行く年の無事に感謝し、来る年の安全を祈る「除夜祭・大祓」を受けに、深川・富岡八幡宮へ行って参りました
今…家人とふたり、今年を振り返ってみれば、がんで明け、がんで暮れた1年だったと思います
6月・夏の大祓・夏越祭を迎えた30日は、化学療法を終え、いったん退院を許された日でありました
病院からの帰り道、そのまま神社へと向かいました
もう大祓が終わってしまった境内には、頒った白い切麻(きりぬさ)が散っていて…思えばふたりだけの淋しい大祓でした
あっ…鎌倉の庭に棲み付いたキジバト・モドキにそっくりなハトが、これも1羽ぽつり・ぽつりと歩いておりましたっけ
それからの半年も、検査検査…そして開腹手術を終え、人工膀胱を取り付ける体となりました
体調を見ながらのリハビリを、愚痴も言わず・音も上げず…淡々と乗り越えたと思います
況して、膀胱がなくなってしまったことの不安もあっただろうに、家人はこう言ってのけました
「まっ去る者は追わず…ってか?産まれ変わったと思えばいいサ」
いやいやぁ何を言っておるのか分かりませんが、惚れ直しましたねぇ
本堂で執り行われた大祓…鎌倉鶴岡八幡宮では「おおはらえ」と読みますが、ここ富岡八幡宮では「おおばらい」と読むんだそうで、地元の氏子たち・150人ほどのこじんまりとした大祓でした
お神酒を頂き参道に戻りましたら、露店がたくさん出ておりまして、ちくわぶが煮込まれたおでんの大鍋が湯気を上げていました
「お神酒が誘い酒になっちゃったなぁ~大根で一杯やりたいね
」
「なんにでも誘われちゃうんだからねぇ…あーたの場合は誘われた上に惑わされちゃうからダメなのよそれであーたは、何度も人生を踏み外しそうになったでしょっ
」
「なんで、こんなところで、そんなことを蒸し返すんだよ帰ろ帰ろ
」
「誘惑の甘い罠に打ち勝ったじゃん」
「…」
八幡宮さんのすぐお隣には「成田山・東京別院・深川不動尊」もありまして、おねがい不動尊に手を合わせれば、商売繁盛成が叶うと言われています
不動尊の参道に「伊勢屋」さんと言う和菓子の老舗が店を張っております
私が子どものころから商いをしていますから、まさに飽きずに商う…このことだけでも凄いことです
八寸・七寸・五寸・三寸それぞれの大きさの鏡餅も売れ行き好調のようです
嵐の前の静けさ…なのでしょう
参道には人影もまばらで、露店の人たちも一服しているのか、シーンとしております
マンションのベランダから見た、2013年最後の夕焼けです
一番星が遥か遠くで光っています
明日・元日も日本晴れになることでしょう
大祓で、半年の穢れを清い改めた身で頂く年越し蕎麦は格別なお味が致します
新しい年を迎えましたなら、祓って頂いた穢れのひとつひとつを思い起こし、身を引き締め、これからが大祓そのものと思って行かねばなりません
「そんな過去とおさらばするのが大祓だぞ詰まらん過去を引きずるなっ
前を向いて進むんだっ
」
はぁ~そんなもんかも知れません
「それにしても、お兄ちゃんから毛ガニ届かなかったね」
「だからサ、間違って沖縄へ行っちゃったんだって今ごろはリリーと泡盛飲んでサ、ドンチャン騒ぎしてるんじゃないの
」
「リリーって…それ、男はつらいよの浅丘ルリ子でしょうちのお兄ちゃんも情けないけど、寅さんほどじゃないと思うよ
」
「いや…マジ・いい勝負だと思うなぁ」
「そしたらサ、私は賢い妹・さくら、あーたはその亭主・博ってことになるね」
家人は蕎麦に舌鼓を打つどころか、咽ておりました
こんなことでは、新年の雑煮・お餅に気を付けねば
鎌倉では、そろそろ除夜の鐘が鳴り響くころかと思います
どうぞ、みなさま佳いお年をお迎えください
『頭上をば又一年が駆け抜けし』
(ずじょうをばまたいちねんがかけぬけし)
相生垣瓜人(あいおいがきかじん)