?
私は甲殻アレルギーを持つ身ですから「もしや?」と思いました!
蟹の食べ過ぎての中毒と言いますと、この若者も蟹の食物アレルギーではなかったのではないでしょうか!
そのころ…なんとかと言う名医が煎じて飲ませた「紫なる飲み物」が利き目を効し、若者はたちまちに元気になり蘇ったとか…その「紫なる飲み物」こそが紫蘇であるとの言い伝えを思い出しました
我が家の鉢植えした青紫蘇にも、ようやく紫蘇の蕾が出てきました!
うす紫の…それもほんのりとした桃色を帯びた小さな花を咲かせます。
刺身に添えられている、お馴染みのツマであります。
紫蘇は和製のハーブですから、虫が食べて葉っぱを穴だらけにされることはありませんが、ショウリョウバッタの好物がこの紫蘇の葉っぱなんです。
けれども、ここ・東京のベランダで育つ紫蘇には100年待ってもバッタが跳んで来る心配はなかろうかと思います。
「それは分からんぞ!何しろサ、きみが今世紀最大の謎と言っているヤモリがベランダに来たんだしサ。隣の猫だってこっそりやって来ちゃぁ~火鉢の金魚を狙ってるんだからっ!」
まぁ~、気長に100年待ってみますわ!
北海道の兄から送られてきた「メルヘン」と言う、なんとも南瓜らしからぬ名前を付けられた南瓜がこれ!
こうして切っちゃえば「メルヘン」の『メ』の字も見当たらぬただの南瓜であります。
鍋に並べ、砂糖と少々の塩をまぶして夕方まで放っておきます。
砂糖と塩の浸透圧でもって、じわじわと南瓜の水分が出てきます。
その水分だけで煮るんですが、これが実に難しいんです。
塩梅と言われる所以でもあるかと思います!
本当はひと晩おくといいのですが、朝のうちに仕込みを済ませておけば夕飯のおかずに間に合うかなぁ…
その間に…雫井脩介(しずくいしゅうすけ)・著『仮面同窓会』を読むことに
高校を卒業した4人が、かつての体育教師の理不尽な体罰に対し復讐してやろうと誘拐し、そのまま倉庫に放置…数日後その教師は死体で発見されます。
さて…誰の仕業か?
4人が疑心暗鬼になっていくミステリーなんですが、作家との相性が悪いのか…?雫井さんの作風が変わったのか…?
何んとも後味の悪い、読後感がどよ~んとした感は否めません
大薮春彦賞を受賞した「犯人に告ぐ」から9年目…その余韻が未だあるだけに、この作品は「うーん」
娘が渡してくれた、雫井氏の新作「検察側の罪人」…これは警察小説のようですから、メゲずに読んでみようかと思います。
本を閉じてから、鍋をのぞいたら…ヒタヒタとまではいきませんが、南瓜の水分がそれなりに出ていました。
弱火でフタをしながら煮て行きます。
何しろ水分が少ないものですから、焦がさぬよう結構小まめに南瓜の向きをかえたりと気を遣います。
最後にしょう油を掛けまわし、艶を出したら出来あがり
「なんか…豪快だねぇ。これだけがデンとテーブルにのっていると戦時中を思い出すよ。毎日南瓜か芋だったもんなぁ」
世代が違いますから、わたくし…戦前・戦中・戦後の食糧事情にはチィッとばかし疎うございます。
それよりも…これで兄から送られてきた南瓜、すべて頂きました!
あと残るはジャガイモと玉ねぎ…最近、怖くて冷凍庫が開けられません…コロッケが18個ばかりカチンコチンに固まっているからです!
お兄ちゃんと友ちゃんが東京へやって来たら、このほくほく北海道コロッケを揚げてご馳走してあげようかと大事に取ってあるんです。
「この南瓜、美味いなぁ。ほっくりしているんだかベチャッとしてるんだかはっきりしないんだけどもサ、この舌触りが何んとも言えないねぇ。ホウトウに入れたら合うかもよ」
どうやら…家人の口に合ったようです。
幸せ、しあわせ…
『南瓜煮てくらし至って平凡に』
(かぼちゃにてくらしいたってへいぼんに)
島田紅帆(しまだこうはん)