夏も大詰め
二十四節気も「大暑」を迎え、その名に恥じぬようにと太陽が張り切って我が頭上を照らしています
大暑の初候「桐始結花きりはじめてはなをむすぶ」…とありますが、桐は高木で梢に花を咲かせます
足元にこぼれ落ちている紫の花房を目にして「あぁ、もう桐が咲いているんだ」
木に沿って空を見上げると、そこには孤高に咲く桐の花がありました
江戸時代から庶民の間で受け継がれて来た「暑気払い・頭痛封じ・中風封じ・虫封じ」の祈祷が行われる『ほうろく加持』が、家の近く浦安・堀江にあります「説江山・正福寺」さんで、朝の6時から行われると聞いて、眠い目をこすりながら行って来ました
有り難いことに、私ども夫婦は頭痛持ちではありません…むしろ、人の頭痛の種になっているかと思います
「何んでも「封じ」てくれるんだったらサ、きっとガンも封じてくれるんじゃない朝いち番で行ってみない」
「どうやって封じるんだよ」
この人充分行く気があるときは、こういう言い方をするんです
年にいち度・7月の土用丑の日にだけ行われる「ほうろく加持」は、あのほうろくを頭に乗せて、そのてっぺんでお灸・もぐさを焚きます
梅の丸煮と、温めに淹れたお茶とをお腹に納め、川風に吹かれながら歩いて行きました
祈祷が行われる本堂には、たくさんのほうろくが並べられています
そのお皿には、いち枚いち枚ご住職さんの手による経文?呪文のような気もするんですが、炭で黒々と書いてあります
「あのサまずはどういうものか、見学が大事だと思うんだな」
皿に盛られたもぐさの量を見て、家人は後ずさりを始めています
「南無妙法蓮華経・なむみょうほうれんげきょう」力強く唱えるご祈祷が聞こえてきます
日蓮宗の秘法と言われているご祈祷が、本堂で始まったようです
赤ん坊や子どもの「かんの虫」にも効くようですが、肝心の子どもたちはラジオ体操にでも行ったのか境内には子猫しかおりませんでした
妙齢な御婦人方がお皿を両手で頭に被せておりますが、頭の上から徐々に熱くなってくるのでしょう
みなさん、お皿を頭にかざしながら盛んに汗を拭いています
ひとつの手で汗を拭いて、もうひとつ手でほうろくを持つと、火の付いたもぐさが、つつぅっと横に動きます
「あんなことしたら、頭のてっぺんが大やけどしちゃうだろ」
あらら、ちょっと腰が引けて来ましたか
「とにかく何んでもいいから封じてもらいましょうよ」
「きみはね、頭のてっぺんに毛があるから、そんな無責任なことが言えるんだよあそこから、膀胱まで届く間にサ、熱さなんて冷めちゃうよ」
「そうかなぁスープの冷めない距離だと思うんだけどなぁ」
「俺は帰るっ」
「」
それでも、ほうろく加持から逃げ出した家人に、鰻らしい物を食べさせてあげたいし‥‥なんか、いいアイデアがないものか
茄子を使った鰻重モドキを、NHKのニュースで紹介していました
海苔に漉した豆腐をのせて焼いた精進料理にしようかな
そんな手の掛かるごまかしは止めて、イワシの蒲焼にしよう
「うんうん…イワシか年金暮らしには相応しい蒲焼だ」
我が家では「ニホンウナギ」は、すでに絶滅したものとして暫くは口にしないことに決めました
卵からの養殖が軌道に乗るまでの我慢です
「何年ぐらい掛かるのかなぁ~」
こちらの都合もありますもので、なるべく早く研究・開発が進むことを願いまして、休ませて頂きます
おやすみなさい