丸ノ内線・御茶ノ水駅の階段を上って来て…真っ先に聞こえて来るセミの声が、今日はまったく聞こえて来ません
ようやく、夏が終わったのかな
日陰で信号待ちをしていると、神田川の水面を渡って来た風が秋を感じさせ、あの暑かった夏さえも遠く懐かしく思えます
東京医科歯科大病院へと行く植え込みに、アキアカネが羽を休めておりました
一夜にして季節のページが捲られた気がしました
11日に開腹手術をしました家人…手術を終え集中治療室・ICUに移されましても、東京読売巨人軍の勝ち星が気になって仕方がないようでして、その痛みに「うんうん」唸りながらも、点滴がされていない左手を天井に突出し「巨人はどうしたスポーツ報知を持って来てくれいぃ~
」と叫んでおりました
見兼ねた先生が「順調に勝ったり負けたりしてますから、安心してください」と、患者の血圧と心拍数を上げたり下げたりの見事な回答をしてくれまして、さすがは名医と言われる先生は違います
ICUから病棟へ戻って来てからは、床ずれを防がねばなりませんから、あっち向いてホイッこっち向いてホイッ
と体の位置を変えるのに苦労致しました
右の首に点滴の管が入っておりますし、ストーマからも傷口にも、生々しく管が差し込まれているからです
ちょっと体を動かすと「イテテのテェ~」
腰のあたりにクッションを当てましても「オーイテェ
」
せっかくテレビが見やすいようにと工夫をしてあげているのに、まるで殺されるような声を上げて言うもんですから、支えていた手を思いっ切り離して言ってやりました
「野球の試合、観たいんでしょっ少しは我慢しなさい」
大人しく…テレビが置いてある台に合わせて、不自由そうに首を回して観ておりました
名医が仰るとおり…勝ったり負けたりしながらも、我が読売巨人軍はマジック・
まで漕ぎ着けました
20日は金曜日だと言うのに、巨人の試合がありません
「野球がないと夜が長いクリント・イーストウッドのダーティハリーのシリーズ・4がサ、BSジャパンであるから、それを観る
」
ちょうど…月島で、友だちともんじゃを食べているところに、家人からメールが入りました
こっちはヘラを使って食べるのに忙しくて、返信をしませんでした
友だちと別れ、いい心持ちで電車に揺られていると、携帯がブブッ・ブッ!と鞄の中で震えています
「期待して観たのに、やたらめったら大事な股間をぶち抜くんだよ縁起が悪いから観るの止めたっ
」
とのことでした
家人にしてみれば、股間は言うに言われぬ愛着のある体の一部でありましょう
膀胱がんから、やっとの思いで生還した家人ですから、バンバン股間をぶち抜かれる場面を観て、肝を冷やし…玉も縮み上がったことかとお察します
私が縮み上がって怖がると言えば、狭い所が苦手な「閉所恐怖症」であります
エレベーターと地下へと下りて行く駐車場が、今・いち番の苦手でありますが、ここ何十年と乗っていない飛行機も大の苦手のひとつです
学力の方は何んとかなったのですが、密室の様な宇宙服が着られなくて…泣く泣く宇宙飛行士の道を断念いたしました
「嘘つけぇ」の声が木霊のように聞こえるんですが、気のせいかと聞き流すことにします
娘むこ殿のお父さんが、出張でデンマークへ出かけたとのことで、羽田まで送って行った娘の姑に当たるお母さんから「空港限定」と書かれた、とらやのひと口羊羹・空の旅をお土産に頂きました
ちょっと疲れていたこの老体には甘い上等な羊羹は大変美味しいものでして、ホントひと口で食べ終えてしまいました
厚紙に書かれた羊羹の説明書きが、裏の点線に沿って折って行きますと、ご覧のとおり紙飛行機に変身
秋風に乗ってふわりと飛んで行きました
今宵は、十五夜・十六夜…と、巡り「立待月・たちまちづき」を迎えます
十五夜は18時、その美しい姿を暮れて行く空に見せますが、それから遅れること1時間20分…立って待つほどの月となって東の空に上って参ります
やはり…月はこうして憧れを持ちつつ見上げるものだと、つくづく思った立待月でありました