６月・ひと月を掛け、家人が受けた治療「放射線照射と抗がん剤投与」の効き目を見るため、今週から２回に分けての検査が入りました
おとついは「ＭＲＩ検査」を受けるため、半月ぶりに御茶ノ水に降り立ち、病院を振り向けば…
あの建物の１室に家人がひと月も寝ていたのかと思うと、懐かしいような…ちょっと不思議な感じが致します
「寝てたんじゃないっ
治療してたんだ
」
「
」
夫婦と言えども
見解の相違ですな
スタスタと歩き去って行く家人の背中を押すように、今日も都会の真ん中でセミが鳴いていました
人が多く行き交う神田川に架かる御茶ノ水橋に立ち、欄干に腕を乗せまして
暫し、その澄んだ声に聞き惚れました
一昨日に聞いたセミの声は、今年の夏初めて聞いたミンミンゼミでした
初物を食べると７５日、寿命が延びると言われています
今年の初物を聞いたとなると、果たして何日、寿命が延びるのでしょうか
家人にはたっぷりと聞いてもらいたいものです
人混みの中小さくなって行く家人の背中を見付け、慌ててあとを追いました
街路樹の下で、鉢植えのルリマツリが花を咲かせていました
御茶ノ水・駿河台にセミはいても、蝶やハチはいるのでしょうか
誰の目にも触れることなく咲き終わってしまっては、何んだか可哀想
今日ルリマツリの花を見付けることができて、よかった
ひっそりと埋もれるように咲いてはいますが
ルリマツリの花言葉は「密かな情熱」と、きたもんだっ
画像診断センター・駿河台クリニック…本日は「ＣＴスキャン」の検査予約が入っています
先日、造影剤を入れての検査だったのですが、フラつくようなだるいような副作用が出まして、チョイと参ってしまった家人でした
「今日はＣＴだからサ、造影剤はないから気が楽だなぁ～
帰りに何んか美味いもの食べて帰ろう…きみの奢りで
」
出ましたよ
きみの奢りで、がぁ
「今日も、造影剤を入れての検査となっていますが、おとといより時間は早く済みますので、お着替え下さい
」
「
」
「行ってらっしゃぁい」
偶然にも
昨日発表された、第１４９回・上半期・直木賞
どさんこ作家・桜木紫乃さんが「ホテルローヤル」で受賞しました
直木賞候補になっているとは聞いていましたが、その受賞作の前に刊行された「起終点駅ーターミナルー」を読み始めていたので、ビックリしました
表紙の明るいタッチの絵とは１８０度違う、人生の終着駅を６つの短編に描いた重い物語が詰まった１冊です
北海道を舞台に、昭和と言う時代のにおいがする、そんな郷愁を誘う作品となっているかと思います
人生の終わりが来たとき…傍らに寄り添ってくれる人が愛する人であったなら、それはとても幸運なこと・と思ってはみても、家人の病気を思うと…切ない読後感でした
で…「ホテルローヤル」って、どんなですか
「いやぁ～、やっぱり造影剤はきついなぁ
ちょっとしんどいわ」
「少し休んでから帰ろうね
どのへんがしんどいの」
「注射をされるだろ…そうするとサ、この下半身のあたりがカァッ～と熱くなるのよ
俺、勘違いしちゃったよ
それが実にイヤな感じでサ参っちゃうわけ」
「うふっ
密かな情熱だね
」
一刻も早く、その造影剤を体内から出さなくてはいけませんから、お水を今日も無理やり飲ませました
「これが、大吟醸の冷やならなぁ
」
「そしたら、私も付き合うワン
」
『あーた２回の辛い検査によく耐えました
』
ご褒美にドンと太っ腹を見せ、うどんを奢ってあげましょう
」
「うどん～
」
うどんと言ってショゲるのは、ちっと早いかと思います
１０年ほど前になりますか？
渋谷・宮益坂で店を張っておりました「高級手打ち讃岐うどん・長徳」が店を閉めてしまいました
店の前の緩い坂道には、いつも黒いハイヤーが列をなして停まって、テレビ関係者や作家たちが通っていたと漏れ聞いたことがあります
それが、昨年の９月に銀座・三越１１階のギンザダイニングに返り咲いて、渋谷での常連さんや讃岐うどんファンが通う繁盛店になっていると聞いたもんですから、家人を連れてやって行きました
「造影剤で参ってしまった」と言う割には、上の天ぷら・ざるうどんを完食
いったい、どこが参っていたのか
何を食べても、寿命が延びているようです
さて…明日は、いよいよ結果発表を聞きに行かねばなりません
久しぶりの東京医科歯科大病院・泌尿器科外来です
サイは振られました…さぁ～丁と出るか？
半と出るか？
コマは揃いました…「さぁ、勝負」
