「」と気が付けば
二十四節気も半分が過ぎ、第15番目「白露」がいつの間にか巡っておりました
初候は「草露白・そうろしろし」葉に白露が宿るころ、夏から秋へ季節が入れ替わると言われています
家人が膀胱がんのため、膀胱全摘出の手術を控え入院しましたのは…
9月の4日の大安の日でございました
やれやれ、何事もなく無事に入院の日を迎えたぁと安心ばかりしてもいられませんで、やれ、全身麻酔のインフォームド・コンセントだの、ストーマ(人工膀胱)の装着説明及び、ストーマ体験者であるボランティアの方の説明を聞いたり、ストーマの位置を決める処置を受けたり…
「寝るヒマも、ゆっくり昼メシも食べていられないじゃないか」
と、家人がこぼすほど毎日が忙しく過ぎて行きました
お伝えしたかった「きんちゃん闘病記」…6日間も休んでしまい、私の友だちがまたも「ダメだったのぉ?」と気配りも心遣いもないメールを送って来ますもので、「これはいかん」と久しぶりにパソコンの前に座っております
折々、その経過を綴ってお聞かせしたいと思い、写真の整理などを始めました
手術を控えた家人が一番大変なことは大変なんですが、毎日病院に通うわたくしもそれなりに大変なことでありまして、何より健康でなければ通うことは出来ません
あとは献身的、且つ心根の優しい良妻でなければ長続きは致しません
「良が付けば、妻でなくともいいんだけどな」
モゴモゴ・ゴチャゴチャ言うてるのが聞こえて来るようであります
さてわたくし、毎朝好きなコーヒーを淹れ、ひとときゆっくりと過ごしてから御茶ノ水へと出掛けます
これは淹れ方がちょっと変わっているコーヒーでして、挽いた豆が入っている紙パックに熱湯を注ぎ、5分から10分抽出させるという代物です
きっと、山登りやキャンプなどに開発されたのではないでしょうか
ひとりでもって、然も家で淹れる意味を考えてしまいますが、お味はなかなかのものでして酷寒の雪山を思い浮かべながら頂きますと美味しさもまた格別かと…汗を掻きながら飲み干しました
湯島天神の白梅を大学の紋章にした…のかどうかは分かりませんが、同じ文京区ですから、これは「あり」かも知れません
大学のキャンパスの中にある「東京医科歯科大病院」です
「なんと言っても、国立だからねぇ~」
「きみは国立に弱いからなぁ~」
「なんだっそれ国が立てたと言うことで、一応は敬意をはらっているんです
」
「TMDU」…本日も燦然と輝いておりました
入院した翌日に見せてもらった家人の「と・ある部分」のレントゲン写真です
正確にはCTスキャンの映像写真なんですが、左の写真は今年3月に造影剤を入れて撮った膀胱の写真です
そして…右の写真は8月に撮った写真でして、放射線照射・抗がん剤投与の化学療法を受けたあとの写真となります
白く映っているのは両脚の付け根・骨盤で、真ん中が膀胱となります
私などは医学の知識がありませんものですから黒く映っているところが悪性の腫瘍かと勝手に思ってしまいまして、初めて左の写真を見せられた時は、正直血の気が引きました
この黒い部分は空気やガスなんだそうで腫瘍ではないと聞いて「ハァ~それを早く行ってくれい」と肩ごと息を吐いたことを覚えています
それでも…右側の膀胱の何んときれいなことでしょう
「浸潤している」と言われた膀胱の壁が厚く修復されているのは放射線の効果が出たそうで「ものすごく効いた」部類に入るんだそうです
ここまで辿り着いたからこそ開腹手術が出来ると伺い、まずは化学療法に耐えた家人の体に感謝であります
「イヤイヤ…この体に産んでくれたお袋のおかげだよ」
そうでした
夏の花と言われる百日紅
和菓子を思わせるようなそんな花びらを持つ花かと思います
この花びらを浮かせたような葛菓子を買い求め、仏壇に百日紅の花房と共に供え、姑・すゑさんに手を合わせました
「おかげを持ちまして…ムニャムニャ」
さすがに白露の二文字を聞くようになりますと百日紅も百日を越えたのでしょうか
その花房を、ひとつ…またひとつと落としはじめました
その葉に白く光る水滴は、雨なのか露なのか
それとも、どなたかの嬉し涙かも知れません…