「今朝は、ブレックファーストに致しましたっ!」
「これがブレックファーストなの?俺は朝めしがいい!炊きたてのご飯にみそ汁、豆アジの干物に卵焼き、胡瓜のぬか漬けと梅干し…これだけあればあとは何んにもいらない!」
「ホントだね?」
「…」
今日は江戸から東京と改称されてから、146年目の記念日「東京の日」なんです!
「またずい分と中途半端な年の記念日だねぇ~」
「だまらっしゃい!」
あの頃…世の人々はちょん髷を結っておりましたが、欧米各国を廻っていた岩倉具視は、あちらの人々から日本人のちょん髷を指して「豚のしっぽ」だの「ピストルを乗せている」とかバカにされ、断髪令を出しました。
それを聞いた長州藩士・桂小五郎こと木戸孝允が当時の新聞に載せた記事の名文句はみなさまも聞いたことがおありかと思います。
「散切り頭を叩いてみれば、文明開化の音がする」
これは記事の一部でありまして、この前にあります文句を聞きまして、初めて「あぁ、納得!」と頷くことが出来ます。
「半髪頭(ちょんまげ)を叩いてみれば、因循姑息(いんじゅんこそく)な音がする。総髪頭を叩いてみれば、王政復古の音がする。散切り頭を叩いてみれば、文明開化の音がする」となります。
私は社会科の試験でこの問題が出ました時は、一夜漬けの山が当たり「しめしめ、しめこのうさぎ」と内心大声で叫びそうになりました
『木戸孝允が新聞に出した断髪を勧める記事を漢字で書きなさい』
私はスラスラっと答えを書きました
ところが返って来た答案用紙を見ると、自信満々だった答えの欄が大きな×印の赤ペンと重なっておりました。
「はぁ~?」
私はめったに足を踏み入れない職員室に行きまして、小声ながらも先生に抗議したのです…「これって○じゃないですか?」
先生は…ちょっと小さなため息を吐いて「その答えを声に出して読んでみなさい」と言いました。
私は堂々と答案用紙を持った両手を差し出して、読み上げました。
「ちょんまげあたまをたたいてみれば、いんじゅんこそくなあじがする。そうはつあたまをたたいてみれば、おうせいふっこのあじがする…あれ?なんか変?」
だんだんと声が小さくなっていく私を見ていた先生は「分かったか?味じゃないんだよ、音ね、音!」
「…」
あれ以来、私は幕末から明治維新の時代は大の苦手、アレルギーの元となってしまい、NHK大河ドラマで長州とか薩摩をテーマにしたドラマはチンプンカンプン…見ないことにしています!
「あのね…朝っぱらから髪の毛の話はやめてくれる?ブレックファーストが不味くなるだろ!」
家人の頭を叩いたら、いったいどんな味が…いえ、どんな音がするでしょうか?
さすがの小五郎さんも、そこまでは考えつかなかったのでしょう…なにしろ毛がありませんもので。
さてさて…我が深川の夏祭り・富岡八幡宮例大祭の日がひと月後と迫って参りました。
別名「水掛け祭」と言われております。
神輿にジャージャーと清めの水を掛け、担ぎ手と沿道の観衆とが一体となる、それこそびしょびしょの祭りであります
深川八幡宮の祭りの担ぎ手は「ワッショイ、ワッショイ」と昔ながらの掛け声で、赤坂の日枝神社祭、神田の神田明神祭とともに江戸の粋を今に伝える祭りのひとつに数えられています。
町内に貼られている祭りのポスターに「求む、祭りの華」とチョィと気になる文字が目に入りました。
「なになに?金棒引きのお嬢さんを募集ぅ?さっそく申し込まなければ、女が廃る…」
「よく読みなさいよ!お嬢さんって書いてあるだろがっ」
「元・お嬢さんの元が、何者かによって消されてしまったノダ!」
金棒引きとは神輿の先導に立つ需要な役割でして、私が小さな頃は深川辰巳芸者衆がチリンチリンと金棒を振っていました。
これは男勝りの辰巳芸者衆が女でも神輿の列に加わりたいと、その日本髪を男髷に結い直し、手古舞姿に扮して神輿の先を行くことを許されたと聞きました。
今年は久しぶりに永代橋あたりに出張ってみましょうか?
清めの水をぜひとも家人に掛けて頂き、暑い夏を乗り切って行ければと願っています。