鎌倉の庭でのびのびと葉を広げていたギボウシ引っ越しのため鉢植えにして、ここ浦安まで持って来たのは、空梅雨だった6月のこと
葉を茂らせるだけで良しと思っていたギボウシが、今朝花まで咲かせてくれました
9月に入ってから花開いた薄紫の花が輝いています
11日に行なわれた家人の膀胱全摘手術…おかげさまで無事成功いたし、歳の割には順調に回復しております
予定の終了時間を7時間近くオーバー、終わったのが日付けが変わるギリギリでありました
朝の8時半…家人は看護師さんに導かれ、エレベーターホールへとスタスタ歩いて行きました
家族とはいえ、家人とはこのエレベーターホールでお別れです
「見送りはここまで」という病院の規則がありますから、こちらは扉が閉まるその瞬間まで、家人の顔を見ていたいと気持ちがあるわけです
ゆっくりと扉が閉まることを期待していたのに、上から下りて来たエレベーターは、ほぼ満員…家人と看護師さんが乗り込んだと思ったら、すぐに扉がパタンと締まってしまいました
「通勤電車みたいだな」
「下半身に気を付けてよ」
これが、まだその体に膀胱がある家人と私が交わした最後の会話であります
手術室に入って施かされる処置と言えば「麻酔」であります
入院してから、いろいろな説明・インフォード・コンセントがあるんですが、最も時間を割いてして下すったのが、この麻酔でした
今回の手術は硬膜外麻酔と全身麻酔の併用であるとのことですが、家人は前に受けた大腸がんと肺がんでどちらも経験済み・・・
「はいはい」と返事をしていましたら、先生のひと言で神妙な顔になってしました
「膀胱全摘は、きんちゃん(実際はこんな呼び方はしませんが…)にとっては初めてのことですし、お歳もお歳ですから我々スタッフ、全力を尽くしてやらせて頂きます」
「何分…歳なもんですし、膀胱を取られるのも初めてなもんで、何とぞよろしくお願いいたします」
前もって見せられたビデオです
ちゃんと「膀胱」のふた文字が入っております
麻酔を進めるいろいろな場面が、実写ありアニメありで結構楽しめました
「きみは他人ごとだと思うから、ほほぉ~なんて呑気なことが言えるんだよ見てみたまえっ!きみたち女性群が罹る卵巣と子宮もあるだろ
なんで、膀胱や前立腺の前に書いてあるんだ」
「書いてあるんだっ…てサ、これって人間の頭から下へと順に書いてあるだけで、最後の前立腺は、例えて言うならばよ「ごらんあれが竜飛岬 北のはずれ」かぁって言う感じなんじゃないの」
「ほほぉ~これは北を指しているのか」
「津軽海峡冬景色」で、夫婦の危機を脱しました
この絵を見、その理由を聞きまして、ヒゲを剃ることを渋っていた家人も納得した画面です
全身麻酔では口を覆うマスクを被せられます
その時に固定するテープがヒゲで密着できないそうで、マスクが浮いた状態を避けたいということです
そんな納得もヘッタクレもないヒゲなんですが、退職してから仲代達也に憧れ伸ばしたヒゲであります
それがいつのまにか、大胆にもショーン・コネリーにその憧れの対象が変わっていったという、恐るべしヒゲでもあるんです
「麻酔・蘇生・ペインクリニック科」という科があることさえ知らなかった私は、家人への説明をひと通りは聞きましたが、あまりよく理解は出来ませんで、部屋の中をキョロキョロと見回しておりました
と…部屋の隅っこに骸骨発見
まぁ~理科の実験室で見た以来…久しぶりに見る骸骨の標本体です
歯が欠けていて、何んともユーモラスな骸骨であります
「先生、お話中申し訳ないんですが、白骨死体で発見ってニュースで聞きますけど、あんな状態を言うんですか
」
「う~ん…白骨は白骨でも白骨が違うんじゃないかなぁ」
何言ってんだか分りません
「あのね白骨と俺の麻酔と何んの関係があるんだよ
話の腰を折るなよ、今いいところなんだから
」
「いいところって、あなたがたはいったい何を話しているんですか」
骸骨とふたり…記念写真を撮ってもらいたかったんですが、言いそびれてしまいました
台風18号の関東接近が心配される東京の空です
集中治療室から戻ってきた家人が見るスカイツリーであります
まだ…肩で息をしておりますが、目に力が宿っておりまして「これなら大丈夫」ホッといたしました
みなさまには、いろいろとご心配をお掛けし、また励ましても頂きました
改めて御礼を申し上げます
「ありがとうございました」
さて
手術当日、15時間にも及ぶ長~いいち日を私がどう過ごしたか…ご興味のある方は明日のブログをご覧下さい