メロスって誰？

家人が入院して、早くも２４日が経ちました

毎日、御茶ノ水の病院まで通っております「通い妻」とは、何を隠そう！わたくしのことであります

病院の往復に使う時間を読書に当てていますもんで、手持ちの本が心細くなってきました

引っ越して来ました「浦安市」は財政豊かで、働き盛りの若い人たちが多く住んでいるとか…きっと立派な図書館があるに違いないと思い、午前中に貸し出しカードを作りに出掛けました

家の近くにあると聞きましてこれはラッキー

鎌倉で贔屓にしていた？図書館も「中央図書館」でしたので、親しみが湧いてくるというもんです

円形のホールはグルリとガラス張り窓からは木々の緑が押し寄せてくるかのようで、とても気持ちが落ち着きます

蔵書の数はこれはもう相当なもの本・雑誌合わせて１０冊が借りられ、期間は２週間カフェテラスもあって、読書三昧の老後が送れると楽しみが増えました

今年、開館３０年周年を迎えたとのこと…大いに活用したいと思います

図書館から戻って来て、ゆっくりとブルーベリーパイを食べようと口を開けたとたん…娘が飼っている「柴犬うにトイプーハロ」がやって来まして、慌てて戸棚に隠しました

「ヒヒヒばぁば、隠したってちゃんと見たもんね一緒に食べようよ」

犬のくせに、すっかりその気になってお座り舌舐めずりまでしているじゃないですか

「お母さんが来てから、うに太っちゃってぇ～隠れてコソコソと何んかやってんでしょ」

「コソコソなんかやってないわよ堂々とやってるわよ」

「もうっこれ以上太らせないでよ」

「うにっ勝手に太るな一応、本人に噛んで含むように言っておいたから…ね」
「…ダメだ、こりゃぁ」

「欲しいぃ～」

「デブ犬になっちゃうよっそのハーネス（手綱）だって、きつくなってんでしょ」

「デブだって」

急に項垂れてしまった「うにちゃん」

デブの心配をするより、猫背の矯正をした方がいいんじゃないでしょうか

「うに姿勢を正して生きて行くんだ」

「そのお言葉…そのまま、ばぁばにお返しします」

健康なデブなら構いやしませんが、ただのデブ犬になってしまっては病気が心配ですから、ここは走らせるしかありません

「走れ走るんだ、メロス」

「メロスって、誰これって、前にも出てきたフレーズじゃないの」

「とにかく走るんだ、メロス」

「だから…メロスって誰なのよあたいは「うに」ってんだ」

太宰治が玉川上水に入水し、命を絶ったのは６月１３日でした

遺体が発見されたのは、自身の誕生日であります１９日とか…この日をのちの人々は「桜桃忌（おうとうき）」の名で、太宰治を偲んでおります

墓前に供えられるは、愛飲のゴールデンバット

霧雨のような雨で、シケモクになっているんじゃないでしょうか

『生きられぬ訳はそれぞれ櫻桃忌』

（いきられぬわけはそれぞれおうとうき）

清水淑子