午前中ぶらぶらと散歩がてら買い物に出ましたら、永代通りの電信柱にこんな立て看板が括り付けてありました
「そうかぁ、23日は東京マラソンなんだぁ23日って今日じゃん」
「そうかぁって、1週間ぐらい前からここに看板立ってたぞ」
今朝の讀賣新聞にもスポーツ報知にも、東京マラソンのことは載ってませんで、うっかりしておりました
「なになに6時間近くも、う回にご協力?迂回ぐらい漢字で書けってんだ!」
「ホントだな。ちゃんとした漢字があるんだからな!勝手にう回してろってんだ俺は行くぞ」
行くぞって…買い物を続行するかと思いましたら、マラソンを観に行くと言い出しました
東京マラソンの主要スポンサーが東京メトロと言うことで、交通規制のない地下鉄東西線で銀座に出ることに
隅田川の下を通って15分銀座4丁目交差点・和光前に到着しました
中央通りも交通規制がされ、車は立ち入り禁止となっています
車は信号で止めれば横断が出来るんですが…マラソン人は途切れることなく走って来ますので、あっちの道に行きたいと思ってもそれこそ命がけの横断を決行しなくてはなりません
「なんかサ、ワンサカ走って来るけど、俺の知らない人たちばっかりだな」
招待選手や実力選手はトウの昔に走り過ぎて、もうゴールしてる時間ですからね…今、前を横切って行く人たちは、走ることが好きな一般の人たちです
「全部知っている人だったら、怖いでしょっ」
仮装行列のようなマラソン大会で、観ていても楽しいのですがさすがに足元が冷えて参りまして、仕方なく地下道の階段を上り下り
ミキモトでは「ハローキティ・40周年」のイベントを開催中
真珠屋さんなのに、ショーウィンドーにディスプレイされているキティちゃんは木で作られていました
どの値札を見ましても、目が飛び出るほどのお値段が付いています
ウン十万円の単位を越えると、私などは人差し指でゼロを指しながら数えてしまい、それを横目で見ている店員さんは、こちらに1歩も寄って来ようとはしません
「値札の単位を読めなくても、札束があればいいんでしょっ」…と、大見得を切れないところが何んとも情けなく…すごすご店内から出て参りました
気を取り直し日本橋に戻ろうと歩き始めましたら、ゴキブリやら骸骨やらの扮装をした一行が賑やかに通って行くものですから、空いている沿道に立ちました
あまりに愉快なので大口開けて笑っていましたら
スッと素敵な男性が寄って来るじゃないですか
ミキモトの店員さんも寄り付かなかった私にですよ
私は、頭に髪の毛がフサフサとあるだけであくまで頭にです奇跡を見たような幸せを感じます
「悪かったなスカスカで」
今…そんなことは、どうでもいいんです
この男性、私目掛けてやって来たのかと思ったんですが、道の端っこで何やらスマホのようなものをいじくり回しはじめました
気分が悪くなった様子もないんですが、こんな間近かにいるわけですから、「お・も・て・な・しぃ」の手を活かし、聞いてみました
「Can I help you?」
「あ~いえ、音が出なくなって…アッ出た、アッ消えた」
「何んだよ、きみより日本語ができるじゃないか」
「喧しいわっ音って、音楽ですかビートルズとか、クラプトンとか」
首にイギリスの国旗を巻いてるようですし、Tシャツの胸元にはロンドン名物・2階建てバスが描かれていますから、これでフランスの人ではなかろうと思いまして…お世辞で聞いてみたのです
「あ~八代亜紀さんです雨、雨の歌です」
「八代亜紀って言ったら舟唄だろがっ」
「そうだよ、女は無口がいいんだよイギリスのきみね、Keep it easy」
「ありがとう、サンクス」
「あの人、日本のコンビニにも詳しいんだね」
颯爽と走り去って行く彼の耳に流れているのが、ど演歌であることを知っているのは、この沿道で私たちふたりだけでありました
あのティファニーだの、あのカルティエだのと言いましても、今日はみなさん素通りであります
どうせ、値札を指差し確認する冷やかしを相手に商売はしていないでしょう
宝くじで6億円当てても、絶対行くもんかっ
こちら、行かなくてはならないのがトイレです…
何しろ、普通の人がフルマラソンを走るとなると4時間も5時間も掛かるそうで、然もこの冷え込みですから、途中何か所かに簡易トイレが設置されているとか…
東京高速道路・京橋ジャンクションの近くで、ボランティアがトイレの案内板を掲げ誘導していました
トイレの前には長蛇の列でして、タイムを度外視した完走を目指していることがよぉ~く分りました
時折り風花が舞う中、誰彼ともなく「がんばって」と声を掛けたくなりました