栃木県の県木「栃の木・トチノキ」でありますが、この時季、こんな鮮やかな花を咲かせます
ベニバナトチノキと言う名を持っている品種でして、県木・兼・県花と1本2役を担わせても、その役目をきちっと果たせる栃の木ではないかと思います
ちなみに栃木県の花は「ヤシオツツジ」となっています
況してや…この花は、あの憧れのお・フランスともなると「マロニエ」と言う、これまたお洒落な名前となってパリ・シャンゼリゼ大通りに木陰を作っております
凱旋門とカルーゼル凱旋門をつなぐ全長2キロほどでしょうか?
マロニエの並木道が木陰を作り、5月ごろ…まさに今ごろ、白い花を咲かせていましたっけ…あの並木道を腕を組んで一緒に歩いた青い瞳の恋人は、今は幸せに暮らしているかしらん…
「幸せに暮らしているかしらんってサ、きみのパスポートにフランス入国のハンコはないだろっ!どうやってフランスに行ったんだよ!まったく、どこの並木道を歩いたんだ」
「イギリスからドーバー海峡を泳いで渡ってたんだわよ!」
「34キロをかっ?」
「さいざんす…ずぶ濡れの恋であったノダ」
松島詩子が歌う「マロニエの木陰」…
『空は暮れて 丘の涯て 輝くは星の瞳よ 懐かしのマロニエの木陰に…』
バンドネオンが奏でるタンゴのメロディに酔いしれた昭和ひと桁の殿方も多いことかと思います…家人も自分を指差して叫んでいます
「オレ・オレ、オレも懐かしわぁ~」…詐欺のような言い回しはご遠慮願います!
信州への旅で、なかなか読めなかった図書館から借りていた本、返却日が迫ってしまった浅田次郎・著「一路・上巻」…
大変な人気のある本でして、私が予約をしました時にはすでに40人以上の登録があったようです
順調に行っても1年半以上待たねばならぬ勘定で、然も上巻・下巻と合わせて700ページの超・大作時代小説でありますから、生きているうちに完読できれば、しめこのうさぎってなもんです
ところが…「予約なさいました一路がご用意できましたので、1週間以内に取りに来てください」と図書館から電話を頂き、すっ飛んで行きました
「次の予約が入っていますので、返却日を必ず守ってお返し下さい」カウンターで手渡されるときに言われました・が!
「あらぁ…上巻だけですか?下巻はいつになりましょうか?」
普通、上下巻とある本はバラバラにせずに上下巻一緒の貸し出しとなるんですが、江東区はとにかく返ってきた順に渡しちゃえってんで、下巻がいつになろうと構わないんでしょうか?
上巻を読んだあと、下巻だけ半年も掛かっての貸し出しとなりますと、物語のあらすじがつながるどころか、別々の歴史小説になってしまいそうです
「追って返却がなされると思いますので、楽しみにお待ちください」
って、そんなぁ~…やっぱり本は買わなければダメかなぁと思いつつ読み始めましたが、下巻の都合を考えるとあんまり早く読み終えてしまって、待つのもイヤだしぃ…と2週間の貸出期間いっぱいに読もうと表紙のカバー絵からじっくりと手に取りました
山口晃氏の描く登場人物の紹介を兼ねた絵巻のような表紙絵は、さすがと唸ってしまうほどの出来栄えであります
手に取ってパラパラとページを捲っていきましたら、下巻を忘れてしまうほどの面白さ!
父の不慮の死により、江戸への参勤交代の差配をすることになった小野寺一路(おのでらいちろ)・19歳…家伝の「行軍録」を唯一の手掛かりに中山道を一路、12泊の行軍を務め、江戸は本所の上屋敷へと向かう物語です。
お家騒動あり、加賀のお姫様との淡い恋や、殿様の乗る白馬・白雪やブチ、双子の共奴や道中を賑わせる面々など…物語は自由自在な広がりを見せ、一気に中山道を上ります
この時代小説を浄瑠璃の人形劇に仕立て、浅田次郎氏が4人の女優さんと共に中山道を巡る番組が、昨年BS日テレで放送されました
第1回は眞野あずささんで、中山道・42番目の宿場「妻籠宿」や木曾を紹介…
第2回・池上季実子さんは下諏訪の名物を美味しそうに食べていました。
時折り入る浄瑠璃の人形劇が、これまた情緒あふれる場面を再現していまして、思わず涙を誘うほどの表情豊かで惹き込まれてしまうほどの熱演でした
第3回めの放送は酒井美紀さんで軽井沢を浅田氏と楽しげに散策をしながら、江戸入りまでを紹介されていました
田名部藩主の乗る馬「白雪」が雪の和田峠を目指し、峠で息絶える様は浄瑠璃でも再現され、ブチとの馬の会話も盛り込まれ、ホロッとさせられもしますが、ちょっとコメディタッチでさらりと流すあたりはさすが!
『小説の大衆食堂』と、浅田氏・自身で言われることだけはあるかと思います
最後は檀ふみさんが、着物姿も艶やかに四季を巡った中山道の旅を飾りました
テレビ放送を先に見た所為か『ここ!』っと言った場面が生々しく浮かび上がって来まして、これはこれで小説とのコラボ?で意外な効果があったように感じました
「もしもし?こちら図書館です。一路の下巻が返却されて来ましたので、お待ちしています」
善光寺さんから帰ってまもなく図書館から電話がありまして、慌ててしまいました
「えっ!もう来ちゃったんですか?すぐ取りに行きます」
別れ離れになっていた「一路・上下巻」がこれで、懐かしい再会を果たしたと見え、お互い手を携え泣いて喜んでおりました
下巻は参勤交代のお殿様・うつけ者と言われている蒔坂左京大夫(まいさかさきょうのだいぶ)が大活躍!
中山道と東海道は、その昔…江戸と京を結ぶ国道でありました。
海沿いを行く東海道と、山を越えて行く中山道…
近ごろ、この「一路」を読んだ健脚の方たちが中山道を歩いて越えようと言う催しが盛んになったと聞いています
読売旅行社でも開催されたと聞いております。
今回の長野・栄村から善光寺さんへの道も、少しではありますが中山道に掛かっているかと思うと、少しばかり心ワクワクして読み終えました。
久しぶりに一気読みした、お薦めの時代小説です!
長野産のりんご・紅玉で簡単アップルパイを作って、ひと休み
上下巻を一緒に返却することが出来てホッとしているところです
本屋さんの話では、上下巻と並べて売っていても、下巻の売れ行きが上巻と合わず売れ残ってしまうことが多々あると聞きました。
上巻だけを読んで、あとは面倒くさくなってしまい…「いいや」と買わない人がいるとか…
私などは、どっちかと言えば、上巻は諦めても下巻での結末が分かった方があとで悩まなくて済むんじゃないかと思うのですが、人間の体で例えるのも変ですが上半身と下半身、どっちがいい?と聞かれてしまうと、これは右半身・左半身にしてもらえないだろうかと、真剣に悩んでしまうところです…
「きみは貴重な人生を、実に詰まらんことで悩んでいるんだ…と、言うことが今、分かった!」
何んに致しましても、わたくしの人となりを分かって頂けて恐悦至極であります